( 154086 )  2024/03/29 12:18:45  
00

北海道の牧場で、大学生2人が無断で牛舎に侵入し、牛をスマホで撮影したことが問題となっている。

この行為は牛に伝染病を広める恐れがあり、同業者からも批判を受けている。

牧場側は侵入を許さないことを強調し、このような行為は絶対にやめてほしいと訴えている。

侵入場面がSNSで拡散され、多くの人々から注意や反感の声が上がっている。

被害に遭った農家は経済的な打撃を受けかねないと危惧しており、厳重な対応を検討している。

(要約)

( 154088 )  2024/03/29 12:18:45  
00

牛舎の牛たち(写真はイメージです。記事中の内容とは関係ありません。YUMIK / PIXTA) 

 

肉牛を育てる北海道の牧場に大学生2人組が車で無断侵入し、牛舎の牛をスマホで撮影する出来事があったとして、同業者がX(旧ツイッター)で「伝染病」に関する注意を呼びかけた。 

 

【写真】女子大生が無視した「牛舎立入禁止」 

 

2010年4月に宮崎県で発生した伝染病「口蹄疫」では、牛など約30万頭の命が失われ、畜産業を中心に経済的な大打撃が生じた。 

 

今回の投稿を受けて、衛生管理に気を配る畜産業の人たちの努力を踏みにじるような行為だと批判の声が上がる状況だ。 

 

許可なく侵入された北海道池田町の牧場は弁護士ドットコムニュースの取材に応じ、「牛が口蹄疫などに感染すれば、うちの牧場だけの問題ではなく、地域全体に被害が及びます。牧場や農地に立ち入ることは絶対にやめてほしい」とうったえた。 

 

●投稿に反響 

 

「十勝池田町の肉牛農家の方の敷地内にて 無断で車で侵入し、牛舎で大学生複数人が動画撮影を行う迷惑行為被害が発生しました 衛生管理区域内への無断侵入は大切な牛達の命を脅かします。絶対にやめてください」 

 

北海道で乳牛を育てる牧場が3月27日、酪農仲間からの協力願いを受けて、このポストをXに投稿したところ、1万件近いリポスト(拡散)がされた。 

 

無断侵入があったのは、3月27日の夕方4時~5時頃のことだという。 

 

「口蹄疫」から牛を守るため、「牛に触らない」ことを求めるイラストも添付されている。 

 

この投稿に対して、「人様の土地に勝手に入ったら不法侵入」「家畜伝染病予防のため牛舎は関係者以外立ち入り自体禁止です。牛だけでなく豚や鶏など家畜を飼育している畜舎には無断で立ち入ってはダメです」といった声があがった。 

 

また、神戸大学の非公認バドミントンサークルの学生らが旅館の天井を突き破るなどの迷惑行為で問題になったばかりでもあり、「先日の旅館の被害も酷いけどこれは更に酷い。牛舎に侵入って言葉もでない…年齢的に口蹄疫の時のこと覚えてないのかもだけど、これは警察に不法侵入で被害届出して厳重に対処したほうがいいのでは…」といった反応もみられた。 

 

●立ち入りと撮影を注意されても…女子大生ら「三流大学なんでわからないですよ」 

 

無断侵入の事案が発生したのは、数百頭の肉牛を育てる家族経営の農家だ。 

 

後継者のAさんは「知らなかったでは済まされないこともあります。私たちの牧場は観光客を受け入れる観光牧場ではなく、関係者以外の無断立ち入りは禁止しています。家畜への伝染病を予防するだけでなく、ちょっとした刺激でも牛に悪い影響があることをもっと知ってほしいと思います」と話す。 

 

この牧場では、家族の居住スペースとその奥にある牛舎や牧場などのスペースは離れており、衛生管理を徹底している。 

 

2人組はレンタカーで居住スペースを通り抜け、立入禁止とされている牛舎に横付けしたそうだ。 

 

牛舎には「牛舎内関係者以外立入禁止」「家畜伝染病予防につき当敷地内立入禁止」の掲示がされてある。 

 

さらに牛舎の中に勝手に入った女性らは、経営者のBさんが近付いても、無視して撮影を続けたそうだ。 

 

Bさんは当時、「牛を伝染病から守るために管理区域は厳重に立ち入り禁止としていて、もし牛が口蹄疫などを発症すれば、うちの牧場だけでなく地域など全体に関わる大きな問題になる。牛の命と牧場の経営を守るために二度と、うちでもよその農家でも絶対にやらないでほしい」と注意したという。 

 

Aさんによると、女性らは素直に「知らなかったです。申し訳ありません」と謝ったが、口蹄疫のことは知識として知らなかったそうだ。 

 

広島の大学で、薬科に在籍していると説明しつつも「三流大学なんで多分言ってもわからないですよ」と大学名は答えなかったという。 

 

「顔を合わせても知らんふりで、ヘラヘラしながら、反省の色は見えず、深く受け止めた感じではなかった。そもそも立入禁止ですが、せめて見学させてもらっていますくらいは言えないのでしょうか」 

 

こんなことが起きたのは初めてだとAさんはため息を吐く。 

 

●驚いた牛が子どもを死なせてしまう事故に繋がることも 

 

「注意喚起のポストを見たところ、どうやら牛など家畜への伝染病のことを知らない人もいたようです。宮崎県での口蹄疫の問題もありましたが、新たな被害を出さないためにも、注意喚起が必要と感じています。 

 

また、牧場に限らず、牧草地や畑も無断侵入は厳禁です。牧草や農作物も伝染病などのリスクが考えられます」 

 

また、Aさんはこのような感染リスクだけでなく、生き物は思われている以上に予期しない刺激に敏感であるとも付け加えた。 

 

「牛は知らない人が近づくと、1頭が走り出して、他の牛も走り出すことがあり、親に踏まれて子っこ(子牛)が死んじゃうこともあるんです。大きな音や刺激で受胎や採卵成績にも影響があります。 

 

説明せずとも常識だと思っていましたが、改めて、牛の命と農家の経営を守るためにも、勝手に管理区域内に無断で入るのがいけないことだと覚えてほしいと願っています」 

 

Aさんたちは周囲から助言をもらいながら、警察への相談なども視野に入れて対応を考えているところだ。 

 

弁護士ドットコムニュース編集部 

 

 

 
 

IMAGE