( 147847 )  2024/03/10 23:45:32  
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中国は世界最大のEV市場であり、最近数年でPHEV(プラグインハイブリッド車)の販売シェアが急増している。

2024年1月の中国市場におけるEV普及動向が報告され、新エネルギー車の販売台数が急増していることが示された。

しかし、2024年1月における電動化率が急落していることも報告されており、PHEVのシェア率が急増している状況が指摘されている。

バッテリーEVの販売台数が減少傾向にある一方で、PHEVの人気が高まっているとされている。

中国市場は世界有数のEV普及率を誇り、PHEVのシェア率が高い。

2024年の中国市場の成長に注目が寄せられており、特に人気のEVや新興EVメーカーが注目されている。

(要約)

( 147849 )  2024/03/10 23:45:32  
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世界最大のEV市場である中国だが、じつはここ数年でPHEVが販売シェアを大きく伸ばしている。 

 

中国市場における直近の2024年1月のEV普及動向が判明しました。とくに、EVの販売台数が大きく落ち込むなか、プラグインハイブリッド車の販売が好調です。2024年シーズンに想定される中国EVシフトの注目ポイント、注目の新型EV、新規EVメーカー勢の最新動向についても含めて解説します。 

 

【画像ギャラリー】中国で完全なテスラ・モデル3包囲網を形成する中国製BEVたち 

 

まず今回取り上げていきたいのが、世界最大のEV市場である中国市場の最新トレンドです。このグラフは、2019年末以降からの月毎の内燃機関車の販売台数を水色、そして、バッテリーEVとPHEV、水素燃料電池車を含めた新エネルギー車の販売台数をピンクで示したものになります。 

 

このとおり、ピンクで示された新エネルギー車の販売台数がこの数年間で急速に増加している様子を確認できます。 

 

そして、2023年12月における新エネルギー車の販売台数は、なんと94万7000台と、歴史上最高を更新しながら、新車販売全体に占める新エネルギー車の販売割合を示す電動化率が、ついに大台の40%に到達するという快挙を2カ月連続で達成していました。 

 

つまり、中国で売れた新車販売全体のうち、5台に2台がバッテリーEVかPHEVであったということになるわけであり、まさに驚異的なEVシフトの様子を確認可能です。 

 

ただし、直近である2024年1月単体の電動化率については32.8%と、2023年末の電動化率から急落している様子も確認可能です。この理由に関しては、新エネルギー車の販売シェアが大きいBYDやテスラといったメーカーが、揃って販売台数を落としたこと、および内燃機関車の販売を行う既存メーカーのEV販売比率も低下したことが要因かと思われます。 

 

その一方で、1月単体の電動化率を追ってみると、2021年シーズンから、6.81%、17%、25.6%、そして直近の32.78%ということから、じつは1月単体という観点ではむしろ着実に電動化が進んでいることが見て取れるわけです。 

 

1月という月自体が、例年販売台数、シェア率ともに低下する特殊な月であるということが見て取れるので、この電動化率の低下というのは、大きく懸念する必要がないわけです。 

 

他方で、この新エネルギー車のなかでも、販売動向に変化が出てきているという兆候も重要です。それが、このグラフで示されている、ピンクで示されたバッテリーEVと、水色で示されたPHEVの販売台数の変遷です。 

 

このとおり、中国市場においてはPHEVではなく、バッテリーEVが圧倒的な販売の中心を占めていたものの、この数年でPHEVの販売シェア率が急増中です。とくに最直近である1月に関しては、なんと新エネルギー車販売のうち、じつに43%がPHEVという、PHEVのシェア率が非常に大きくなっている様子を確認できます。 

 

ただし、このトレンドに関しても1月に関しては特殊な月であり、なおかつPHEV販売で急速にシェアを伸ばしているファーウェイのAITOの存在なども相まって、一時的にシェア率が急増した月であると考えたほうがいいとは思います。 

 

そして、バッテリーEVに絞った販売動向を確認してみると、1月のシェア率は18.5%と、やはり年末に記録した25%オーバーというシェア率からは低下しているものの、それでも5台に1台近くがバッテリーEVにシフトしているという点は、やはり中国のバッテリーEVの人気が伺えると思います。 

 

ただし、それでもバッテリーEVのシェア率の増加具合を見ると、やや鈍化傾向にあることも見て取れることから、PHEVに押されているという様子も確認可能なわけです。 

 

また、世界と比較してバッテリーEVのシェア率がどれほどであるのかを俯瞰してみると、水色で示された中国市場が、世界でもトップクラスのシェア率を維持していることが見て取れます。緑で示された日本市場と比較すると、そのシェア率は10倍以上と引き離している様子も確認可能です。 

 

いずれにしても、世界最大のEVマーケットを有する中国市場が、2024年シーズン、どれほど成長するのかに世界が注目している状況なわけです。 

 

それでは、この1月においてどのようなEVが人気であったのかを確認していきたいと思います。 

 

まず初めに、このグラフは1月単体の新エネルギー車の販売ランキングトップ20を示したものです。このランキングにおいてもっとも注目するべき存在は、2023年中国でもっとも売れた自動車のテスラ・モデルYを抑えて第2位にランクインしたファーウェイのAITO M7の存在です。 

 

最大40kWh級のバッテリーを搭載したレンジエクステンダー車であり、なんといっても絶大なブランド力を有するファーウェイが設計開発を行いながら、ファーウェイストアで展示・販売されていることで、中国EVスタートアップの弱みであるブランド力、知名度という観点では申し分なし。よって、モデルYを凌ぐ販売台数すら実現してしまっている状況なわけです。 

 

また、黄色で示されているのが中国BYDの新エネルギー車であり、じつに7車種がランクインしている状況です。トップ10に絞ると、6車種がランクインしているというレベルです。 

 

他方でBYDに関しては、1月の販売台数を大きく落としている状況であり、2023年末に在庫を一掃した反動という要因もあるものの、やはりここにランクインしているBYDの主力モデルたちに対して、2024年モデルが設定されるという噂がすでに広まっていたことによって、旧正月前に車両を購入することを回避したユーザーも多いと言われています。 

 

この中国BYDに関する2024年モデルの最新情報、並びに2023年モデルの在庫一掃のために、現在大幅な値引き措置を行っているという最新動向についてはまた別記事で詳細に取り上げるものの、いずれにしても、これまで中国EV市場を支配してきたBYDが、2024年シーズンもリードし続けることができるのかに注目です。 

 

 

次にこのグラフは、バッテリーEVに限った販売ランキングトップ20を示しています。ここでもBYDが6車種をランクインさせるという強さが見て取れるものの、個人的にもっとも注目するべき販売動向というのが、第17位にランクインしてきたジーリーの高級EVブランドZeekrの007の存在です。 

 

2024年元旦から納車がスタートしているZeekr 007というのは、現状、世界最強のコストパフォーマンスを実現しているバッテリーEVセダンです。 

 

航続距離は最長870km、充電残量80%まで15分で充電完了、0-100km/h加速も2秒台、インテリアの質感についても、プレミアムセグメントの車種としてこれ以上の装備内容は考えられないほど充実させ、その値段設定が21万元未満、日本円に換算して400万円台前半からのスタートという、まさに化け物級のコスパを実現しているとして、販売台数にも大きく期待していたという背景が存在しました。 

 

そして、実際に納車初月において、早速6000台近い販売台数を実現。人気EVトップ20にランクインしていることから、2月以降、さらに販売台数が増加していくことことが期待されます。 

 

また、このZeekr 007の該当するプレミアムセダンセグメントについては、2024年シーズンもっとも注目するべきセグメントでもあります。 

 

このグラフのとおり、これまで販売台数をリードしてきていたのがテスラモデル3とBYD Hanの存在です。ところが、Zeekr 007を筆頭として、Luxeed S7、Exeed Sterra ES、Galaxy E8というEVセダンが矢継ぎ早に発売スタート。モデルチェンジバージョンの納車をスタートしているモデル3と比較しても、発売当初で販売規模が接近し始めている状況です。 

 

とくにZeekr 007の兄弟車である、ジーリーのEV専門シリーズであるGalaxyのE8についても1月上旬から納車をスタートしているにもかかわらず、3000台以上の販売台数を実現しています。ジーリーグループ全体で、モデル3の追撃体制を着実に構築している様子を確認可能です。 

 

他方で販売台数が伸びてきていないのが、11月末から発売をスタートしていたファーウェイのLuxeed S7の存在です。じつはLuxeedに関しては、生産を任されているCheryの生産体制がうまく構築できておらず、すでに1万台の注文がありながら、その注文をまったく捌くことができていない状況なのです。 

 

とくにLuxeedに関しては、AITOと同じくファーウェイストアでも展示、販売されていることから、AITOと同様に成功が約束されているはずなものの、肝心の生産が満足にできていない状況であり、完全に出鼻をくじかれてしまった格好です。 

 

そのS7の兄弟車であり、Cheryの高級ブランドであるExeedのSterra ESについてもまったく同様に販売台数が伸びていないことから、初動という観点では、ファーウェイとChery連合は完全に失敗。他方で、ジーリーグループは生産も順調であり、とくにZeekr 007については、モデル3キラーとして販売台数越えを実現できるのかに、大きく期待することができるでしょう。 

 

このようにして、中国EV市場における最新の1月については、EVの販売台数全体が縮小してしまっているものの、これは例年どおりの動きであり、とくに旧正月が明けて需要が本格化していく3月以降、さらに販売シェアが伸びていくことに期待可能です。 

 

他方で、足もとのPHEVのシェア率が、とくにAITO M7の爆発的ヒットによって高まりを見せていることから、どこまで伸びていくのか。個人的には、PHEVの販売シェア率については、この1-2年にピークを迎えると推測してはいます。 

 

というのもファーウェイについては、バッテリーEVのラインアップが増えていくという点、さらに同じくレンジエクステンダーで販売台数を伸ばしているLi Autoに関しても、今年からバッテリーEVのラインアップを急拡大させる方針です。 

 

よって、この2024年か2025年がPHEVのピークとなるのか、それとも2020年台後半もPHEVのシェアが高まり続け、バッテリーEVのシェアを超えるのか、最新トレンドには注目していきたいと思います。 

 

そして、中国だけではなく世界のEVシフトに大きな影響を与える中国BYDに関しては、すべてのモデルで大幅な値下げをしながら、さらにプレミアムブランドにおいて、新型EVの投入ラッシュが始まる1年となります。 

 

いずれにしても、BYDの動きこそ2024年もっとも注目するべきニュースであり、このBYDの最新動向、および期待の新型EVに関する最新動向についても継続的に取り上げていきたいと思います。 

 

高橋 優 

 

 

 
 

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