( 143076 )  2024/02/25 23:44:50  
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東京駅周辺のビルが写真で確認できる。

全国の企業倒産が増加しており、特に埼玉県や中小企業での影響が顕著。

為替レートの円安や物価上昇、人手不足、コロナ禍による財務の影響が挙げられる。

特に、コロナ禍で支援されていた「ゼロゼロ融資」の返済が難しくなり、倒産が増えている状況が続いている。

金融機関に対する支援要請の不足や突然の倒産も増加しており、今後も倒産が増える可能性が高いことが指摘されている。

(要約)

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東京駅周辺のビル群(本社ヘリから、佐藤徳昭撮影) 

 

企業倒産の増勢が続いている。令和5年の全国の企業倒産(負債総額1千万円以上)は8690件(前年比35・1%増)と4年ぶりに8千件を超えた。さらに、増加率35・1%は平成4年(前年比31・2%増)以来、31年ぶりの高水準で急速に倒産件数が増加している様子がうかがえる。 

 

勢いは6年に入ってからも変わらず、1月の全国の企業倒産件数は701件(前年同月比22・9%増)となり、4年4月から22カ月連続で前年同月を上回る形となった。埼玉県内でも1月の企業倒産件数は28件(前年同月比16・6%増)となり、8カ月連続で前年同月を上回った。 

 

為替レートは1ドル=148円から150円前後と円安の傾向が続き、原材料や資材、燃料、電気、食品など、中間財から最終財、消費財まであらゆるモノ・サービスの価格が上昇している。中小・零細企業の価格転嫁は難しく、下請け色が濃い運送業や建設業などでは物価高を背景とした倒産が目立っている。また、人手不足も深刻な状況が続いており、人材確保のための賃上げも避けられないが、資金力を超える賃上げには対応できず、人件費高騰や求人難、従業員の退職などを理由とする「人手不足」関連倒産も増加している。 

 

コロナ禍で中小企業の資金繰りを支えてきた実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」も返済がはじまり、借り入れ返済が難しい飲食業やサービス業などを中心に同融資を利用した企業の倒産も後を絶たない。倒産が増えている現状でも5年1月に開始された「コロナ借換保証」や、金融機関の柔軟なリスケ対応により、「ゼロゼロ融資」利用後の倒産が抑制されている側面があり、本年4月に民間金融機関における「ゼロゼロ融資」の返済が最後のピークを迎えるとみられるため、今後、過剰債務を抱えている企業の倒産が本格的に増加する可能性も否定できない。 

 

ここにきて、金融機関に相談やリスケ(借り入れ条件の変更)などの支援要請をしないまま行き詰まる「突然死」の倒産が増えている。「事前の相談もなく、弁護士から突如、倒産の連絡が来る会社が多い」(県内金融機関)との声が聞かれ、本業で借り入れ返済資金や運転資金の捻出が難しい企業は、これ以上の負債を増やす前に再建や再生を諦め、倒産を選択する企業も増加しているようだ。 

 

金融機関には小・零細企業まで裾野を広げ、コミュニケーションを密にして課題把握や支援が求められるが、当面は「ゼロゼロ融資」の返済が本格化する企業を中心に倒産の増加が続きそうだ。(佐々木博司・東京商工リサーチ埼玉支店長) 

 

 

 
 

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