( 154511 )  2024/03/30 13:23:26  
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日本の内閣府の会議で、再生可能エネルギーに関する資料に中国の国営企業のロゴが含まれていた問題が発生。

野党から外国の影響を受ける可能性について懸念の声が上がっている。

資料提出者は、ロゴが入ったのは単なるミスであり、中国からの影響はないと釈明。

自然エネルギー財団に所属する人が中国の企業ロゴを含む資料を作成した経緯も報道され、日本のエネルギー政策への影響について懸念が広がっている。

専門家は、研究の透明性が重要で、外国からの影響を受けないか確認する取り組みが必要だと指摘している。

(要約)

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All Nippon NewsNetwork(ANN) 

 

再生可能エネルギーについて議論する内閣府の会議で提出された資料に、中国の国営企業のロゴが入っていた問題。野党などから、日本のエネルギー政策に外国が影響を与えている恐れがあるとの懸念の声が上がっている。 

 

■閣内から懸念の声「他国から干渉されるようなことがあってはならない」 

 

林芳正官房長官 

「引き続き河野大臣のもとで内閣府において、中国政府から不当な影響を受けていなかったかなど、調査を行うものというふうに承知をしております」 

 

 問題が起きたのは、22日に行われた再生可能エネルギーの促進に向けて規制の見直しを検討する内閣府のオンライン会議だ。 

 

自然エネルギー財団 大林ミカ事業局長 

「去年の2023年というのが、世界の再生可能エネルギー拡大にとって、非常に大きな転換点となっております」 

 

 有識者の一人として会議に参加していた大林氏がメンバーに示したこれらの資料に、“透かし”のような状態で、中国の国営電力会社「国家電網公司」のロゴが入っていたのだ。 

 

 この事態に閣内から懸念の声が上がった。 

 

高市早苗 経済安保担当大臣 

「関連政策の検討にあたっては、他国から干渉されるようなことがあってはならない」 

 

 野党は国会でこの問題を追及した。 

 

日本維新の会 音喜多駿参院議員 

「どうしてこの有識者が選ばれたかなど、背景を徹底チェックする必要があると思います」 

 

河野太郎 規制改革担当大臣 

「こうした企業のロゴが付いていたから、何かこの企業と特別な関係があると言えるのか。そこはしっかりチェックをしなければいかん」 

 

■“単純なミス”資料提出者が釈明 

 

 そして27日、資料を作った人物が説明会を開き、今回の“ロゴ騒動”について釈明した。 

 

大林事業局長 

「こちらが中国国家電網公司の人が発表した資料。私は内部の研究会で、様々な構想の例を挙げて説明をする資料の一つとして、これを使わせて頂きました」 

 

 資料の右隅には、あの「国家電網公司」のロゴが…。 

 

大林事業局長 

「タイトルのバーをなくそうとするのですが、残ったまま全くないように見える。黒くしていくと、こうやってかすんで出てくるということは、本当に今回初めて分かった」 

 

 資料を提出する際にロゴを消そうとしたが、単純なミスで残ってしまったという。 

 

 大林氏は「中国に限らず、外国の資料を引して紹介することはこれまでもあったが、外国企業のロゴが残ってしまったことで不安や誤解を招いてしまった」と謝罪した。 

 

大林事業局長 

「ただし、今回の件は他の国の影響下にあるとか、国のエネルギー政策をゆがめているとか、そういったこととは一切無縁のことで誤解です」 

 

 大林氏は「日本のエネルギー政策を議論する過程に問題はなかった」と説明した。 

 

■玉木代表が財団の考え方に懸念 

 

 しかし、国民民主党の玉木雄一郎代表は、大林氏が所属する財団の考え方に懸念を抱いている。 

 

玉木代表 

「中国・ロシア・モンゴルやアジア全体、日本も含め一つの送電線網でつなごうと」 

 

 財団が提唱するその取り組みが、「アジアスーパーグリッド構想」だ。アジアのほぼ全域を送電線でつなぎ、太陽光・風力・水力などの自然エネルギーを国境を越えて、相互に活用できるようにするという構想だが…。 

 

玉木代表 

「できるだけ日本は原発はやめろ。火力もやめろと。仮に電力不足になった時に中国やロシアからその送電網を使って電力を輸入するとなると、エネルギーの中露依存が高まっていくことになる」 

 

■孫正義設立「自然エネルギー財団」とは 

 

 中国の国有企業のロゴ入り資料を提出した大林ミカ氏が所属する「自然エネルギー財団」とは、どのような組織なのか詳しく見ていく。 

 

 自然エネルギー財団は、東日本大震災後の2011年8月、ソフトバンクグループの孫正義社長が設立し、会長を務めている。 

 

 財団のホームページには、「安心・安全で豊かな社会の実現には自然エネルギーの普及が不可欠であるという信念から、自然エネルギーを基盤とした社会を構築することを目的として活動」とある。 

 

 この財団が掲げるのが「アジアスーパーグリッド構想」だ。これは、日本や韓国・中国・ロシア・インドや東南アジア諸国を送電網で結び、太陽光や風力、水力など再生可能エネルギーの相互活用を進めるというものだ。 

 

 ただ、これについて国民民主党の玉木代表は26日、「他国に生殺与奪を握られることになってしまう」と懸念を示した。 

 

 また財団は2016年、「アジアスーパーグリッド構想の世界版」と言える世界全体をつなぐ電力網の構築を目指す国際組織の理事会メンバーになった。 

 

 今回の問題発覚を受け、理事会メンバーは退任しているが、この組織のトップが、今回資料に入っていたロゴの企業「国家電網公司」の時の会長だったことから、中国との関係性の深さが指摘されている。 

 

■専門家「研究インテグリティ」が重要に 

 

 では、中国は日本の再生エネルギー政策に、影響を与えようとしているのか。 

 

 国際政治学者で東京大学・公共政策大学院の鈴木一人教授は、「今回の件は会見で本人が説明していた通り、ケアレスミスだろう。中国が、本当に影響工作をしようと思ったら、企業ロゴの透かしを残すような分かりやすいミスはしない」としている。 

 

 一方で、鈴木さんは「有識者を集めて会議などを行う際は、これまで以上に研究インテグリティが重要になる」と指摘する。 

 

 研究インテグリティとは、研究者が他国から資金提供や影響を受けていないかなどを確認する取り組みのことで、「中国に限らず、他国の影響工作を防ぐためには、制度化も検討すべきでは」としている。 

 

(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年3月29日放送分より) 

 

テレビ朝日 

 

 

 
 

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