( 145838 ) 2024/03/05 13:21:53 0 00 話題の“セルフコーヒー万引き”、大手3社に話を聞いた
産経新聞(電子版)は2月28日、「70円の利益で退職金がパー コンビニコーヒー不正使用で懲戒免職、中学校長の『罪と罰』」との記事を配信した。兵庫県の中学校校長が、コンビニでレギュラーサイズのコーヒーを注文しながら、マシンのボタンはラージサイズを押していたことが発覚したのだ。
【写真をみる】「R」カップに「L」の量を注いだ中学校長 他人事ではない、犯行の“身近すぎるきっかけ”とは?
***
記事によると、昨年12月21日にコンビニの店員が気づき、校長に声をかけると不正を認めたという。その後、同じ店で2回、ほかの店でも4回、同様の不正行為を繰り返していたことも明らかになったそうだ。
きっかけは、押し間違いだった。レギュラーサイズのカップでも溢れることはなく、店員も注意しなかった。安易な気持ちで繰り返してしまったようだが、代償は大きかった。刑事処分としては不起訴(起訴猶予)になったとはいえ、県教委は懲戒免職処分を決定。数千万円という退職金や教員免許を失ってしまった。
デイリー新潮は1月1日、「レギュラーの110円でこっそり190円のカフェラテを…意外と多いコンビニ『セルフコーヒー万引き事件』 大手3社の対応策を聞いた」との記事を配信した。改めて、ここで全文を再掲しよう。
2023年12月、とある“万引き”が全国ニュースとして報じられ、XなどのSNSで話題になった。福岡県飯塚市のコンビニで8日、51歳の会社員の女が110円のレギュラーコーヒーを購入。ところが、女がセルフのコーヒーマシーンで押したボタンは190円のカフェラテだった。このため女は、窃盗容疑で逮捕された。担当記者が言う。
「差額の80円を狙った犯行だったわけですが、すでに店員は女のことを把握していました。以前にも複数回、コーヒーを購入しながら、カフェラテのボタンを押すのを目撃していたのです。そこで8日、コーヒーを購入した女性がカフェラテのボタンを押すのを確認し、店が警察に通報。福岡県警の飯塚署が女性を逮捕しました」
過去の報道を調べてみると、2019年1月に初めて“セルフコーヒー万引き”が注目を集めたようだ。この時は全国紙も相次いで記事を掲載した。衝撃の大きさが伝わってくる。
「偶然ですが、この時も福岡県警が容疑者を逮捕しました。62歳の会社員の男は100円でコーヒーカップを購入したのですが、そこに150円のカフェラテを注いだのです。民放キー局などは実名で報じましたが、新聞は匿名が目立ちました。ちなみに地元ブロック紙の西日本新聞は記事の掲載自体を見送っています。同紙の報道を議論する第三者機関の『人権と報道・西日本委員会』で議題として取り上げ、社会部長が報道しなかった理由を説明すると、委員長が『報道しなかった判断は正しい』との見解を示しました」(同・記者)
セルフコーヒー万引きがきっかけで、人生を棒に振ったり、他人に重症を負わせるといった深刻なケースも報道されている。
2021年1月、熊本県警の熊本中央署は、60歳の熊本市の非常勤職員の男を逮捕した。男はレギュラーサイズのコーヒー100円を注文し、そのカップにラージサイズのカフェラテ200円を注いでいた。
やはり店員が被害を把握しており、熊本中央署に相談していたため逮捕となった。男は容疑を認め、「お金がもったいないと思った。カフェラテが好きで20回ほどやった」との供述が西日本新聞に掲載されている(註1)。
そして翌2月、熊本市は男を免職にしたと発表。調査で容疑を認め、常習性も確認されたことから、悪質と判断したそうだ(註2)。
22年10月には、セルフコーヒー万引きが原因で、容疑者がコンビニのオーナーを車から振り落とすという事件が発生した。
「群馬県大田市にあるコンビニで、60歳の契約社員の男がコーヒーのカップにカフェラテを注ぎました。男が駐車していた軽乗用車に乗ったところ、オーナーが追いかけてきました。男は軽乗用車で逃走しようとしたので、オーナーはワイパーにしがみついたのです。男は振り落とそうと数百メートルを蛇行運転。オーナーは路上に振り落とされ、外傷性くも膜下出血などの重傷を負いました。群馬県警は強盗殺人未遂の疑いで男を逮捕しました」(同・記者)
よくコンビニでコーヒーを購入するという会社員の男性は「ニュースを見るたび、他人事のような気がしません」と言う。
「私はサイズを間違えたことがあります。コーヒーのSサイズを購入したのですが、マシンではMサイズのボタンを押してしまったのです。ぎりぎりでしたが、あふれ出すことはありませんでした。店員さんに事情を説明し、差額を払うと申し出ました。ところが外国人の店員さんは『いいよ、いいよ』と笑顔を浮かべるだけで、とうとう最後までお金を受け取ってくれませんでした」
コンビニ大手のセブン-イレブン、ローソン、そしてファミリーマートの3社に対応策を質問すると、いずれも文書で回答があった。全文を紹介する。
◆セブン-イレブン
コーヒーの販売に関わる対応策ということにつきましては、セブン-イレブンでは全国ほとんどの店舗で、サイズやメニューを自動認識するマシンの設置をしており、押し間違いを防ぐことにもつながっています。具体的な設備に関しては公開できませんが、お客様がどのボタンを押したかは、店員にはわかるようになっています。お客様のサイズボタンの押し間違いに関しては、お客様のほうからお申し出をいただくこともありますし、お店側で「違うのでは?」と気づいた場合には、お声がけさせていただいております。
◆ローソン
弊社の店内淹れたてコーヒーには、店舗従業員がコーヒーを入れて提供する店舗と、お客様ご自身で入れていただくセルフでのご提供の店舗があります。前者は、店員がコーヒーを注いでお渡ししており、お客様による不正購入はしづらい仕組みです。セルフの場合、お客様へカップをお渡しする際に商品の種類やサイズを復唱するなどの対応を実施しています。
◆ファミリーマート
お客様からお申し出いただくか、お店の方からお声掛けさせていただく場合もございます。 お客様が誤って違うボタンを押してしまうことを極力防ぐため、コーヒーマシンの外部に、商品名・サイズの表記に加え商品画像も掲示しています。
註1:100円カップに200円のカフェラテ 「お金もったいない」と20回 市職員の男、窃盗容疑で逮捕 熊本中央署(西日本新聞:2021年1月22日朝刊)
註2:窃盗容疑職員を免職 3人を停職、減給に 熊本市(同:2021年2月19日朝刊)
デイリー新潮編集部
新潮社
|
![]() |