( 153516 )  2024/03/27 14:18:09  
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小林製薬が販売した「紅麹」のサプリメントを摂取した1人が腎疾患で死亡していたことがわかり、健康被害への不安が広がっている。

他社が自主回収を行った製品などへの問い合わせが相次いでおり、情報提供の遅さが指摘されている。

小林製薬は原因特定に時間がかかる可能性があるとしているが、健康被害を拡大させないことが最優先であるとの認識がある。

(要約)

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会見で頭を下げる小林製薬の小林章浩社長(左から2人目)ら =22日午後、大阪市中央区(柿平博文撮影) 

 

小林製薬が製造・販売した「紅麹(こうじ)」のサプリメントを摂取したとみられる1人が腎疾患で死亡していたことが分かった。因果関係は不明だが、健康被害への不安が急速に広がっている。最初の症例の報告から自主回収まで約2カ月かかった。同社の紅麹原料でつくった製品の回収を余儀なくされた企業からは「もっと早く教えてくれれば」と情報提供の遅さを指摘する声が上がる。 

 

【一覧で見る】小林製薬の紅麹を使用し、自主回収に踏み切った主な企業と商品名 

 

「食べてしまったが、大丈夫でしょうか」 

 

食品を手がける福岡市の「ZERO PLUS(ゼロプラス)」には、自主回収を決めた同社の機能性表示食品「悪玉コレステロールを下げるのに役立つ 濃厚チーズせんべい」を購入した消費者から問い合わせが相次いでいる。今月15日に発売したばかり。小林製薬が開発した紅麹原料を使った商品だった。 

 

22日夜に連絡を受けて急いで販売を止めたが、1週間で出荷した約700袋のうち約320袋が消費者に渡っていた。一方、小林製薬も1日に同製品を紹介するリリースを出していることから、社内でも安全性の情報が共有されていなかったことがうかがえる。 

 

小林製薬は、健康被害の原因となる物質は特定できていないものの、サプリ以外で健康被害がでる可能性は低いとする。一方、企業52社に紅麹原料を販売しており、これらの企業に自主回収を呼びかける電話をかけ始めたのは22日午後5時の発表と同時だった。 

 

ある関西の食品会社は「連絡があったのは、記者会見の後だった」と連絡の遅さを批判。「商品ブランドに悪い影響が広がらなければいいが」などと不安を募らせた。 

 

小林製薬に最初の腎疾患の入院の症例報告が医師から入ったのは1月15日で、2月27日までに6人の入院事例を確認した。自主回収が3月22日にずれ込んだことについて、渡辺淳執行役員は「調査にかける人員が限られ、製品が原因で症状が起こったと特定できなかった」と説明するが、大阪市保健所と消費者庁に対しては22日の発表直前に相談。行政との情報共有も遅きに失した。 

 

経団連の十倉雅和会長も26日の定例記者会見で、問題を巡り、「まずやるべきことは健康被害を広げないことだ」と述べ、自主回収までに約2カ月間を要したことについても「かなり時間がかかったのは確かだ」との認識を示した。 

 

小林製薬は現在、原因の特定を急いでいるが、究明には「1~2カ月かかるかもしれない」と明かす。健康志向の高まりで関連商品の需要が拡大する中、消費者の不安払拭は急務だ。(牛島要平、田村慶子) 

 

 

 
 

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