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福岡高裁で工藤会のトップである野村被告に無期懲役判決が下された。

一審での死刑判決が覆され、野村被告は安堵した様子で裁判長に礼を述べた。

一方、法廷では異様な雰囲気があり、裁判長が不規則発言を禁止する警告を発したり、警備員が配置されたりした。

野村被告が法的根拠のない発言を行っていたことも報じられている。

最終判断は最高裁で行われる予定。

(要約)

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工藤会への家宅捜査で捜査員に同行した野村被告。’10年4月撮影(画像:共同通信社) 

 

死刑判決を受け裁判長に怒声を浴びせた一審と、被告の反応は180度違っていた。紺色のスーツに白いシャツ、ノーネクタイという服装で入廷した被告。判決を言い渡されると天井をあおぎ、ホッとしたような表情を浮かべたという――。 

 

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3月12日、福岡高裁の1015法廷。一般市民を巻き込んだ4つの襲撃事件で、殺人や組織犯罪処罰法違反などの罪に問われている特定危険指定暴力団「工藤会」トップで総裁の野村悟被告(77)に控訴審判決が下された。一審の死刑判決を破棄し、言い渡されたのは無期懲役だった。 

 

「一審では野村被告が4つの事件すべてで『首謀者』とされましたが、控訴審では『意思決定のあり方は不明』と判断されました。一審の判決後、野村被告や『工藤会』ナンバー2の田上不美夫被告(67)らは弁護団を解体。多くの死刑求刑事件などを手掛けた敏腕弁護士を選任していました。控訴審で判決が覆り安堵したのか、野村被告は裁判長に対し深々と一礼しています。 

 

一方で法廷は異様な雰囲気でした。野村被告と田上被告が入廷すると、裁判長が冒頭に『不規則発言をしたら即時退廷を命じます』と警告。傍聴者のボディチェックは入念に行われ、法廷内にも警備員が配置されたんです。両被告は最高裁に上告しています」(全国紙司法担当記者) 

 

『FRIDAYデジタル』は’21年8月25日配信の記事で「アンタ、生涯後悔するぞ!」と野村被告が裁判長を威嚇した一審の判決直後の様子について詳しく報じている。再録し、戦慄の法廷現場と「工藤会」が関与したとされる事件について振り返りたい(内容は一部修正しています)ーー。 

 

◆「ヒドイなぁ。足立さん!」 

 

福岡地裁101号法定ーー。 

 

それまで落ち着いた様子で裁判長の発言を聞いていた暴力団トップの様子が、主文を告げられると一変した。証言台近くの長イスから立ち上がると、裁判長をこう威嚇したのだ。 

 

「公正な裁判をお願いしていたんだけどねぇ。こんな裁判あるんか……。アンタ、生涯このことを後悔するぞ!」 

 

ともに審理されていたナンバー2の被告も、退廷直後に言い放った。 

 

「ヒドイなぁ、アンタ……。足立さん!」 

 

’21年8月24日、福岡地裁(足立勉裁判長)で重大な判決が言い渡された。「工藤会」トップの野村被告を求刑通り死刑。ナンバー2の田上被告を無期懲役としたのだ。 

 

「キッカケは福岡県警が’14年9月に始めた、野村被告ら『工藤会』の幹部を一斉逮捕する『頂上作戦』です。’98年2月に起きた元漁業組合長の射殺や歯科医師刺傷など、4つの凶悪事件に『工藤会』トップが関与していると認定。約3800人規模の態勢で捜査にのぞみ、野村被告らを逮捕したんです。 

 

公判は’19年10月から始まりました。福岡地裁は選出された人に危害が及ぶ危険性があるとし、裁判員裁判の対象から除外。野村被告は7年近い勾留期間を過ごしましたが、無罪に自信をみせていたそうです。実行犯として、関与を裏づける明確な証拠はありませんでしたからね」(全国紙社会部記者) 

 

「工藤会」は、福岡県北九州市に本部を置く。その存在は特別だ。地元では「攻撃的な組織」として知られ、恐れられているのだ。北九州市に住む住民が語る。 

 

「『工藤会』がらみの傷害事件が起き、被害を受けた関係者に事情を聞いたことがあるんです。すると彼は私の肩をポンポンと叩き、こう言いました。『オマエのためや。何も知らないほうがイイ。オマエの親も兄弟も地元におるやろ。下手に詮索するとヤバいことになる』と。 

 

問題が起きれば一般人にも手を出すこともあった。昔のことですが、北九州市内のバーが、『暴力団お断り』の張り紙を玄関に貼っていたことがあるんです。しばらくすると、そのバーは銃器で破壊されたような惨状になっていました。『工藤会』の倉庫には、対戦車用のロケットランチャーなど、自衛隊も驚くような武器が保管されているといわれます。目的達成のためには、どんなに残忍な方法だろうと手段を選びません。 

 

今回の裁判で、野村総裁らが退廷直後に言った『生涯後悔するぞ』という言葉を聞くと背筋が凍ります。わざわざ、裁判長の名前まで出して威嚇したんですよ。残った部下に対するメッセージ、ととらえられても仕方ないんじゃないでしょうか……」 

 

野村被告が自信をのぞかせていた通り、警察が問題視した4事件に「工藤会」トップが関与した明確な証拠はなかった。だが「工藤会」の結束は、毎朝、野村被告を幹部組員が正座で出迎えるほど固い。足立裁判長は、「(野村総裁ら)両被告に無断で(組員が単独で事件を)起こすとは到底考えがたい」とし、重い判決に踏み切ったのだ。「反社会的集団である暴力団組織により計画的に実行されている点でも厳しい非難が妥当」とし、「極刑の選択がやむをえない」と結論した。 

 

「今回の判決は画期的です。『工藤会』のような暴力が突出した団体は、警察も世論も許さないという強いメッセージを発したのですから。他の暴力団の暴走にも、歯止めがかかるでしょう。極刑が適切かは別とし、有罪判決は妥当だと思います。犯行関与への明確な証拠がなくても、トップの指示がなければ組員が動けないのは暴力団社会の常識ですよ。 

 

ただ法廷での野村被告の発言は、問題視されるべきです。『工藤会』のトップの言葉は、それだけで威圧になる。短い内容でも、一般市民を震撼させる恐怖が潜んでいることが、あらためてわかりました」(全国紙社会部記者) 

 

最終判断は最高裁に持ち込まれた「工藤会」最高幹部の裁判。判決に日本中が注目している。 

 

FRIDAYデジタル 

 

 

 
 

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