( 150575 ) 2024/03/19 00:35:52 0 00 FNNプライムオンライン
日銀は18日から2日間、金融政策決定会合を開いている。
春闘で高水準の賃上げ回答が相次ぐ中、これまでの大規模緩和策から転換し、「マイナス金利」政策の解除を決断するのかが焦点。
マイナス金利が解除された場合、海外旅行や輸入品、銀行預金、住宅ローンに影響が出る可能性がある。
そもそもマイナス金利というのは、2016年に導入されたもので、銀行が日銀にお金を預けておくと逆に金利がとられてしまう、金利がマイナス状態という異例の政策。
この政策をすることで、銀行が日銀にお金を預けずに、企業や家計への貸し出しなどに回すよう促し、世の中のお金の巡りをよくして、経済活性化、そしてデフレ脱却を目指すというものだ。
今回これを解除しようということが議論になっているが、なぜ解除しようとしているのか?もし解除された場合、わたしたちの生活にどんな影響が出る可能性があるのか?フジテレビ・智田裕一解説副委員長が解説する。
もともと、この政策は落ち込んでいた景気を支えるための異例の政策で、経済が正常化に向かい、好循環の実現が見通せれば、政策の転換を検討することにしていました。
今年の春闘は、先週、集中回答日を迎えましたが、高水準の回答が相次いだことを踏まえ、賃金と物価がともに上昇する姿が確認されたのではないかとして、マイナス金利が解除されるとの観測が広がっています。
もし解除された場合、私たちの生活にどんな影響が出る可能性があるのか?まずは円安で価格上昇している「海外旅行や輸入品」です。
日銀がマイナス金利を解除し、金利を引き上げていく方向に足を踏み出した場合、金利のつく円の価値が上がって、円相場が円高方向に動く可能性が出てきます。
円高になれば海外旅行に行きやすくなり、スーパーなどの輸入品も安くなることも考えられます。
お得に海外旅行に行けるとうれしいですが、さらにマイナス金利が解除されるとこんなメリットもでてくる可能性があります。
「銀行預金の金利がアップ」です。こちらは、あくまで景気が順調に上向いて、日銀が利上げを進めていったケースでの試算ですが、2023年度に0.001%だった普通預金の金利は、2026年度には0.4%に、0.5%だった10年定期金利は2.4%になるという数字もあります。
金利が上がれば10万円預けた場合の税引き前の利子収入が、500円から2400円になる計算です。
ここまで聞いているとマイナス金利解除すればいいのに・・・と感じてしますが・・・メリットがあれば当然デメリットもあります。
まず「住宅ローンの金利がアップ」します。住宅ローン金利には主に固定型と変動型があります。このうち、「固定型」の金利は長期金利の水準を反映しますが、日銀が、長期金利がある程度上がるのを容認してきたため、すでに上昇しています。
一方、変動型は、短期金利をもとに基準となる金利が決まります。短期金利は、日銀の「マイナス金利」政策で抑え込まれてきましたが、この政策が解除され、上昇していけば、変動型も、これまでの低い水準から上がっていく可能性が強まります。
さきほどの試算では、変動型は2023年度に0.4%だったのが2.9%に、35年固定型は1.8%だったのが4.5%にあがるという数字も出ています。
この試算は、マイナス金利解除のあと、あくまで、日銀が段々と利上げを進めていった場合のもので、ここまで高くならないケースも十分考えられます。
ただ長期間にわたって返済を続ける場合、金利の上昇は返済計画を狂わせてしまうことから、安心して返済を続けられるという点では固定金利のほうが勝っている面もあります。
頭金を増やして、年収に比べた負担の割合が高くならないようにすることも含めて、どの金利タイプがいいのがよく考える姿勢が必要になってきそうです。
どのくらいの金額、どの程度長いローンを組むかにもよると思いますが、それから先の負担が読めないのが不安ということであれば、固定にしてもいいかもしれません。
そして最後に、さきほどと同じ前提で預金金利と住宅ローン金利が想定通りに上がった場合に 生活がどう変わるのか、試算しました。
全世帯の年間平均でみると、預金金利の増加によるメリットが11万4000円、一方、ローンの負担増が10万8000円、さしひき1万4000円のプラスです。
住宅ローンがある世帯に限ってみてみると、29歳までの若い層では、預金金利の増加によるメリットが2万6000円、一方、ローンの負担増が46万6000円、さしひき44万円のマイナス。
働き盛りの40代では、預金金利増加のメリットが6万5000円、ローンの負担増が45万2000円、さしひき38万7000円のマイナス。
60代では、預金金利増加のメリットが10万円、ローンの負担増が15万3000円、さしひき5万3000円のマイナスとなります。
マイホームを購入したての若い層のほうがローンの返済が進んだ中高年層より負担が大きくなる傾向が見て取れます。
ただ、こうした試算の想定は、景気が順調に上向いて物価も賃金も上がり、日銀が利上げを進めていった場合です。
植田総裁は、現時点では、マイナス金利を解除しても、緩和的環境が当面続く可能性が高い、つまり、どんどん金利を上げていく環境にはならないとの認識を示しています。
マイナス金利が解除された場合、その先、日銀が金利の引き上げに向けどのように歩みを進めるのか、注意深く見ていく必要があります。
フジテレビ,経済部
|
![]() |