( 151680 )  2024/03/22 12:44:23  
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マクドナルドの広告には最近、いくつかの物議をかもす点がある。

例えば、夫婦や家族の描写に対する批判や、男性中心の映像に対する反応などである。

マクドナルドは、「ビッグマックを楽しんでほしい」という想いから、広告を制作しており、物議をかもした点に関しても視聴者の声を尊重しながらCMを制作していると説明している。

一方で、マクドナルドは今後も様々な広告を通じて我々にメッセージを送ってくると予想されている。

(要約)

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集英社オンライン 

 

「家族=幸せの押し付け」「夫婦=男と女というLGBTQへの配慮不足」「社会で活躍しているのは男だけという古い価値観」。これらは、マクドナルドのCMに寄せられたクレームの数々だ。マクドナルドはどういった意図で、CMを制作しているのだろうか。日本マクドナルド株式会社広報部を直撃した。 

 

【画像】マクドナルドを代表する看板商品のCMに込めた意図 

 

大手ファーストフードチェーン・マクドナルドの広告が頻繁に物議をかもしている。この戦略と狙いについて、日本マクドナルド株式会社の広報部に話を聞いた。 

 

最近一番大きな騒動になったのは、2023年9月にマクドナルドの公式Xが投稿した広告アニメーションだ。夕方、男女の夫婦とその娘がマクドナルドを食べて幸せそうにしている場面を描いたもの。「特別じゃない、しあわせな時間。」と題されたそのアニメは、国内では〈エモくて好き〉〈幸せな気分になる〉などと好評を博した。 

 

しかしその一方で、「家族を持つ=幸せ」という押し付けなのではないか? 

夫婦=男女という決めつけはLGBTQへの配慮が足りないのではないか?  

 

そんな論が飛び交い、その勢いは海外にも波及。海外でも、マクドナルドのアニメに対して、〈これを求めているんだよ!〉という絶賛の意見もあれば、〈うちの国では炎上するだろう〉という反対意見も飛び交った。 

 

結局、このアニメーションはXで1.5億以上のインプレッションを獲得するほど世界的大反響となり、世界に向けて、改めてポリティカル・コレクトネスを考えさせるきっかけともなった。 

 

そんな騒動も束の間、マクドナルドは2024年2月、またも物議をかもすCMを作り出した。中年のサラリーマン風の男に扮した、俳優の玉木宏やアーティストの竹原ピストルらが登場し、仕事の束の間、ビッグマックをたいらげて、「オレたちまだまだ、ビッグマックなんて、ペロリだよ」と力強く叫ぶ映像だ。 

 

中年のサラリーマンが、ゆとり世代や、さとり世代など、押し寄せてくる若い波に立ち向かうような構成となっている。 

 

このCMが物議をかもしている理由は、出演している玉木宏や竹原ピストルをはじめ、サラリーマンとして登場する人のすべてが男性である点だった。これが、「社会で働いているのは男だけ」という旧世代の価値観なのではないかと指摘されてしまった。 

 

どちらも過剰に気にしすぎではないかと感じなくもないが、昨今の時代の流れを考えれば、男性だけが働く社会の映像を制作すれば、こういった意見が寄せられることも想定できるだろう。 

 

特にマクドナルドに関しては、昨年9月に同様のことで物議をかもしたばかり。なぜこのようなCMを制作するに至ったのか 

 

 

日本マクドナルド株式会社広報部の北田七奈恵氏に取材をすると、制作背景について下記の回答があった。 

 

「マクドナルドでは商品のみならずお客様にFUNをお届けできるよう日々取り組んでおります。商品の特性やお客様のニーズ、時代にそった内容のテレビCMやSNS投稿を日々心掛けて取り組んでおります。ビッグマックのテレビCMは、マクドナルドを代表する看板商品のひとつであり、ボリューム満点のビッグマックを多くの方に楽しんでいただきたいという想いから作成いたしました。 

最近ビッグマックを食べていないなという大人のお客様にも、改めてビッグマックを召し上がっていただきたく、テレビCMでは、責任のある仕事が続く生活の中でも自分の年齢に限界を設けず、可能性に向かって進み続ける姿を描きました」 

 

つまり、今回のビッグマックCMでは、女性を排除したのではなく、中年男性にターゲットを絞って制作した結果、あのCMの内容になったということのようだ。広告を制作するうえで、ターゲット層を絞るのは当然といえば当然だ。 

 

では、昨年物議をかもした家族のアニメーションの制作意図は…。 

 

「夕方5時から限定の夜マックを、日常のあらゆる場面で楽しんでお召し上がりいただきたいとの想いで『特別じゃない、しあわせな時間。』というテーマのもと作成いたしました。誰かとマクドナルドを食べている時間は、その時はそんなに特別だという意識はなくても、振り返ったときにささやかで幸せな時間だったと感じていただけるように、本作の家族編以外にもマックフライポテト片手に河川敷でおしゃべりをする高校生たちを描いた高校生編という作品も同時期に投稿しております」(北田氏) 

 

こちらも、何気ない日常のシーンをいくつかピックアップするうえで、男女の夫婦と娘で、マクドナルドを食べる様子もそのひとつとしてチョイスされただけ…ということのようだ。ではそもそも、ネット上で物議をかもしていることをマクドナルド側は認識しているのだろうか。 

 

「テレビCMをご覧になった方に、お楽しみいただけたかどうか、どのようにご覧いただけたか、日々確認させていただいております。私たちがお伝えしたいメッセージを大切にしつつ、ご覧になった方々のお声も参考にさせていただき、CMの制作を行っております」 

 

どうやら批判的な声もしっかり届いているようだが、自分たちのまっすぐな姿勢を貫いている日本マクドナルド。今後も、さまざまなCMで我々にテーマを投げかけてくるだろう。 

 

世界を代表するファーストフード店が制作する広告だけにその時代背景を象徴するといっても過言ではない。それだけに誰もが「I’m lovin’ it.」といえる内容を期待したい。 

 

取材・文/集英社オンライン編集部 

 

 

 
 

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