( 146248 ) 2024/03/06 13:55:33 0 00 Gettyimages
連日の株高を、指をくわえて見ているだけではもったいない。経済の先行きを見通せば、必ずチャンスはめぐってくる。いったん調整して、再び暴騰へ。識者の言葉に耳を傾け、そのときに備えよう。
【一覧】日経平均4万円突破でも「まだまだ安心して買える12の超厳選銘柄」
前編記事『「今はバブルではない」「日経平均はまだまだ上がる」と識者たちが口をそろえて説明する「納得の理由」』より続く。
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では、日銀が金融政策の変更に踏み切るタイミングはいつか。田中氏がこう続ける。
「4月25~26日か、早ければ3月18~19日に行われる日銀政策決定会合で、マイナス金利が解除されると言われています。ただ、一方で、日銀は『金融緩和は継続する』とアナウンスし続けているので、バブル崩壊のような状況になることは考えにくいでしょう」
次に市場を待ち構えるのが、米国の金融政策の変動だ。FRBはインフレを抑えるため、急ピッチで利上げを行い、現状、長期金利は4%台で高止まりしている。インフレ率は足元で3%台まで低下してきたが、足踏みの状態が続いている。
「米国経済では、金利が問題になってくるでしょう。すでに米国の家計において、所得に対する利払いの割合は危険水域に達しています。これ以上、利払い負担が増えると、消費が失速してもおかしくありません。さらに住宅ローン金利も高止まりしていて、住宅関連の市況が悪化していく。
一方で、思った以上に景気が過熱していて、失業率は低く、賃金の伸びも強い。インフレを避けるために、FRBが再び利上げに転じるリスクがあります。このリスクシナリオが実現する可能性が、今では30%くらいにまで高まっています」(前出・嶌峰氏)
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これまでFRBは今年中に3回程度の利下げを行うと予想されてきた。それが一転、利上げするとなればどうなるのか。嶌峰氏が続ける。
「金利が上がると、消費者の利払い負担がさらに上がり、消費が落ち込むのは避けられない。さらに、すでに米国では商業用不動産市況が傾いていますが、利上げでますます悪化する。
リーマン・ショックのように大手金融機関が破綻することはないと思いますが、金融市場には大きなストレスがかかります。昨年のシリコンバレーバンクの破綻のように、中堅の金融機関が破綻して、その結果、米国株が崩れるリスクは十二分にある。
米国が不況になると、日本企業の輸出が減ってしまうリスクも大きく、外国人投資家も日本株を売却するでしょうから、日本市場にもいったん調整が入ると思います」
嶌峰氏はその際、日経平均株価は、3万5000円程度まで下がる可能性があると指摘する。さらに大きなリスク要因が、11月5日に行われる米大統領選挙だ。
「関税の大幅な引き上げを主張しているトランプ前大統領が再び当選するシナリオもあります。動向次第で、米国にインフレ圧力が再び高まることも考えられる。
それを受けて、FRBが再度の利上げを示唆するようなことになれば、これまで利下げを織り込んできた米国の株式市場に非常に大きなショックを与える可能性があります」(前出・田渕氏)
ただし、日本株の上昇は好調な企業業績に裏打ちされている。そのうえ、実質賃金がプラスに転じれば底堅い内需も期待できる。
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日経平均が「バブル超え」を果たしても、熱狂がないのは、株価が実体を伴っているからだと、株式アナリストでラカンリチェルカ代表の村瀬智一氏は力説する。
「仮に日経平均が3万5000円になれば、そこは絶好の買い場といえるでしょう。大統領選挙という本年最大のリスクを通過すれば、世界の株式市場は安定を取り戻し、日本株も再び活況に向かいます。年末から来年初めにかけて、4万5000円までV字回復するビッグレースを迎えるのではないでしょうか」
さらに言えば、年明けから新NISAでつみたて投資を始めたばかりの人は、株価の乱高下に一喜一憂しないほうがよさそうだ。
なかのアセットマネジメント社長の中野晴啓氏がこうアドバイスする。
「投資信託の購入初心者は、大きな下落が起こると、その時点で売却したり、積み立てをやめてしまったりします。しかし、生涯を通しての長期投資は株が安いときに買うことで、長期的に利益が積み上がっていく仕組みです。今後訪れる下落局面をむしろ楽しむつもりで、今から覚悟を持ってほしいと思います」
「週刊現代」2024年3月9日号より
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そのとき、我々はどんな株を買えば良いのだろうか。関連記事『「 日経平均4万円突破」でも“まだ安心して買える”「12の超厳選銘柄」【半導体・金融・AI】』に続く。
週刊現代(講談社)
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