( 151334 )  2024/03/21 13:30:55  
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日本銀行が異次元の金融緩和政策を転換して、円相場が急落し、ドルやユーロに対して長いぶりに安値を記録した。

マイナス金利を解除して政策金利を引き上げたものの、日本の金利はまだ欧米との差が大きいため、円キャリートレードが続き円安が進行。

このため期待された円高とインフレの抑制は難しい状態。

実質賃金のマイナスや消費者の買い控えが深刻で、インフレ退治が進まないと首相の期待する実質賃金プラスも遠のく。

日本の政治状況も悪化しており、予想外の円安に消費者は困惑している様子。

(要約)

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とうとう151円をも突破(C)共同通信社 

 

 日銀が異次元の金融緩和政策を大転換して一夜明けた20日の外国為替市場で円相場が急落。昨年11月中旬以来、約4カ月ぶりに1ドル=151円後半まで売られた。対ユーロでも164円台後半となり、2008年8月以来、約15年半ぶりの安値を付けた。 

 

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「マイナス金利解除」という日銀の決定は利上げだ。これまでマイナス0.1%だった政策金利が0~プラス0.1%に引き上げられた。日銀が利上げすれば、為替相場は円高方向に振れると解説されていたのに、まさかの円安進行。話が違うじゃないか。どういうことなのか。 

 

「マイナス金利は解除したものの、日銀の植田総裁が記者会見で『緩和的な金融環境を継続』と発言したこともあり、海外の投資家は『当面、日米の金利差は縮まらない』と受け止めた。YCC(長短金利操作)も撤廃し、金融政策の正常化に踏み込んだとはいえ、海外投資家に日本が金融引き締めに転じたという意識はない。急激な円安に振れたのは『早く追加利上げを』という催促相場とも言えます」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏) 

 

 現状5%前後の欧米の政策金利と比べれば、利上げしたとはいえ依然「ゼロ金利」の日本との金利差は大きい。低金利の円を調達し、高金利の海外で運用する「円キャリートレード」が続き、円安も続く。 

 

 だとすると、期待された円高進行によるインフレの是正は望めない。 

 

“伝家の宝刀”抜いたのに「円売り」が加速とは…(植田和男日銀総裁)/(C)共同通信社 

 

 実質賃金が22カ月連続マイナスなのは、現状の超がつく円安による輸入物価高が影響している。 

 

 消費者の買い控えは深刻で、総務省が今月発表した1月の家計調査では、1世帯(2人以上)あたりの消費支出が、実質で前年同月比6.3%もの減少だった。 

 

 インフレ退治が進まなきゃ、岸田首相が期待する実質賃金プラスは遠のく。4月末に期限を迎えるガソリン補助金も継続だろう。大手企業を中心とした大幅賃上げも、人件費増がさらなる物価高要因になるから、庶民にはダブルパンチだ。 

 

「日銀が『伝家の宝刀』を抜いたのに、予想と逆の円安に振れてしまった。『利上げイコール円高』という教科書通りには行かず、利上げでインフレを抑えるシナリオは崩れた。消費者にとっては最悪です。予想外の円売りには、日本の政治状況がよくないことも影響している。海外の金融市場の投資家の間で『岸田る』という言葉がはやっているそうです。何かやっているように見えて、何もやっていない、という意味だそうです」(森岡英樹氏) 

 

 まだまだ、苦しい買い控え生活が続く。 

 

 

 
 

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