( 152838 ) 2024/03/25 14:28:17 0 00 写真提供: 現代ビジネス
今、中国発のファストファッションブランドが、日本の若者たちからも絶大な支持を集めている。そのブランドとは「SHEIN」(シーイン)
【マンガ】夫の死後、5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からのお知らせ
SHEINは2008年に中国で設立され、「南京希音電子商務有限公司」という企業が母体となるブランドだ。安価でファッション性のある衣服を多数展開しており、日本でもZ世代の女性を中心に利用者は増加している。
昨年6月に、イギリスの調査会社・カンターの発表した「最も価値のあるブランドランキング2023」によれば、SHEINは全体のランキングで70位に位置し、グローバルトップ100にランクイン。アパレル分野で見ると、1位の「ナイキ」に続きSHEINは2位にランクインしており、3位の「ZARA」や5位の「ユニクロ」を上回る躍進ぶりなのである。
しかし人気の裏側では、危険な労働環境疑惑や「使い捨て」による廃棄物増加の環境問題、さらにはデザインの盗用問題などさまざまな黒い噂が流れている。
SHEINの盗用疑惑は、国内ファストファッションブランドの雄であるユニクロからも訴えられている。1月16日、ユニクロは同社商品の「ラウンドミニショルダーバッグ」を模倣したとされるバッグをSHEINが販売しているとして、運営会社など3社を東京地方裁判所に提訴したと発表。グローバルアパレルブランドであるユニクロとSHEINの裁判にどんな判決が下されるのか、注目が集まっている。
このように多くの問題を抱えるSHEINだが、それでもなお若者からの支持は厚い。人気の理由とは、一体何なのか? 今回はSHEIN人気の理由を紐解きながら、現代の若者の消費行動や消費意欲についてファッションジャーナリストの増田海治郎氏に話を伺った。(以下、「」内は増田氏のコメント)
photo by gettyimages
SHEINが人気を博す理由は大きく3つあると増田氏は語る。
「まずはアイテム数の多さ。SHEINでは数千点の新着アイテムをアップデートし、ファッションアイテムだけでなくキッチン用品やインテリアなどカテゴリーを拡大させています。言わば“オンラインサイトの100円ショップ”のような感覚で、性別や年代を問わずターゲット層を拡大し、世界中の一般大衆から受け入れられやすくなっているのです。
次はデザインの意外性。実はSHEINではデザインにAIを活用していると言われています。そのため、ときどき人間の感性を超えたものがあるというか、ファッション好きでも目を引くアイテムが稀にあります。コーディネートのアレンジとして何点か取り入れる方も少なくないでしょう。
最後は圧倒的に低価格なこと。SHEINがファッション分野のターゲットとしている若い女性にとって、1万円あれば5商品でも10商品でも買うことができるのはやはり魅力的でしょう。ほかの比較的リーズナブルなブランドでも全身コーディネートを考えると、それだけで1万円ぐらいにのぼることがありますが、SHEINであれば全身コーデを揃えても5000円を切るなんてこともザラにあります」
たとえばSHEINの今春の新作をチェックしてみると、「レディース長袖シャツソリッドカラーボタンフロント」が1063円、「ハイウエストストラントポケットスーツパンツ」が1925円、「レディース スポーティー厚底スニーカー」が2247円となっており、この3点の全身コーデで計5235円と破格。
photo by gettyimages
一方、SHEINはSNSマーケティング戦略も巧みだという。
「YouTubeやInstagramなどでは、よくインフルエンサーがSHEINの購入品を紹介する動画を流しています。インフルエンサーが発信することにより、彼ら彼女らと同じアイテムが持てること、価格が安いため全身丸ごとコーディネートを真似できることが、若い世代の消費者の購買意欲を上手く掻き立てていると思われます。
そして現在は、かつて安いというイメージがあったユニクロでさえ“高い”と言われる時代ですので、若者を中心に、よりSHEINに魅力を感じる方々が増えてきたのではないでしょうか」
日本のファストファッションブランドのなかでは、ユニクロの姉妹ブランドである「GU」に“安い”イメージがあるだろうが、SHEINはGUでさえ勝負にならないほど激安なのである。若者の貧困化が叫ばれて久しい今の世の中で、SHEINが人気を博するのも頷ける話だ。
記事後編は「絶大なSHEIN人気…そもそも、日本の若者の洋服はいつからファストファッションばかりになったのか」から。
A4studio(編集プロダクション)
|
![]() |