( 145296 )  2024/03/03 14:51:57  
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週刊誌の報道によると、松本人志とサッカーの伊東純也に性加害の疑いがかけられているが、松本側は記事に客観的証拠がないとして否定している。

一方、週刊文春は女性たちからの証言を慎重に検証し、弁護士も訴状の内容に違和感を示している。

弁護士のやり方にも疑念が持たれており、女性たちを孤立させる行為は問題視されている。

この裁判は#MeToo運動の展開や週刊誌メディアのあり方にも影響を与える可能性があり、注目されている。

(要約)

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伊藤純也(C)日刊ゲンダイ 

 

【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】 

 

 持つべき友は医者と弁護士といわれるが、松本人志もサッカーの伊東純也も弁護士に友だちはいないのだろうか。 

 

小泉今日子がジャニーズ性加害問題でTV界にモノ申す「悪い膿みたいなのが出始めている」 

 

 週刊文春(2月29日号)が松本側から送られてきた訴状を公開している。そこではこう主張しているという。 

 

「本件記事は、原告がA子及びB子に対し性的行為を強要したという客観的証拠は存在しないにもかかわらず、一方的な供述だけを取り上げて記事として掲載するという、極めて杜撰な取材活動に基づくものである」 

 

 一方、文春側は、A子に接触したのは今から3年半ほど前だったが、「当時はまだ、松本から受けた被害を誌面で告発する勇気を持ち合わせていなかった」ために記事を見送った。その後、「松本の携帯電話の番号を入手して、その番号がA子の知る松本の携帯電話と同一であることを確認」「A子が記憶していた当時の松本の髪の色や服装、彼女の証言内容に矛盾がないかを確認するため、過去のテレビ映像や新聞、雑誌の過去記事などを取り寄せて分析」、現場ホテルの実況見分を行うなど、「A子の証言にどれほどの信憑性があるのか、一つずつ確認していった」と反論している。 

 

 さらに“無罪請負人”といわれる弘中惇一郎弁護士が訴状を見て、同誌でこう話している。 

 

「通常、訴状には何が事実で、何が虚偽なのかを書くものですが、この訴状にはそれが一切書かれていない。(松本が)女性たちと性的関係に至ったのかどうかも説明しておらず、強い違和感を覚えます」。さらに、「刑法でも昔は強姦罪と言っていたものが、二三年七月に不同意性交等罪に変わりました。現在の考え方は、脅したり暴力をふるったりしなくても、立場を利用して同意なく性行為を行えばそれだけでアウトです。全体的に問題提起の仕方が古くて今の常識に反しており、昔の強姦罪的なイメージで訴状が作られている感じがします」。 

 

 この注目の裁判、リングに上がる前に松本側がノックアウト寸前と、私は見た。 

 

 伊東純也の代理人、加藤博太郎弁護士のやり方も、私には違和感がある。 

 

 加藤弁護士は多くのメディアに出て、「女性2人の話がまったくのでっちあげだと考えています。それは客観的証拠からもそう言えると思います」(フジテレビ系『イット!』2月8日放送)と、“セカンドレイプ”といわれても仕方ないような発言を繰り返してきた。 

 

 その上、女性たちに2億円超の莫大な損害賠償を求めて「逆提訴」してきたのだ。しかし、彼女たちの告発を報じた週刊新潮は訴えないという。理由は、新潮を訴えて勝ったとしても取れる金額がわずかだからというのだ。 

 

 私にも経験があるが、こうした訴訟手法は女性たちを孤立させ、萎縮させて自分たちに有利に運ぼうというスラップ訴訟(言論抑圧訴訟)の一種で、品のいいやり方ではない。奥に引っ込んでろといわれた新潮は怒るべきだし、メディアとして彼女たちのいい分を報じた責任は自ら取るという立場をはっきりさせるべきである。 

 

 万が一、彼女たちの告発の裏を十分に取らずに掲載したとすれば、2009年に起こした「赤報隊実名手記」大誤報の二の舞いになり、今度こそ休刊に追い込まれるかもしれない。 

 

 この2つの性加害疑惑訴訟は、この国に「#MeToo運動」が広がるのかどうかの重要な岐路になると同時に、週刊誌メディアの正念場でもある。(文中敬称略) 

 

(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長) 

 

 

 
 

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