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グローバル化が進んでいると言われて久しい現代社会だが、その背景を受けて、都心の早期英語教育熱は高まり続けている。
東京都内の教育事情に詳しい教育投資ジャーナリストの戦記氏に、港区富裕層たちの早期英語教育事情を聞いた。「教育費に上限がない世界なので、早期英語教育熱は高まり続けるばかりです」というーー。みんかぶプレミアム特集「日本・世界経済こう変わる」第4回。
教育投資ジャーナリストの戦記(@SenkiWork)と申します。
簡単に僕の自己紹介をさせて頂きます。僕は、中学受験で千葉の市川学園に進学→早稲田大学法学部→新卒で三井物産株式会社に入社し、社費派遣でのUC Berkeley MBA留学→2018年からは経営者キャリアを歩んでいます。
その傍らで、2016年に当時小1娘の教育投資ブログをアメブロにて開始し、2020年には100万PV/月に到達する知名度を獲得したので独立(https://senkiwork.com/)。2022年12月にX(旧Twitter)にて@SenkiWorkを開始しました。現在、僕は教育投資ジャーナリストとして活動しており、今年1月には、ABEMA PRIMEの生放送に出演して「ひろゆき」さんと戦わせて頂きました。
娘が経験してきた教育環境ですが、以下の通りです。
未就学児時代は、共働きであることから港区の認可保育園。小学校は、日本最古の小学校を源流に持ち、校庭から東京タワーが良く見える港区立小学校。塾歴としては、小学生時代に、公文→RISU算数→四谷大塚マンスリー講座(上位1%向け)→サピックスα1→SPICAジュニア算数オリンピックファイナリスト特訓→フォトン算数クラブなどを経験。中学受験の進学先は、都内の女子中高一貫校(鉄緑会指定校)で、現在新中3。中2の終わりまでに、公文最終教材O200到達(数学・国語・英語の3科目全て達成)→鉄緑会レギュラーコース→英検準1級合格など、を経験しています。
今回、「港区ママ・パパが考える最高の早期英語教育環境」というテーマですが、まず港区という場所は究極の格差社会であることに注目すべきだと考えます。格差社会というと、年収格差をまず連想することが多いと思いますが、港区が特殊なのはあらゆる分野での最上級が存在する世界である、ということに尽きると思います。家柄、年収、金融資産、学歴といった個人の属性はもちろん、不動産、自動車、医療、そして教育といったサービスに至るまで、最上級が存在します。
よって、ある程度のセグメントに分類をしないと、早期英語教育についても語ることができません。港区上位層はFIREしている方も多く、そもそも年収(給与所得)で分類するのは不可能ですので、保有している金融資産の金額で分けると理解が進みます。
富裕層という言葉は野村総研の定義が有名ですが(富裕層:「純金融資産保有額1億円以上5億円未満」)、あくまでも日本全域を対象としたものですので、港区の感覚とはずれています。港区在住者で1~5億円を保有している人で、自分のことを富裕層だと考える人はほぼいないと思います。
港区では以下が肌感覚と合うと思います。
①港区的「富裕層」
a)金融資産100億円以上:超富裕層(成功した上場企業オーナーや投資家)
b)金融資産10~100億円:富裕層(成功しつつある上場企業オーナーや投資家)
②港区的「富裕層以外」
c)金融資産5~10億円:準富裕層(働く必要性があまり無い人)
d)金融資産1~5億円:アッパーマス層(働いているがFIREが頭をよぎる人)
e)金融資産1億円未満:マス層(全員同じ扱い)
Cash Flowの感覚としては、例えば税前配当利回り5%(税後で約4%)の国内個別銘柄や米国SPYDといった高配当株式に投資すれば、10億円あれば4000万円/年のCashが入ります。フェラーリやランボルギーニを毎年買い換えたり、飲むワインをDRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)に限るようなお金の使い方をしない限り、Cash 4000万円/年を使い切ることは、港区でも相当難しいと思います。
上記の経済的感覚から分かると思いますが、「富裕層(10億円以上)」と、「富裕層以外(10億円未満)」では、住む世界が異なります。
「富裕層」の多くは投資家としても成功していますので、今後の日本の経済環境の動向を踏まえた上で、我が子を国内インターナショナルスクールからの海外でのボーディングスクール、そして海外大学受験へ送り込むケースが増加しているように思います。
しかし、「富裕層以外」については金融資産1億円未満のマス層も、金融資産1~5億円のアッパーマス層も、金融資産5~10億円の準富裕層も、「突き抜けた存在ではない」という意味では同じです。よって、このセグメント内部において、激しい教育競争が起きていると考えるのが正しい俯瞰です。
まずは、港区在住の日本人富裕層が、我が子に最上級の早期英語教育を与えようと考えた場合のルートとコストを俯瞰してみます。経済的な制約が無ければ、何ができるのか。そこからの逆算が大事だと考えます。
以下、都内主要インターナショナルスクールの年間学費ランキングをご紹介します。
未就学児(0~5歳はプリスクール、3~5歳はKinderと大まかに定義されている)を対象にインターナショナルスクールに通う場合の、年間の学費は200~300万円/年が相場です。実際には諸経費が50~150万円かかりますので、250~450万円というレンジで考えると良いかと思います。
01) ASIJ(The American School in Japan): 305万5000円
02) 西町(Nishimachi International School): 276万0000円
03) Tokyo(Tokyo International School): 271万0000円
04) BST(The British School in Tokyo): 260万5000円
05) KIST(K.International School): 260万0000円
06) St. Mary’s(St. Mary’s International School): 254万0000円
07) CTIS(Capital Tokyo International School) 242万0000円
08) 清泉(Seisen International School in Tokyo): 220万0000円
09) Aoba(Aoba-Japan International School): 212万0000円
10) 聖心(International School of the Sacred Heart): 209万0000円
11) CIS(Canadian International School Tokyo): 195万0000円
※各種インターが多数存在するので大規模校のみ調査。
※2024-2025年の年間学費のみを対象。「入学金、施設費、バス費、会費等」が50~150万円/年程度追加で発生する。
※Kinderを対象とし、無い場合はElementary。
実際に国内主要インターナショナルスクールにお子様を通わせている方にもお話を伺いました。
「名門とされるインターナショナルスクールは情報管理がしっかりできているので、外部の方にあまり情報が漏れ聞こえてくることはないと思います。在校生の国籍比率ですが、日本国籍は多くて半分かな、と思います。その内訳が面白いのですが、日本国籍は医師、弁護士、経営者。これが大半を占めます。外国籍の場合は、各国大使館、あるいは外資系企業幹部の子弟ですね。経済的かつ社会的なエリートが大半ですので、ある意味均質化された環境になります。多様性ですか? ほぼないと思いますよ。何かに揉まれて逞しくなっていく、ということは想定していない環境だと思います」
戦記
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