( 145861 )  2024/03/05 13:53:38  
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Gettyimagesは、株式市場の動向に関する記事を提供している。

日本の株式市場は長い間バブル期の高値に縛られていたが、ついに解き放たれ、日経平均株価が連日最高値を更新している。

しかし、多くの専門家は日本株がまだまだ割高ではないと指摘している。

また、春闘での賃上げや中国からの資金流入などが日本株に追い風をもたらしている。

ただし、一部の専門家は急激な値上がりに懸念を示し、今後のイベントや金融政策の変更に警戒を呼びかけている。

(要約)

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 連日の株高を、指をくわえて見ているだけではもったいない。経済の先行きを見通せば、必ずチャンスはめぐってくる。いったん調整して、再び暴騰へ。識者の言葉に耳を傾け、そのときに備えよう。 

 

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 34年もの長きにわたって、日経平均株価を縛り続けた「バブル期の最高値3万8915円」という呪縛から日本市場がついに解き放たれた。 

 

 日経平均株価は連日のように「バブル後最高値」を更新し、それが大々的に報じられるため、再び「バブル」がやってきているかのように錯覚されるが、日本株はまだまだ割高ではないと、多くの専門家が口を揃える。 

 

 『教養としての「金利」』などの著書があるミリタス・フィナンシャル・コンサルティング代表の田渕直也氏が解説する。 

 

 「日経平均のバブル期超えには大きな要因が2つあります。1つ目は大企業を中心とした日本企業の収益力の改善です。円安が一部の大企業の収益を押し上げているのは事実ですが、それだけが原因ではありません。収益力改善の裾野は広く、日本株には依然として割高感は見られません。 

 

 2つ目は世界的なカネ余りです。たしかに、米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)など欧米では量的金融引き締めが行われています。ただ、これはそれ以前に行った大規模な量的緩和のごく一部を巻き戻しているにすぎません。カネ余りの度合いは、いまだ史上空前のレベルのまま推移しています。この有り余ったマネーの一部が米国のITテクノロジー株に流れ込んでいたわけですが、さらにその一部が日本株に向かい始めているのが今の状況です」 

 

 すなわち、日経平均のバブル超えは通過点にすぎないというわけだ。 

 

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 さらにこの春闘での賃上げにも注目が集まっている。昨年の実質賃金は前年比マイナスに沈んだが、これが好転する兆しがある。第一生命経済研究所首席エコノミストの嶌峰義清氏が言う。 

 

 「物価が上がれば、モノを高く売ることができ、企業の収益性が改善されます。その分、人件費に当てる余裕ができ、給料が上がってくる。一方で、消費者の側から見ると、物価が上がるので、早く買わなければ損することになります。給料が上がるなかで、モノを買う余裕が出てくると、消費者は早く買おうとする。その結果、高くなってもモノが売れるので、企業の収益性は維持される。こうして景気にプラスの循環が生まれます」 

 

 そして収益が上がると見越して、企業の株価はどんどん上がっていく。 

 

 嶌峰氏が続ける。 

 

 「日経平均については、4万円を超える局面を想定しなければいけないと思います。昨年末に修正した見通しでは、4万円を上限としていたのですが、その見通しもさらに修正して、早い段階で4万2000円くらいまで上がってもおかしくないと見ています」 

 

 中国経済が不況になり、デフレに沈みつつあることも、日本株に対して追い風に作用している面もある。 

 

 「中国の投資家は自国の株式や不動産投資で利益が出なくなったため、日本の株式に投資を振り替えているようです。実際に中国からの資金流入も観測されています」(大和証券シニアストラテジストの林健太郎氏) 

 

 

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 さらに中国から日本への資金を振り替えているのが、中東のオイルマネーだという。ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストの井出真吾氏がトレンドを解説する。 

 

 「年明けから日本株を買いに来ているのは、中東の産油国のオイルマネーと言われています。これまで中国株に投資してきた資金を、日本に移しているようです。オイルマネーは、短期的に逃げ出す性質のものではありません。腰を据えた運用をするので、日本株を底堅くするのではないでしょうか」 

 

 ただし、急激に値上がりしてきた日本株に懸念を示す向きが多いのも事実。慶應義塾大学大学院教授で経済学者の小幡績氏はこう警鐘を鳴らす。 

 

 「現在は、バブルの真っ只中にいる状況です。おそらく、今後、日経平均は4万円を突破するでしょう。その後は、米国次第です。正直なところ、何がきっかけになるかはわかりませんが、市場が悲観的になれば、バブルは弾けます」 

 

 実際、4月以降は、株価にネガティブな影響を与えかねないイベントが立て続けにある。日経平均が4万円を大幅に超えたタイミングで、いったん「売り」を入れ、利益確定をするのが賢明かもしれない。 

 

 まず、市場関係者が固唾を飲んで見守るのが、日本銀行(日銀)の金融政策の変更だ。上武大学ビジネス情報学部教授の田中秀臣氏が言う。 

 

 「日銀がマイナス金利を解除すれば、長期金利も上昇することは避けられません。その結果、企業は資金調達をしづらくなり、それは景気の腰を折って、消費にブレーキをかけます。 

 

 また、金利の上昇は為替を今よりも円高にする方向に働くため、円安に支えられている企業にとってはマイナスで、これも株価を下げる方向に働きます」 

 

 後編記事『「日経平均は突然35000円程度に調整する可能性も」...今後“暴落”してもそこが「絶好の買い場」と言えるワケ』へ続く。 

 

 「週刊現代」2024年3月9日号より 

 

週刊現代(講談社) 

 

 

 
 

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