( 149892 )  2024/03/16 23:51:07  
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かつては、日本車に比べて輸入車は壊れやすいと言われていたが、これは日本市場に合わせたローカライズが不十分だったことが原因とされている。

具体的には、気候や使用状況の違いが故障や耐久性に影響を与えたとされている。

欧州車では、内装や空調系のトラブルがよく起こり、特に日本の湿気の影響を受けやすかった。

また、欧州メーカーは日本ユーザーのエアコン使用方法や道路環境を考慮しておらず、トランスミッションやエアコンの性能が不足していた。

一方で、一部の輸入車は日本市場向けに特別な仕様が施されていたりもした。

要因としては、気候の違いやトラフィックなどの条件に適した機能を持たせていた。

さらに、愛好者の間では故障が話題になり、欧州車は壊れやすいイメージが定着した。

(要約)

( 149894 )  2024/03/16 23:51:07  
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かつて、日本車に比べ輸入車は壊れやすいと言われていたことがある。これは、日本仕様へのローカライズがされておらず、メーカーの想定以上に日本の気候と使用状況が過酷だったことに起因している。 

 

「輸入車は壊れやすい」という噂を耳にしたことがある人は多いのではないだろうか。さすがに2020年代に輸入車を日本で乗るのはリスク大……というほど故障率が高いという話は聞かないが、たしかにかつては国産車と輸入車の間には故障率や耐久性において明確な差があったことを実体験しているベテランユーザーは少なくないはずだ。 

 

【画像ギャラリー】とにかく壊れるといわれた輸入車といえばイタリア車 

 

 とくに欧州車の故障としては、内装の樹脂部品が溶けてくるだとか、天井の内張りが垂れてくるといったトラブルは定番といえる。 

 

 また、エアコンなどの空調系についても輸入車は耐久性・性能面ともに国産車には劣るという時代はたしかにあった。その理由として、日本と欧州の気候の違いが指摘されることが多い。具体的にいえば湿気が多いことで、天井の垂れ下がりやエアコンの不調が起きてしまうというのだ。 

 

 空調についていえば、日本のユーザーの使い方に対して欧州メーカーの理解が足りないという面もあった。いまではずいぶん変わってきたが20世紀の欧州的な感覚では、冷房というのは本当に暑い時期だけに使うものだった。 

 

 しかし、日本では湿度の高さから「蒸し暑い」と感じる時期が長く、欧州メーカーが想定する以上にエアコンを稼働させていたのだという。当然ながら、送風機や熱交換器など、エアコンの主要ユニットの容量や耐久性に難ありと感じるユーザーが増えることになる。 

 

 余談だが、日本のメーカーが作る東南アジア向けモデルの空調パネルを見ると、暖房の領域がなく、1年中エアコン(冷房)を使う設計になっていることもある。本来であれば、こうしたローカライズをすべきなのだが、かつての欧州車はそこまで日本市場向けの最適化をしてはいなかったのだろう。 

 

 しかし、そうしたケースばかりではない。筆者の記憶では日本仕様に専用のトランスミッションを与えたこともあった。BMWの3シリーズ(E46型)が、日本車が採用しているのと同系列の5速ATを積んでいたことがある。 

 

 その理由についてBMWのエンジニアに質問したところ、「日本の高速は速度域が低く、また渋滞も多いのでトランスミッションに求められる特性が欧州仕様とはまったく異なっているため」ということだった。 

 

 最近でも、8速や9速ATを積んでいる欧州車で高速道路を走っていると、ほとんどトップに入らないという経験をしたことがある。 

 

 いずれにしても、かの有名な速度無制限道路「アウトバーン」を意識した変速比のまま、せいぜい120km/hが制限速度の上限である日本に持ってきても宝の持ち腐れであり、またマッチングが悪いことでトラブルの種になってしまうといえる。渋滞も同様だ。発進・停止が繰り返されるシチュエーションというのはトランスミッションへの負担が大きくなりがちであるし、エンジンについてもラジエターに十分な走行風を当てられないためオーバーヒートしやすくなる。 

 

 

 最近、日経平均株価が1989年12月のバブル期最高値を更新したというニュースもあったが、そのバブル期には輸入車への注目度も高く、海外メーカーも日本市場へ期待していたこともあって、東京で欧州メーカーのテスト車両を見かける機会も多かった。 

 

 とくに東京の大渋滞でエンジンやトランスミッションにトラブルが起きず、エアコンも十分に効くことを確認するためのテストを繰り返していたという伝説もある。そうした日常での負荷に余裕で耐えることができていたならば、冒頭で記したような輸入車のネガティブなイメージは生まれなかったであろう。 

 

 事実としてメーカーが開発車両を日本に持ち込んでいたということは、風土やユーザーマインドなど日本市場の特徴を把握しきれていなかった証左といえるかもしれない。 

 

 まとめると、以下4つのポイントにより「輸入車は壊れやすい」という評判が生まれてしまったといえる。 

 

①日本と欧州の気候の違い。日本は湿度が高い 

②エアコンの稼働期間が伸びがちで負担が大きい 

③渋滞が多いためエンジンなどの冷却が追いつかない 

④制限速度の上限が低いため変速比がアンマッチ気味 

 

 さらにもうひとつ大きな理由があるように思える。 

 

 かつて、欧州車、とくにイタフラ系と呼ばれるブランドの愛好者のなかには、なぜか「また修理に出しているんだよ」と自虐的に故障自慢をする人が多かった。 

 

「走っていたら窓が落ちた」だとか「新品のバッテリーに変えたばかりですぐにあがってしまった」だとか、理不尽なイメージのある故障をおもしろおかしくいう人が少なくなかった。その裏には「こんなに手のかかるクルマを維持するには、それなりの知識や経験が必要だぞ」というマウント的な心理もあったのかもしれないが。 

 

「欧州車は壊れやすいというイメージ」は、こうした愛好者の自虐的アピールによっても定着した、といえるかもしれない。 

 

山本晋也 

 

 

 
 

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