( 143731 )  2024/02/27 23:49:30  
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国産セダンが相次いで生産終了し、日本の自動車メーカーが提供するセダンモデルも減少している。

セダンのメリットは、安定性や運動性能、静粛性、大容量の荷室などが挙げられる。

しかし、SUVやミニバンなど他のボディタイプも使い勝手や快適性でセダンに迫るように進化しており、消費者の需要が低下している。

今後もセダンの需要が戻る可能性は低いと考えられ、運転支援技術の進化により、リラックスできる空間重視の車両が人気を集める可能性が高い。

(要約)

( 143733 )  2024/02/27 23:49:30  
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「マツダ6」が生産終了し、昨年末には長い歴史を誇るトヨタ「カムリ」が国内生産を終えています。日産「シーマ」やホンダ「レジェンド」などもすでに生産を終えており、国産セダンが相次いで終了しています。 

  

 では、セダンであることのメリットはどういうところにあるのでしょうか。また、今後人気が出ることはないのでしょうか。 

 

【画像】「超カッコイイ!」 これが「日本が誇る」スポーツセダンです!(30枚以上) 

 

数少ないFRスポーツセダンの日産「スカイライン」 

 

 国内で、新車販売するセダンがますます少なくなっています。 

 

 昨年(2023年)末にトヨタがカムリの国内向け生産をやめ、マツダも2024年4月中旬にはマツダ6の国内向け生産を終了予定です。 

 

 ここ数年でトヨタ「アリオン/プレミオ」、スバル「レガシィB4」「インプレッサG4」、日産はシーマと「ティアナ」、ホンダはレジェンドと「グレイス」といったように、日本市場からセダンがどんどん消え、どのメーカーもセダンの数を少なくしてしまいました。 

 

 参考までに2024年2月中旬時点で日本のメーカーが展開しているセダンをまとめると以下のようになります。 

 

 トヨタ:「カローラ」「カローラ アクシオ」「クラウン(セダン)」「プリウス(公式サイト上ではセダンに分類)」「MIRAI」「センチュリー(セダンタイプ)」 

 

 レクサス:「LS」「ES」「IS」 

 

 日産:「スカイライン」 

 

 ホンダ:「アコード(新型登場待ち)」 

 

 マツダ:「マツダ3 セダン」「マツダ6 セダン(4月中旬生産終了予定)」 

 

 スバル:「WRX S4」 

 

 スズキ・三菱・ダイハツ:なし 

 

 こうして並べてみると、トヨタは減ったとはいえ、まだ多く用意している印象。 

 

 今やSUVがラインナップの中心となったレクサスも、モデル数(公式サイト上で15車種)の割には多いといえるかもしれません。 

 

 いっぽうで他のメーカーは、用意していても1車種にしかすぎません。 

 

 しかも日産はV型6気筒ターボエンジン搭載のスカイライン、スバルだと同社の最速モデルとなるWRX S4といった、“買う人を選ぶ”モデルを「その1車種」としています。 

 

 もはや「どうしてもセダンが必要」もしくは「スポーツセダンが好み」という人だけに向けた商売と言えるのかもしれません。 

 

 どうしてこうなったのでしょうか。それは「セダンの人気が低下したから」に他ならないでしょう。 

 

 街を走るクルマをみても、かつてにくらべてセダンを見かけなくなったことを実感できます。 

 

 

 ところで、そんなセダンのメリットはどこにあるのでしょうか。 

 

 まずは運動性能面です。セダンは重心が低いので安定性に優れ、旋回時や高速走行時の安定感が高いという物理特性上の長所があります。 

 

 加えて、ワゴンやSUVに比べて車体を頑丈に作れ、これも走りの質を高めます。高速走行や長時間運転でも疲れにくいのがセダンの長所といえます。 

 

 もうひとつは実用面。居住スペースと荷物を置く場所(トランク)が独立していることで、荷室下側から伝わる音をシャットアウトしてキャビンの静粛性が高まるなどのメリットがあります。 

 

SUV主力の現在「セダン」はどうなっていくのか 

 

 かつてそれらは、セダンの大きなアドバンテージでした。 

 

 そんな走りや快適性の質に、SUVの先輩である「ヨンク(四駆)」やステーションワゴンは近づけなかったのです。 

 

 しかし時は流れ、クルマ作りが進化するにつれてステーションワゴンやSUVなどでもそれらの“差”を克服していきます。実質的にセダン以外のボディタイプが明確にデメリットを感じるという状況ではなくなりました。 

 

 そんな流れもあり、より利便性の高いSUVやミニバンに乗用車の中心が移行したということでしょう。 

 

 SUVは見晴らしの良さや段差を気にしなくていいこと、ミニバンは室内が広いことなどでセダンに対する使い勝手のアドバンテージがあります。 

 

 昨今、SUVは日本の乗用車販売におけるボディタイプ別のシェアが約6割を占める“多数派”となりました。 

 

 では、この先、乗用車の中心がセダンに戻ることはあるでしょうか。 

 

 筆者(工藤貴宏)は、「可能性はゼロではないが、限りなく低い」と考えます。 

 

 なぜなら、消費者がセダンならではのメリットを感じにくいからです。 

 

 前出のように、セダンのメリット(他のボディタイプに対するアドバンテージ)はかつてに比べてずっと小さくなりました。 

 

 そんなセダンのメリットよりもSUVやミニバンの特徴に魅力を感じるのであれば、消費者が再びセダンに戻ってくる可能性は少ないと考えるのが自然です。 

 

 むしろこの先、運転サポート技術の進化で自動運転に近づけば近づくほど、高速移動中にいかにリラックスできるかが求められるようになるでしょう。 

 

 つまりミニバンのような空間重視のクルマが人気となる可能性が高いと判断できます。 

 

※ ※ ※ 

 

 かつての日本には「冠婚葬祭はセダンでないと」という風潮があり、それも乗用車の中心がセダンとされた理由のひとつでした。 

 

 しかし今では、そう考える人はほとんどいないでしょう。 

 

 ハードウェアとしてのセダンのアドバンテージのほかに、そういった社会の変化もセダン離れを進め乗用車の多様化をもたらした理由のひとつになっていると考えられます。 

 

工藤貴宏 

 

 

 
 

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