( 142486 )  2024/02/24 13:18:12  
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富の集中が批判される現代経済について、コロナ禍で意識の変化が起こりつつあるとの指摘がある。

森永卓郎氏と鈴木宣弘氏の対談から、大規模から小規模へ、グローバルからローカルへ、中央集権から分権への大変革が起こる可能性があり、特に若い世代にその変化が顕著であると述べられている。

若者の間では田舎への移住やベンチャー企業への就職が増加しており、新たなビジネスチャンスや可能性が広がっている様子が伺える。

(要約)

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photo by gettyimages 

 

 一部の人間に富が集中する経済のあり方が批判されている。特にコロナ禍以降は人々の意識にも変化に兆しがあるという。経済アナリストの森永卓郎氏と、東京大学大学院教授の鈴木宣弘氏の対談書『国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係』(講談社+α新書)から一部を抜粋・再編集してお届けする。  

 

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 連載第3回後編 

 

 前編【資本主義の崩壊で日本でも「イモのつる」ばかり食べる時代がこれからやってくる…】より続く。 

 

写真:現代ビジネス 

 

 森永 大変革は3つの軸で起きると思います。すなわち、「大規模から小規模へ」「グローバルからローカルへ」「中央集権から分権へ」の3つ。 

日本はずっと中央集権でしたが、次の時代は分権化の動きが進むだろうと思います。 

 

 コロナ禍によって、「何か違うぞ」と気づく人が爆発的に増えた。とくに若い世代にそういう人が多い。 

 

 有楽町に「ふるさと回帰支援センター」という施設がありますが、コロナ禍で相談件数が爆発的に増えたそうです。しかも、これまでは「郊外に出たい」という相談が多かったのに、コロナ禍以降は「もっと田舎らしい田舎に行きたい」という人が増えたと。 

 

 田舎に移住するのも、私みたいな年寄りだと、なかなか地域社会に溶け込めなくて大変だったりします。でも若者なら大丈夫です。だから若い人の間で田舎に移住する動きが目立っている。 

 

 私は大学でゼミを持っているんですが、若い世代の価値観がものすごく変わったと感じます。 

 

 森永 ゼミを持ったのはいまから18年前ですが、そのころは就職状況が良くなかった。だからどの学生も一部上場企業に入ろうとしていた。もちろん入れなかった学生も多かったのですが、その後転職して上場企業に入っている。それが18年前の価値観なんです。 

 

 最近はむしろベンチャー企業に就職する学生が増えましたね。あとは、自ら事業を始める学生が出てきています。 

 

 最近一番成功した教え子は、大学在学中にアメリカへ行き、現地で「1人でCM映像を作る」というビジネスを見つけ、日本に持ち帰ってきた。営業もやって、台本を書いて、撮影も編集も一人で行う。最後にBGMを入れて、1本あたり100万円で売る。 

 

 100万と聞くと高いと思われるかもしれませんが、日本の代理店に頼むと桁が違うわけです。1000万円ぐらい必要になる。それに比べると圧倒的に破格なので、いま爆発的に売れているそうです。 

 

 彼が卒業するときに「ビジネスの調子はどう?」と聞いたら、「先生、ついに6000万円の仕事取れました」と言っていました。まだ学生なのにですよ。 

 

 

 森永 「編集機とかどうやって買ったの?」って聞いたら、「先生、いまはパソコンでできますよ」。「カメラは?」「ハイビジョンのカメラ、いまなら1万円ぐらいですよ」。「カメラマンはどうしてるの?」「ドローンを飛ばしてるんで。360度カメラだから、後で適当に画角を切れるんです」と(笑)。もう時代が違うんだなと思いました。 

私がテレビの仕事をはじめたころって編集機が1台2000万円もしましたから。 

 

 鈴木 東大の学生に、世界の1%の富裕層が、残りの99%から搾取する経済についてどう思うか聞いたんです。すると一部の学生は「その1%になればいい」と答えましたよ(笑)。 

 

 それも1つの考え方かもしれません。でも、その1パーセントの富裕層も、世界経済の大転換が起これば危うくなる。 

 

 森永 いやいや。私も東大の理科二類なので、なんとなく雰囲気はわかります。志の高い学生もいるにはいる。でも普通の学生は「理二は受験が楽だからとりあえず入った」という感じです。 

 

 鈴木 私は文科三類。就職するとなると大手の商社とか、マスコミ、官僚が多い。いきなり起業する学生はいませんでしたね。 

 

 森永 私の周りは8割がた銀行に就職しました。みんなあまり深く考えていなかった印象です。私もそうでした。 

 

 鈴木 私は卒業して農水省に入りましたが、古巣の農水省も今後の大転換でガラッと変わるかもしれない。これまでのように仲間うちだけで政策を決めるわけにはいかなくなるでしょう。 

 

 森永 元農水大臣の山田正彦さんの勉強会に参加して、一緒にお酒を飲んだんですよ。彼は元民主党の人ですが、いまはれいわ新選組の応援をしているそうです。 

状況が変わると人も結構変わるものですよね。 

 

 ちなみに、れいわ新選組は財務省の支配下になっていない例外的な党です。 

財務省は主要な政治家のところに「ご進講」に行く。そうやって緊縮財政と増税が唯一正しい政策だと洗脳するんです。 

 

 山本太郎さんに、れいわ新選組には来ないのかと聞いたんですが、一度も来たことがないと言っていました。 

 

 その話を財務省OBの高橋洋一さんに聞いてみたんですが、「財務省はれいわ新選組を相手にしてないからだよ」と言っていました。 

 

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鈴木 宣弘(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)/森永 卓郎(経済アナリスト) 

 

 

 
 

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