( 142741 ) 2024/02/24 23:46:40 1 00 昨年の中国への外国からの直接投資が急減し、日本の投資も減少していることが報告されている。 |
( 142743 ) 2024/02/24 23:46:40 0 00 【お金は知っている】
中国の国家外貨管理局発表の国際収支統計によれば、昨年1年間の外国の対中直接投資は前年に比べ約4・7兆円、81・7%も減った。「中国経済衰退」の言説を封じ、不都合な情報を隠すか粉飾するケースが習近平政権で横行しているが、国際収支だけは国際通貨基金(IMF)のガイドラインに従う必要があるので、ごまかすわけにはいかなかったのだろう。
日本分については未公表だが、日本の対中直接投資は財務省や日銀統計から拾い出せる。グラフがそれである。見ると、投資の回収は年々増加し、昨年は7703億円に上った。投資の回収には中国からの引き揚げ、撤退も含まれる。投資実行額から回収を差し引いたネット(正味)の対中投資は21年の約6割、7976億円減り、22年比では約25%、1794億円減だ。世界全体の対中投資激減ほどではないが、日本企業の中国離れはかつてなく強い。
気がかりなのは、政財界のいずれも、依然として「日中友好」路線に縛られ、横暴極まりない習政権に毅然(きぜん)とした対応をとらないことだ。日中経済協会と経団連、日本商工会議所の代表団が1月下旬、訪中したが、相方は経済政策の専門家集団の国家発展改革委員会の劉蘇社副主任であり、政治的影響力は期待できない。経団連の十倉雅和会長と劉氏は互いに型通りの「日中協力」の必要性を述べ合った。進藤孝生日本製鉄会長は中国当局に拘束されたままのアステラス製薬の駐在員問題などを念頭に、中国のインターネット安全法や反スパイ法の運用が透明性を欠いていると批判したというが、改革委員会レベルでまともな返答ができるはずはない。
不動産バブル崩壊は依然として底が見えず、金融不安が続発し始めている。昨夏に表面化したノンバンク最大手の中植企業集団や傘下の中融国際信託の信託商品の巨額焦げ付き問題は緩和のメドも立っていない。習政権の対策は情報の隠蔽と公安当局による脅しである。投資家の問い合わせに対し、金融管理当局は「調査継続中」を繰り返すのみである。
各地の公安警察の刑事は、損害を受けている投資家が中植や中融に抗議に出向こうとすれば、深夜早朝を問わず投資家の自宅にやってきて「拘束」をほのめかす毎日だ。公安警察はすでにこれら投資家の個人情報を把握し、SNSなどを通じて投資家どうしが相互連絡できないように仕組んでいる。中国から逃げ出しているのは外資ばかりではない。中国の中間層以上は資産を海外に移そうとし、情報技術(IT)などの高度人材や企業家は中国ではなく、海外での働き口や起業を追い求めている。従って、中国からはカネが流出する一方である。拙近著「中国経済衰退の真実」(産経新聞出版刊)で詳述しているように、外貨が入らなくなれば中国金融は行き詰まる。
岸田文雄政権はこの機に乗じて日本企業の脱中国を支援し、習政権に断固とした態度で臨むべきなのだ。 (産経新聞特別記者 田村秀男)
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