( 146231 )  2024/03/06 13:36:41  
00

20代男性の約半数が恋愛経験がない状況にあり、これは「チー牛」と呼ばれる弱者男性を揶揄するネットスラングと結びついている。

しかし、20代のうちはチー牛属性を気にする必要はなく、若い頃に自己変革するチャンスが多くあると論じられている。

中年になってもチー牛のままだと結婚や社会への包摂が難しくなる可能性があり、結婚は人生を幸福にする重要な要素であると指摘されている。

そのため、若いうちにチー牛デトックスを達成し、家族を持って幸福な人生を送ることが望ましいとされている。

(要約)

( 146233 )  2024/03/06 13:36:41  
00

AdobeStock 

 

 20歳~49歳の未婚の1200人への調査(リクルートブライダル総研「恋愛・結婚調査2023」)によると、現在、「交際経験なし」という20代の男性は46%だという。もはや、多くの男性にとって、20代で恋愛経験がないことは普通の時代となった。 

 

 しかし、「恋愛経験のないまま中年男性になってしまうと、幸福にはなれない」と主張するのは、アラフォー男性の生態に造詣が深いネット論客のポンデベッキオ氏だ。最近話題のネットスラング「チー牛」という視点を通して考察するーー。 

 

「チー牛」というネットスラング。聞いたことがある方も多いだろう。就労支援施設で働く覇気の無い男性の特徴がイラスト化されたものが元ネタだ。そのイラスト内では、大手牛丼チェーン「すき家」の商品である「とろ~り3種のチーズ牛丼」を注文している姿が描かれていたことから、イラスト内の男性のようにメガネをかけた弱々しい男性のことを、ネットの住民たちはいつしか「チー牛」と呼ぶようになった。 

 

 生気のない幼い表情、小学生のような髪型に眼鏡、控えめなアゴと華奢な体つきからは、テストステロンの少なさがにじみ出ているように見える。弱者男性の特徴を鋭くとらえた「チー牛」のイメージは瞬く間にネットに拡散された。今や「チー牛」は、非モテ男子や、いわゆる「弱者男性」を馬鹿にするスラングとして、不動の地位に君臨している。 

 

 しかし筆者は以前から感じていることがある。20代のうちは、チー牛のままでいても男性は全然慌てなくていい。チー牛のイラストを見て「うわぁ俺じゃん……」と落ち込んでいる若い男子がいるかもしれないが、正直何も気にする必要はない。チー牛属性なんて、若ければいくらでもデトックス可能である。 

 

 20歳~49歳の未婚の1200人への調査(リクルートブライダル総研「恋愛・結婚調査2023」)によると、現在、「交際経験なし」という20代の男性は46%だという。つまり、20代男性の約半数が、多かれ少なかれ、チー牛なのだ。 

 

 ネットではモテる男性や既婚男性ばかりが目立ちつい勘違いしてしまいがちだが、20代のチー牛男性なんて、街中に溢れているのである。合コンや友達からの紹介システムも廃れ、マッチングアプリなどでイケメン強者男性総取りの厳しい恋愛至上主義システムが浸透した令和では、20代からサクッと彼女を作って結婚できる男子はそこまで多くないのである。若者はSNSでチー牛と煽られても何も慌てる必要はない。 

 

 

 「チー牛デトックス」するチャンスは若ければ若いほど多い。大学デビュー、サークル活動やバイトなど、新しいコミュニティに触れる機会が沢山あり、チー牛の殻を破って新しい自分をプロデュースするチャンスはいくらでも転がっているのである。メガネはコンタクトにすればいいし、髪型もハゲているわけではないので、いくらでも変えられる。体型もまだ比較的スリムなことが多いだろうから、服装も多様な選択肢があるだろう。おしゃれを頑張って目線を上げて胸を張れば、チー牛はチー牛ではなくなってしまうのだ。ついでにちょっとスポーツや筋トレでもして体つきをよくすれば完璧だ。 

 

 チー牛は確かに遺伝子的には強者男性に及ばないのかもしれないが、遺伝子の指示に従って弱いままの自分で生きる必要はどこにもないのである。令和は適応の時代であり、本当の自分なんかに価値はなく、いかにコミュニティで臨まれる自分に変化できるのかが重要な時代、ではないだろうか。根が大人しくて引っ込み思案でも、明るく振舞っているうちにどんどん明るい性格に変化していくのが人間である。クラスで虐められていた華奢で大人しいチー牛が、スポーツや格闘技、仕事などを通して屈強なツーブロックゴリラに変身する例はいくらでもある。 

 

 しかし20代のうちに変わるチャンスを逃してしまい、チー牛のまま歳を重ねてしまうと、チー牛デトックスをして生まれ変わることが難しくなってしまう。中年に近づくほどに参加できる新しいコミュニティの数は減っていってしまうし、一緒に参加してくれていたチー牛仲間たちも一人、また一人と「脱チー牛」を成功させ、結婚し、家庭を築いていく。機会と仲間を失い孤立した中年チー牛は同じことを繰り返す人生の中で急速に年老いていく。 

 

 チー牛のまま中年になることの最大のデメリットは“結婚できないこと”である。チー牛最大の特徴である「弱気で決断力に乏しく、相手の顔色をいつも伺ってしまう気質」は、リードされたい多くの女性たちにとってめちゃくちゃウケが悪いのだ。婚活企業のアドバイザーは非モテ男性に対して女性をリードしてお店選びをしてデートのプランを提案するように指導する。決められないチー牛男子は女性に結婚相手に選んでもらえないのだ。 

 

 

 道徳的な建前があるので誰も表立っては言わないことであるが、何者でもない独身中年男性に世間の風当たりは非常に厳しい。いくら「ポリコレ」を意識する世の中になったとはいえ、その点については昭和も令和も変わらないのだ。 

 

 実態として、中年おじさんは結婚して子供を授かることで初めて社会の一員として社会に包摂される。本音と建前はやはり違うのだ。「世間はお一人様でも楽しい人生!」などと建前を並べ立ててはいるが、本音の部分では「アラフィフにもなって未婚の人間には何か問題があるのではないか?」「共感力や協調性に欠けた人物なのではないか?」と考えている人もいまだに少なくない。「チー牛デトックス」ができずに独身のまま中年になった男性は、本人にそんなつもりは一切なかったとしても社会から危険分子として警戒されてしまうのだ。 

 

 そのため、「脱チー牛」できなかった独身中年男性がママさんと子供たちで活気づく公園に突撃すれば一瞬で公園の空気はピリついてしまうのだ。おっさんに近寄って来てくれるのは「こいつ寂しそうだし俺らに餌をくれるタイプのニンゲンじゃねーか?」と期待する鳩たちだけだ。しかしもしおっさんの後ろにボールとグローブを持つ子供と赤ちゃんの乗ったベビーカーを押す奥さんがいた場合はどうだろうか? 公園の空気はほどけ、危険分子と見做されていたおっさんは優しいパパさんへと変身するのである。 

 

 これだけ自由に生きることがよしとされる令和においても、約7割の男女は結婚する。期間工合同会社(https://kikankou.co.jp)の調査によると、2023年最新の日本の生涯未婚率は、男性が28.25%、女性が17.85%だったという。徐々に未婚率は増加しているものの、いまだに約7割の男性が結婚しているのだ。 

 

 そうすることで社会に包摂され、トータルで人生を考えれば“得”をすることをわかっているからである。統計データを見ても、30代以降は男女ともに既婚者が独身者よりも高い幸福度を感じて生きていることが明らかになっている。 

 

「人の価値は他者からの評価で決まる」と故・野村克也氏は述べた。社会的動物である人間は世間に承認されることで心の安定を得ることができる。未婚であり続けても幸福に生きられるほどの才能や運を持っている人間は男女ともに非常に少ない。チー牛男子は若くて機会に恵まれているうちに「チー牛デトックス」を成し遂げて家族を作り、幸福な30代40代を送って欲しい。 

 

ポンデベッキオ 

 

 

 
 

IMAGE