( 151715 )  2024/03/22 13:21:00  
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三重県鈴鹿市が車の運転記録を提出しなかった理由で生活保護の支給を停止したことは違法だとして、身体障害のある女性と難病を患う男性が提訴しました。

津地裁は市に20万円の支払いと処分取り消しを命じる判決を言い渡しました。

裁判長は、運転記録の提出が必要かどうかについて過剰である可能性があると指摘し、市の対応を批判しました。

(要約)

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津地裁=朝比奈由佳撮影 

 

 車の運転記録を提出しなかったことを理由に、三重県鈴鹿市が生活保護の支給を停止したのは違法だとして、身体障害のある同市の女性(81)と難病を患う次男(56)が、停止処分の取り消しと計110万円の損害賠償を求めた訴訟で、津地裁(竹内浩史裁判長)は21日、処分取り消しと計20万円の支払いを市に命じた。 

 

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 判決によると、女性は2019年8月から生活保護を受給。市は、運転経路や同乗者、具体的な用件などを記入する「運転記録票」の提出を条件に車の保有を認め、通院以外で利用しないよう求めた。親子は歩行が困難なため買い物など日常生活でも車を使用し、記録票を提出しなかったことから、市は22年9月に支給を停止した。 

 

 竹内裁判長は判決で、買い物など必要な範囲で車を利用することは親子の自立に役立つとして「非難されるべきものではない」と指摘した。生活保護を停止すれば生命の危険も生じる可能性があったことから、停止処分は「原告らに多大な不利益を与えるもの」で違法だと結論付け、市の対応は「硬直的な独自の運用」と批判した。また、記録票に運転経路や距離、用件の正確な記載を求めたことは「過剰である疑いがある」とした。 

 

 判決後に記者会見した原告の女性は「長く感じた裁判も、やっとけりがついた。市には怒りしかない」と話した。代理人弁護士は「地方で暮らす人にとって車は必要なものと理解して、国民の感覚として認めていく方向に向かってほしい」と述べた。 

 

 市は「主張が認められず残念。判決内容を精査し今後の対応を検討する」とした。【寺原多恵子】 

 

 

 
 

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