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2025年の大阪・関西万博における大屋根(リング)の建設問題について、建設業界のトップから批判が出ている。

建設資材搬入に制約が生じる可能性があるため、リングを1周つなげる必要があるのかが議論されている。

パビリオン建設の遅れや内紛もあり、準備が進んでいない状況に危機感が高まっている。

(要約)

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1周つなげる必要あるのか(C)共同通信社 

 

 吉本新喜劇じゃなくてもズッコケてしまう。2025年大阪・関西万博の目玉の大屋根(リング)について、建設業界のトップから“ダメ出し”が入ったからだ。 

 

大阪万博“ムダの象徴”木造リングは仮設住宅4000戸分! 

 

 驚きの発言は、ゼネコンなどでつくる日本建設業連合会の宮本洋一会長(清水建設会長)の22日の記者会見で飛び出した。 

 

「(リング)内側のパビリオンなどの建設は、これから着工するものも多く、今後すべてのリングがつながった際には、内側への重機や資材の搬入に制約が生じる」 

 

 案の定だ。リングが建設資材搬入の邪魔になるのはシロウトでも分かる。 

 

 リングは高さ12メートル(外側20メートル)、直径約615メートル、1周約2キロに及ぶ世界最大級の木造建築物。屋根の上を歩ける凝った仕様で、すでに6割強まで工事が進んでいる。 

 

 常識的に考えて、本来はパビリオンの建設が先でリングは後なのだが、準備が遅れ、自前型パビリオン(タイプA)約60カ国のうちまだ5カ国しか着工できていない。「着工に必要な詳細設計が完成しているのは半分以下。3分の1は設計にすらこぎつけていません」とパビリオン設計を担当する1級建築士が本紙の取材に吐露していた。 

 

 建築エコノミストの森山高至氏がこう言う。 

 

「リングが工事に必要な搬入・搬出に支障をきたすことは、昨夏には関係者から耳にしていました。神社の社殿が完成する前にテキ屋が並んじゃったようなもの。宮本会長の発言は『もう言うしかないか』という、やむにやまれぬ切羽詰まった状況の表れでしょう」 

 

日本建設業連合会の宮本洋一会長(左)と関西経済連合会の松本正義会長(C)日刊ゲンダイ 

 

 パビリオン建設をめぐる経済界の“内紛”も激化している。日本国際博覧会協会(万博協会)の副会長も務める関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)が今月9日の会見で、「建設会社の協会トップはけしからん。万博を成功させようというコメントはどこにもない」と不満を爆発。万博の準備遅れへの懸念を訴えてきた宮本会長を指しているのは明らかで、今回の「リングが邪魔」との宮本会長発言は、松本会長に対する意趣返しにも聞こえる。 

 

「以前も言ったように、リングを1周つなげず点線のようにすれば、搬入・搬出もラクになる。既にできている6割強で、広場の演出は可能。残りは例えば、若手建築家に頼んだトイレのデザインのように、いろんなデザイナーにやってもらったらどうでしょう」(森山高至氏) 

 

 連日のようにツッコミネタがあふれ出てくる万博。お笑いの本拠地・大阪といえども、もう十分だ。 

 

 

 
 

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