( 149287 )  2024/03/15 00:47:19  
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東京の大学に通う長男からの助けを求めるサインに対し、46万円の月収で暮らしを支えている48歳のサラリーマンが無力感を募らせています。

多くの親が同じような懐事情で苦しんでいる可能性があり、それは全国的な傾向とも言えます。

教育費に不安を感じ、子どもに大学進学をさせたい親が大半である一方で、現実の負担は相当なものであり、仕事を続けながら厳しい財政状況で子供たちを支えている様子が伺えます。

将来の収入に自信を持てずにいる人が多い現状もあり、経済的な課題が教育費にまで及んでいることが浮かび上がってきます。

(要約)

( 149289 )  2024/03/15 00:47:19  
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月収46万円・48歳のサラリーマン、東京の大学に通う長男から「たすけて…」のサインに何も出来ず「こんな父親ですまない」 

 

遠く、東京の大学に通う長男とのラインのやり取り。そこには親に助けを求めるサインが隠されていました。しかし何も出来ないと、肩を落とす父親。八方塞がりの大学生の親の実態をみていきましょう。 

 

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昨年の春、大学進学のために上京し、1人暮らしをする長男とのラインとのやり取りを投稿する、48歳・サラリーマンだという男性。健康を気遣う親からの問いかけに、 

 

――何とかやってるよ 

 

――とりあえず、常に腹減ってる 

 

――家に米なし。早くバイト代、入らないかな 

 

そんな返信があったといいます。それに対して 

 

――「たすけて、生活が苦しい」のサインだな、これ 

 

――すまん、父さんも「たすけて」と言いたい 

 

――これ以上、「仕送り」を増やすことなど出来んのだよ 

 

――情けない父親ですまん、強いオトコになってくれ 

 

と、心境を綴っています。男性は長男に「毎月8万円の仕送り」をしているとのこと。これは少ないのでしょうか。 

 

厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』によると、40代後半のサラリーマン(正社員)の平均給与は、月収で46.3万円、年収で801.8万円です。 

 

一方で、全国大学生活協同組合連合会が行った『第58回学生生活実態調査』によると、大学・下宿生の1ヵ月の「仕送り」は平均6万7,650円、「奨学金」が平均2万0,640円、「アルバイト代」が3万2,340円などとなり、収入の合計は平均12万4,290円です。 

 

男性は平均以上の仕送りをしているので、少ないということはないようです。ただ前述の平均的な仕送り額は全国平均。家賃の高い東京の場合、月8万円程度の仕送りでは生活が苦しいのかもしれません。 

 

――うちには、次男、三男といて、教育費の負担がますます増えると考えると……地獄 

 

――順調にいって、三男が大学を卒業するのは10年後……地獄 

 

――定年を迎えても働き続けること確定。社畜生活は続く……地獄 

 

投稿からも、苦しい懐事情が想像されます。同じような心境のお父さんは、この日本に、かなりの数いるのではないでしょうか。 

 

 

ソニー生命保険株式会社が大学生以下の子どもがいる男女に対して行った『子どもの教育資金に関する調査』によると、「金銭的に多少の負担があったとしても、子どもには大学に行ってほしい」と思っている親が大半であることが分かります。 

 

 

 

子どもの大学等への進学について(子どもが希望する場合)多少費用がかさんでも進学させたい 

 

……「はい」85.6% 

 

子どもの大学等の入学金・授業料等の費用について、費用にこだわらず子どもの希望を優先させたい 

 

……「はい」76.4% 

 

とはいえ、親としても正直、懐事情は相当厳しいことが、通学やアルバイトに関する意識からも透けて見えてきます。 

 

 

 

子どもの学校への進学について、自宅から通える学校を選択させてい 

 

……「はい」50.7% 

 

子どもの学生時代のアルバイトについて、アルバイトをして学生生活の費用に充ててほしい 

 

……52.0% 

 

そんな子どもの教育費、「負担に感じる」と回答したのは、全体の67.4%。大学等に通わせる親に限ると78.2%に跳ね上がります。相当な無理をし、不安を覚えながら子を大学に通わせている……そんな親の姿が目に浮かんできます。 

 

また教育費資金に不安を感じるか聞いたところ、「不安を感じる」は83.5%。その理由のトップは「物価の上昇」で55.7%、「教育資金がどのくらい必要となるのか分からない」35.2%、「収入の維持や増加に自信がない」33.5%、「社会保険料の負担増」27.8%、「病気や怪我で収入が途絶えるリスク」23.1%と続きます。 

 

厚生労働省『毎月勤労統計調査』によると、2024年1月、現金給与の総額は1人当たり平均で28万2,270円で、前年同月比2%増。一方で 1人当たりの実質賃金は前年同月比0.6%減少。物価高の影響は、火を見るよりも明らかです。 

 

賃上げの動きも活発になっているものの、限定的という指摘も多く、前出調査の「収入の維持や増加に自信がない」という回答に至っているのでしょう。 

 

――学生の性分は学問。仕送り増やすから、アルバイトなんてせずに勉強しろ 

 

大学生の親であれば、子どもにそんなことを言ってあげたいもの。このような事がいえるようになるまでは、まだ時間がかかりそうな気配です。 

 

[参考資料] 

 

厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』  

 

全国大学生活協同組合連合会『第58回学生生活実態調査』  

 

ソニー生命保険株式会社『子どもの教育資金に関する調査2024』 

 

 

 
 

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