( 152483 ) 2024/03/24 14:54:52 0 00 松本人志(C)日刊ゲンダイ
【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】
松本人志が週刊文春を訴えた民事裁判が今月28日から始まるが、文春にとって厳しいものになると、私は見ている。
松本人志がBPOに人権侵害を申し立て? 霜月るな告発に一切触れない関西の情報番組を懸念
なぜなら、松本の性加害を立証する客観的証拠はなく、よりどころは被害を受けたという女性たちの証言だけだからだ。
そうした読者の“疑念”を払拭するために、文春は2月29日号で当該の記事を掲載するに至った手の内を明かした。最初の告白者A子を初取材したのは2020年7月だったこと。彼女の証言の裏を取るために、当時の松本の髪の色や服装をチェック。松本の携帯電話番号を入手してA子のいった番号と同じかどうかを照合。
被害現場になった「グランドハイアット東京」の高級ゲストルームをA子を同行させて実況見分を行うなど、一つ一つ事実を積み上げることによって、「証言に真実相当性あり」と判断したとしている。
A子は出廷して、松本から受けた性加害の一部始終を証言するようだが、2人だけの密室でのやりとりを、説得力をもって語れるかどうかが鍵になる。
松本側は「合意の上」だと全否定してくるに違いないから、文春側はA子以外にも何人かの被害女性を出廷させ、松本のために後輩芸人たちが「女性上納システム」をつくっていたことも“立証”してくるはずだ。
先日、文春の人間に会った。長い時間はかかるが十分な裏付け取材をしていますからと、自信は持っているようだった。
SNS上では、文春叩きで盛り上がっているようだ。ここへきて松本人志をあがめるセクシー女優の霜月るながXで、「大阪のリッツカールトンの飲み会に参加していましたが、携帯没収、たむけんタイムなどはなかった。文春の記事は嘘だらけ」と投稿し、反文春派を勢いづかせているようだ。たむけんもXで「ありがとう」と呟き、再反論を始めている。
文春もこれを看過できないと考えたのだろう、3月21日号で猛反論している。
「霜月が参加したと主張する飲み会は、第六弾(二月十五日号)に記載されたものだ。こちらは元グラビアアイドルのJ子さんが参加していた会で、“たむけんタイム”があったとは一切書いてない。
つまり霜月とたむらは全く別の飲み会の話を持ち出すことで、D子さんとE子さんの証言を否定しようとしているのだ」
D子は2019年10月に開かれた飲み会、E子は2015年夏の飲み会に出席していて、「たむけんタイム」があったと証言していた。
文春に「稚拙な印象操作」だと言われた霜月は、文春によるXの取材申し込みDMにこう答えたという。
「文春さんが書かれている記事に関して嘘、偽りがあるので、その様な週刊誌さんの取材は受ける事ができません」
正面切って文春と対峙するのは避けたいようだ。
“女衒芸人”とまでいわれたたむらけんじも、文春の取材に対して、
「これって取材でしょうか? お答えしたら、謝礼はいくらいただけるのでしょうか?」
と、下手なギャグで逃げたそうだ。
かつてのたけし軍団は、よくも悪くも「親分のために体を張る」芸人たちが多くいた。だが、松本人志の周りにはそうした人間はいないようだ。
休養発表以来、沈黙を続ける松本の心境を忖度すれば、春間近なのに「桐一葉」ではないか。 (文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)
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