( 151830 )  2024/03/22 22:01:21  
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16歳の少女が新宿・歌舞伎町の「トー横」で亡くなった事件を取材した結果、少女は不登校からの復学を経て、交際相手とホテルから転落し亡くなったことが分かった。

父親は娘のスマホを復元し、少女が「トー横」に通っていたことやそこでの交友関係を知るものの、事件の真相には謎が残った。

父親は娘を失った悲しみに加え、トー横で苦境に立たされている子供たちに対応するための取り組みの必要性を訴えている。

東京都もトー横対策として2億円の予算を計上し、相談窓口を常設することを決定している。

また、子供たちに向き合いながら相談に至る取り組みについても報告された。

(要約)

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「トー横に殺された」 

2023年、ホテルから転落し亡くなった16歳少女の父親の言葉です。少年・少女らのトラブルが相次いでいる新宿・歌舞伎町の「トー横」に、なぜ娘は通っていたのか。真相を求める父親の姿を追いました。 

 

【写真をみる】半年通っても、あきこさんが「トー横」に行った理由や交際相手と知り合った経緯ははっきりと分からないまま。 

 

■娘を亡くした父「トー横に殺された」 

 

あきこさんの父 浩三さん(41) 

「なんでこうなったのかなって。正直なんでなんだろうとしか思えないんですよ」 

 

男性とその妻が見上げる先は、あるホテルの屋上。 

夫婦の娘・あきこさんはここから転落し、16歳でこの世を去りました。 

 

父・浩三さん 

「遺体を見た時、下半身はありませんでした。衝撃で砕け散ってしまったんでしょう」 

 

中学1年生のころから不登校がちだったあきこさん。 

通信制の高校への進学を機に両親の反対を押し切って都内の自宅を離れ横浜市の学生寮で暮らし始めました。 

 

そして1年後の2023年3月。突然、交際相手の男性と一緒にホテルから転落。遺体から薬やお酒は検出されず、自ら死を選んだとみられています。 

 

なぜ娘は死を選んだのか。 

 

浩三さんがあきこさんのスマホを復元し、友人に連絡してみると… 

 

父・浩三さん 

「初めて全部知ったという。あきこも交際相手もトー横キッズだと教えていただいた。トー横に殺されたという感じですね」 

 

“犯罪の温床”と報道されている「トー横」。娘はどうしてそんな場所に行ったのか。 

浩三さんは自分の知らなかったあきこさんの姿を知ろうと「トー横」に通います。 

 

父・浩三さん 

「トー横にいた女の子捜していてこの子見たことないかな」 

 

少女 

「あ、なんか見たことある」 

 

あきこさんを知る少女 

「2人とも死んじゃったのか…嘘だったらよかったのに」 

 

子どもたちからは、あきこさんが犯罪の被害にあっていたというショックな話も。 

 

しかし、最も親しくしていた少女の話には浩三さんが知る優しいあきこさんの姿がありました。 

 

父・浩三さん 

「OD(オーバードーズ)して気持ち悪くなってる子をあの子が介抱してたっていう。本人が人助けをやっていたというのはちょっと嬉しかった」 

 

半年通っても、あきこさんが「トー横」に行った理由や交際相手と知り合った経緯ははっきりと分からないまま。 

しかし、子どもたちの話を聞く中で、浩三さんの思いにも変化が… 

 

 

父・浩三さん 

「確かに(娘は)トー横に殺されたけど、トー横をなくせば解決するわけではない。せめて一矢報いるならば、トー横キッズを何とかしたいなっていう」 

 

「トー横」に集まる子どもたちの多くは、あきこさんと同じように不登校の経験があり、居場所を求めているようでした。 

 

■「第二の娘を生まないために」今もトー横に足を運び続ける 

 

父・浩三さん 

「一番の思いは娘の命を絶対に無駄にしたくないというところ」 

 

この日、浩三さんの姿は都議会にありました。 

「トー横」への対策の必要性を訴えていた都議会議員と直接話す機会が設けられたのです。 

 

東京都は、「トー横」対策として今年度の10倍となる2億円の予算を計上していて、来年度中に相談窓口を常設する予定だといいます。 

 

父・浩三さん 

「これが一番衝撃で…。すいません、ちょっとたまに感情がバーって出ちゃう。やっぱ感情がやっぱり駄目だ」 

 

浩三さんは、時折言葉に詰まりながらも、対策の必要性を訴えます。 

 

父・浩三さん 

「自分を大切にしないから自分がどうなってもいいという感じの感覚なんですね、トー横の子たちって。これ(施策)を見たときにあくまで受動的かなって。トー横の子たちを待つんじゃなくて、こちらから働きかけていく」 

 

あきこさんが亡くなってからまもなく1年。 

浩三さんは今も、どうすれば娘の死を防げたのかと葛藤しています。 

 

父・浩三さん 

「精神的余裕がなかったなっていう感じ。ずっと日々学校に行かなくて、どんどん家にいる時間が多くなって、どう接すればいいか本当に分からなかった。今後、あきこみたいな子を出さないように支援していく立場の方に回って何かできることないかなっていう」 

 

浩三さんは第二の娘を生まないため、今も「トー横」に足を運び、子どもたちに向き合い続けています。 

 

■都も「トー横」対策 相談窓口常設へ 

 

藤森祥平キャスター: 

子どもが悩んだり壁にぶつかってもがいているときに、親としてはどんな言葉をかけたらいいのか、あの時、どう接したら良かったのか、いつも迷ってるんですよね。いつだって親は、些細なSOSの声でも辿り着きたいと思ってるのに辿り着けない。ご家族の姿を見ていると胸が詰まります。 

 

 

伊沢拓司さん: 

示唆的な言葉があったんですけど、政策的には受動的だなと思う一方で、大人を信じられなくなった子どもたちにどう能動的に働きかけたらいいんだろう?というのは難しいポイントだなというのを改めて思いましたね。 

 

喜入友浩キャスター: 

今回、「トー横」を取材した窪小谷菜月記者は「わが子を連れ戻すために何度も『トー横』まで来ていた親が徐々に来なくなる姿も見てきた」「子どもとの向き合い方に悩む親も多い」としています。 

 

また、東京都は「トー横」対策に2億円の予算を計上していて、2024年度中に相談窓口を常設する予定です。 

 

こうした相談窓口は2024年1月に10日間開かれ、原則18歳未満の男女とその家族なども対象となりました。軽食を用意したり、Wi-Fiやスマホの充電なども利用できるという施設で、約300人が利用したということです。 

 

少年少女たちは、お菓子などを食べたり相談員と会話するなどして、徐々に打ち解け相談に至った人が多かったそうです。 

 

藤森キャスター: 

こうした取り組みに300人が利用して声を上げている。これに何か大きなヒントがありそうですよね。 

 

伊沢さん: 

こういう対策が必要になってくるでしょうし、一方で「トー横」を無くせば良いという話じゃないというのもありましたよね。 

 

東京都が頑張るだけではなく、元々「トー横」にたどり着いた彼らというのは、「トー横」が魅力的だったからだけではなくて、元々いたコミュニティや環境にほんのちょっとの掛け違いがあって、そこを飛び出てきてしまってるわけですよね。 

 

そうなると、コミュニティや環境が変わっていく必要があるわけですから、東京都が先陣を切ったことに対して、周りもしっかりと子どもたちの居場所作りをもう一度考え直す必要があるでしょうね。 

 

藤森キャスター: 

ほんのちょっとの掛け違いをみんなで気付けるような、きっかけに繋がる場所をみんなで作っていく考えが大事かなと思いました。 

 

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