( 147666 )  2024/03/10 13:35:41  
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コロナ明けにおいて、チーム内コミュニケーションに悩む人が増えている中で、北の達人コーポレーションの木下勝寿社長が書いた最新刊『チームX――ストーリーで学ぶ1年で業績を13倍にしたチームのつくり方』が注目を集めている。

この本には、知られざるV字回復のドラマが描かれており、Z世代のリーダーたちがその立役者であったことが特筆されている。

本記事では、この本から得られる深い学びを解説するインタビュー企画を実施し、大平信孝氏が登場。

自主的に仕事を進めない部下への対処法や、信頼関係、スキル、モチベーションの重要性などについて語られている。

(要約)

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Photo: Adobe Stock 

 

 人が次々辞めていく、上司と部下の会話がない、メンバーのモチベーションが上がらない――コロナ明け、チーム内コミュニケーションに悩んでいる人も多いかもしれない。そんな悩める人たちに話題となっているのが、北の達人コーポレーション(東証プライム上場)・木下勝寿社長の最新刊『チームX(エックス)――ストーリーで学ぶ1年で業績を13倍にしたチームのつくり方』。神田昌典氏は「世界的にみても極上レベルのビジネス書」と絶賛した。これまでのシリーズ『売上最小化、利益最大化の法則』は「20年に一冊の本」と人気会計士から評され、『時間最短化、成果最大化の法則』はニトリ・似鳥会長と食べチョク・秋元代表から「2022年に読んだおすすめ3選」に選抜。だが、その裏には「絶頂から奈落の底へ」そして「1年でチーム業績を13倍にした」という知られざるV字回復のドラマがあった。しかもその立役者はZ世代のリーダーたちだという。 

そこで今回、本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。本書を読み解くのは、独自の目標実現法「行動イノベーション」アプローチで、キャリア構築・人材育成に携わってきた大平信孝氏だ。『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』(かんき出版)をはじめ、ベストセラー作家でもある大平氏は『チームX』をどう読み解いたのか。連載3回目は、「お尻を叩かないと仕事を進められない部下の対処法」について話を聞いた。(構成・川代紗生) 

 

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● 「自主的に動かない部下」の原因を見抜く3つの質問 

 

 ――自主的に仕事を見つけて動いてほしいのに、指示待ちどころか、常に進捗確認をしないと仕事が進まない。そんな部下への対処法として、「あきらめて、別の人に仕事を振る」「細かく指示を出し続ける」など、いろいろあると思いますが、大平さんはどんなやり方がベストだと思いますか? 

 

 大平信孝(以下、大平):まず、進捗確認のやり方の前に、次の3つのポイントをチェックしてみるといいと思います。 

 

 1.【信頼関係】その部下は、上司や会社に対し、信頼関係をどのくらい築けているか?→10点満点で採点 

2.【スキル】その部下には、担当する仕事をこなせるだけの十分なスキルはあるか?→10点満点で採点 

あるとすればどれくらいか?→10点満点で採点 

3.【モチベーション】その部下の現在のモチベーションはどれくらいか?→10点満点で採点 

10点満点で採点 

 

 この3つの観点で、それぞれ点数をつけると何点くらいになるのか、一度振り返ってみるといいでしょう。 

 

● 「信頼関係がない相手」にただ注意しても効果がない理由 

 

 ――信頼関係、スキル、モチベーションですか。 

やはり、それぞれの項目の点数によって、進捗確認のやり方も変わってくると? 

 

 大平:ええ。まず、信頼関係ですが、「どこまで言うか、言わないか」も信頼関係の有無によって、変わってくるじゃないですか。 

 信頼関係を築けている部下であれば、「あれ、どうなってる?」というひとことで伝わるかもしれない。 

 でも、互いに相手の人間性をわかりあっていない状況なら、「この指示には、裏があるんじゃないか?」と疑わしくなってきたりしますよね。 

 スキルの有無によっても、どんな声がけがいいのかは変わります。 

 たとえば、まだ異動してきたばかりで、新しい部署の仕事に慣れていない人であれば、細かくチェックしてすり合わせをしたほうがやりやすいかもしれない。 

 

 ――たしかに。 

 

 大平:モチベーションに関しても同様です。 

 マンネリを感じている、自分の強みがあまり活かせていない、人間関係の悩みなど、人は、さまざまな要因でやる気を失ってしまいます。 

 モチベーションが高いときもあれば、低いときもありますから、そのときどきによって、どれくらいのモチベーションなのか、チェックすることが大事です。 

 

● 「スキル不足の新人」か「仕事に飽きているベテラン」か? 取るべきアプローチは社員によって変える 

 

 大平:「お尻を叩かないと仕事を進められない部下」が自分のチームにいて、今、困っているというなら、まずは先ほどの3つの観点で、現状把握をしてみましょう。 

 その部下は、どんな人なのか。 

 信頼関係は10点満点でだいたいどれくらいなのか。 

 成果を出すためのスキルは? 今のモチベーションは? とまずは把握するのです。 

 

 これが確認できると、どんなふうに育成していけばいいのか、プランが立てやすくなります。 

 私の経験上、「全部の数字が低い」タイプの人は案外少なく、どこか1つは高いタイプが多い。 

 入社したばかりの新人で、信頼関係はこれから構築しなければならないけれど「新しい仕事ができる」というやる気に満ち溢れている。新人なのでまだスキル不足の場合は、 

 信頼関係:1点、スキル:3点、モチベーション:8点 

 といった具合です。 

 

 別のケースもあります。 

 優秀でスキルはあるものの、同じ仕事の繰り返し。仕事に慣れてきたのはいいが、がんばっても評価されず、会社への信頼感が失われてくすぶっている中堅社員の場合は、 

 信頼関係:2点、スキル8点、モチベーション1点 

 くらいかもしれません。 

 

 ――なるほど。どちらもわかる気がします。よくあるケースですよね。 

 

 大平:もちろん、この3つですべてが見えるわけではありませんが、これをやると、「リーダーとしてメンバーにどう関わっていったらいいか」の当たりがつけやすくなるメリットがあります。 

 

 ――これがまず、大前提としてあると。 

 

 大平:そこをまず見極めてから、育成するアプローチを考えていくといいと思います。 

 信頼関係をあまりつくれていないなら、面談する、ランチがてら雑談するなど、もっと話す時間をつくる。スキルが低いなら研修を受けてもらう。モチベーションが復活するような対話や、きっかけづくりをしていくのです。 

 

● 作戦がうまくいかない1番の理由 

 

 ――私の過去の経験では、上司としてやきもきしてしまうのは、「スキルはわりと高めなのに、信頼関係とモチベーションが低い」タイプが圧倒的に多いのかなと思いました。「もっとやれるはずなのに、どうしてポテンシャルを発揮してくれないのかな?」というような。 

 

 大平:そうですね。スキルも低かったら、そもそもそんなに期待しないでしょうし、最低限の仕事をやってくれればいいよと、それこそ、あきらめがつくはず。 

 でも、高いスキルを持っていて、それなりの期待をして採用した場合や、以前はものすごい成果を上げてくれていた会社のエースが、自分のチームに来た途端、機能しなくなったと場合、話は変わってきます。 

 そういう人に対しては、やはり、1 on 1ミーティングでじっくり話す時間を設けるなど、問題の根っこの部分を引っ張り出さないと、なかなか解決しないと思います。 

 

 ――そうか、やっぱり、どこにわだかまりがあるのかは人によって違うから、個別に見ていくしかないんですね。 

 

 大平:1つの戦法で一網打尽できればラクですが、リーダーシップを発揮するには、なかなかそうもいきません。 

 強みも価値観も、個性も、調子がいいも悪いも、パラメーターはバラバラです。 

 だから、「今、目の前にいるAさんはどうなのか」と、それぞれに合った仕事管理ができるといいのではないでしょうか。 

 

 『チームX』では「達成確率100%キープの法則」などの解決策が紹介されていました。せっかく立てた作戦を実行できない理由として、こんなふうに書かれていましたね。 

 

 “作戦がうまくいかない一番の理由は、「人は感情の生き物」だからだ。(中略) 

 作戦は地図である。 

 地図を一度見ただけで目的地にたどり着ける人はほとんどいない。曲がり角ごとに確認しないといけないのだ。そのため、各自目標を立てながら、ほぼ毎日進捗確認を行った。 

 ほとんどのメンバーは、見事なほど当初立てた作戦と違う動きをする。”(本書P109より) 

 

 今回のタイトル「何も言わないと動かない部下、三流上司は「あきらめる」、二流は「細かく指示を出す」、では一流は?」への回答としては、一流は「一人ひとりの状況を見ながら毎日進捗確認する」ということになるのかもしれません。 

 

 「やるべき」といくら頭ではわかっていても、感情に振り回され、さまざまな要因で、予定通りに動けなくなるもの。 

 社員それぞれの特性を把握しつつ、場合によっては、『チームX』に書かれていた法則をチーム運用に取り入れてみてはいかがでしょうか。 

 

大平信孝 目標実現の専門家 メンタルコーチ 

 

 アドラー心理学と脳科学を組み合わせた独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発。2万人以上の目標実現・行動革新サポートを実施。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン・ジャパン株式会社のマネージャー向けコーチング研修を継続的に提供。「2030年までに次世代リーダーをサポートするプロコーチを1000人送り出し、日本を元気に!」を目標に掲げ、プロコーチ養成スクール「NEXT」を開講。12冊の著作は累計55万部を突破。主な著作に24万部を突破した『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』(かんき出版)がある。 

 

木下勝寿 

 

 

 
 

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