( 144068 ) 2024/02/28 23:11:17 0 00 自身が衆院政治倫理審査会へ出席することを表明する岸田文雄首相=28日午前、首相官邸(春名中撮影)
岸田文雄首相が自民党総裁として、派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)に全面公開で出席すると決断したことで、安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)の5人も全面公開で出席せざるを得ない状況になり、開催を巡る与野党の膠着状態は打開された。自民内には「100%首相の狙い通り」(党幹部)と、首相の奇策は奏功したとの見方が広がった。
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出席者の一人、安倍派事務総長を務めた高木毅前国対委員長は28日夕、地元・福井県の知事らによる首相表敬訪問に同行した。官邸で記者団に囲まれると、首相の決断に「びっくりした」と述べ、自身も「説明責任(を果たす)ならばオープンの方が良いと判断した」と語った。
5人の出席方針は昼ごろには固まり、ある党幹部は「首相は安倍派より世論を選んだ。内閣支持率は上がるのでは」と楽観的な見方を示した。渡海紀三朗政調会長は国会内で記者団に「そういう(全面公開の)形で出ることは本人の名誉のためにも良いことだと思う。できる範囲で疑問に答えていただき、政治不信の解消に少しでもつながれば政治が前に進む」と期待感を示した。
5人が全面公開に応じなかった状況では、地元選挙区の支援者や地方議員に「自民党は何をやっているんだ」などと非難されていた自民の国会議員は多い。二階派衆院議員の一人は「首相が救世主のように現れ、5人も出ざるを得なくなった。総理の求心力は高まった」と称賛した。
一方、首相が全面公開を事実上迫ったことに戸惑う声も漏れた。政倫審は原則非公開で、出席者本人が許可した場合は公開できる規定だからだ。党幹部の一人は「本人が申し出た結果ということでしょう」と語り、あくまで原則は守られたとの建前を強調した。無派閥議員は「首相が話す内容、その報道、野党の反応次第では他の5人が出席しづらくなる。岸田さんは相変わらず何を考えているか分からない人だ」と首をかしげた。(田中一世)
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