( 154546 )  2024/03/30 13:56:25  
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大きな産業や観光資源がなくても、地方創生は可能です。

地方創生の専門家は、日本の未来は地方創生にかかっていると語り、特徴のない地方自治体にも地方創生の可能性があると指摘しています。

外国人のアンケート結果から、「日本の田舎」への愛着や興味が見て取れ、特定のまちを指さずに広範囲な地方への関心があることが示されています。

地方自治体には新しい視点で地方創生の可能性を探ることが重要で、特徴のない地方自治体でも新しい地方創生の姿を見つけることができるとしています。

(要約)

( 154548 )  2024/03/30 13:56:25  
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大きな産業や観光資源がなくても、地方創生は可能なのでしょうか?(写真: Blue flash/PIXTA) 

 

「今の日本で最大の課題とされる『地方創生』にこそ日本の未来はかかっている」 

2022年度の「地方創生テレワークアワード(地方創生担当大臣賞)」と「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」をダブル受賞した株式会社イマクリエ代表の鈴木信吾氏はそう語る。 

 

【1位東京、2位京都、では3位は?】外国人に聞いた「日本で行きたいところはどこですか?」意外すぎる答え 

 

地方創生をビジネスの使命として全国を駆け回り、約1万人の関係者と接した鈴木氏が、その経験をフルに生かして、このたび『日本一わかりやすい地方創生の教科書 ――全く新しい45の新手法&新常識』を上梓した。 

 

各自治体からは、その地域ならではの「地に足のついた提案」で好評を博している鈴木氏から見た「地方創生『特徴がない田舎=人は来ない』は大誤解だ」について解説する。 

 

■じつは多くの自治体の職員が「戸惑っている」 

 

いまから10年前、第二次安倍晋三内閣のときに「地方創生担当大臣」が生まれ、この国の最大課題のひとつ「地方創生」への取り組みが始まりました。 

 

そこから生まれてきた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中で、地方での「仕事の創生」「地方分散型社会の創出」「人口減少対策」等が謳われています。 

 

 しかし、自治体などの現場を見て、「あること」に気づきました。 

 

 自治体の職員の多くが「戸惑っていること」です。 

 

 職員は数年おきに職場が変わりますから、「地方創生」にまったく知識がない人が担当しているケースもあります。 

 

 もちろんみなさん一生懸命地元のために働こうとしているのですが、何をどうやっていいかわからないのです。 

 

 そのなかでよくありがちな勘違いのひとつが「『大きな産業』や『観光資源』がないと地方創生ができない」と思っていることです。 

 

 「都会から遠い」「交通が不便」「特徴のある産業がない」「観光資源も何もない」――。 

 

 日本にあるのは、このような地方自治体ばかりです。「大きな産業がない」「観光資源がない」というような考えが先行してしまい、どうしても諦めモードになってしまいがちです。 

 

 しかし、本当に何ひとつ特徴のない地方自治体に「地方創生」の可能性はないのでしょうか。 

 

■日本を愛する外国人は「日本の田舎」に行きたがってる 

 

 このアンケートデータの意味がおわかりでしょうか?   

 

 

 これは、2023年に、パリ市内の日本食を出すカフェにやってくるお客さま50人を対象に行ったアンケートの結果です。 

 

 「日本で行きたいところはどこですか?」 

 

 日本食を好んで食べるくらい日本に対して興味と愛着がある人に対しての質問に、返ってきた答えは「1位東京、2位京都」。そこまでは想定内だったのですが、3位はなんと意外な答え――「田舎」でした。 

 

 3位には、いろいろなまちが乱立して、どこも似たりよったりの得票数です。総じていえば、3位は特定のまちを指すのではなくて、「日本の田舎」だったのです。 

 

 つまり、日本を愛する外国人は、東京と京都の次には、「どこでもいいから日本の田舎に行きたい」と思っているとも考えられるのです。 

 

 観光庁の調査によれば、訪日外国人旅行者のうち、日本への旅行が2度目以降の外国人が約6割存在することがわかっています。 

 

 繰り返し日本を訪れる、いわゆる 「リピーター」はコロナ収束後増加傾向にあります。 

 

■「何もない」と思っている地方自治体にこそ勝機がある 

 

 最初の訪日のときは、「ゴールデンルート」と呼ばれる「東京─箱根(富士山)─京都」は外せないけれど、2度目、3度目になったら、いわゆる観光地と呼ばれるところよりも、人里離れた田舎のほうがいい。日本の古民家に滞在して里山風景に溶け込み、田舎料理を味わいたい─―。 

 

 そんな声が圧倒的であることを、このアンケートを通してはじめて知りました。 

 

 そこに、「『何もない』と思っている地方自治体に勝機がある」と感じたのです。 

 

 日本が人気の理由は、「観光資源がある」「日本国内で有名」「すでに外国人観光客が多数来ている」といったことではありません。 

 

 むしろ、「何のとりえもないと日本人には思われている田舎」「日本人にとっては当たり前の田舎」のほうが、チャンスがあるということなのです。 

 

 言い換えれば、東京と京都以外のすべての地方にも、インバウンドを呼び込む「地方創生」のチャンスが大いにあるのです。 

 

 すべての日本の「田舎」にとって、この「新しい視点」を使わない手はありません。 

 

■特徴のない地方自治体にも「地方創生の可能性」はある 

 

 「特徴のある産業がない」「観光資源も何もない」という何ひとつ特徴のない地方自治体にも、「地方創生の可能性」は十分にあります。 

 

 いままでの概念から「新しい視点」を持って、もう一度、「地方創生」の可能性を探ってみましょう。これまでになかったような、新しい「地方創生」の姿を見つけられるかもしれません。 

 

鈴木 信吾 :『日本一わかりやすい地方創生の教科書』著者・「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」受賞 

 

 

 
 

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