( 154701 )  2024/03/30 23:14:27  
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JR東海は、リニア中央新幹線の静岡工区が未着工のため、開業時期を2027年から最短でも2034年以降に延期する見通しを明らかにした。

静岡県内の関係者は開業を早める取り組みを望んでおり、JR東海も工期の短縮が難しい状況であることを発表した。

県の森副知事はスピード感を持ちながらも課題を解決すべきだとし、島田市長や静岡市長も環境影響評価や報道陣の取材に対し、早期解決を望む意向を示した。

会議では静岡工区の工事計画や協議状況が説明され、地域社会と事業者が協力して進めることが重要であるとの意見が出された。

(要約)

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リニア中央新幹線の開業時期について言及された国のモニタリング会議(29日、東京都千代田区で) 

 

 リニア中央新幹線静岡工区が未着工になっている問題を巡り、JR東海は29日、当初予定していた品川―名古屋間の2027年開業を断念し、最短でも34年以降の開業となる見通しを明らかにした。静岡県内の関係者からは「まだクリアすべき課題がある」「沿線自治体の気持ちを考えると、なるべく早く開業できるよう努めたい」との声が交錯した。 

 

(写真:読売新聞) 

 

 「静岡工区が名古屋までの開業の遅れに直結している。残念ながら27年の名古屋までの開業は実現できる状況にはない」。29日に都内で開かれた「リニア中央新幹線静岡工区モニタリング会議」の冒頭、JR東海の丹羽俊介社長はそう述べた。同社側は、当初10年かかると見込んでいた静岡工区の工期短縮も難しいと説明した。 

 

 オブザーバー参加した県の森貴志副知事は会議後の記者会見で、「我々もスピード感を持って進めていきたいという意思はある」としながらも「クリアしなければならない問題はある」と指摘。水資源や生態系などへの影響について今後も県の専門部会で議論を続ける考えを示した。川勝知事は「JR東海との対話をできる限り速やかに進めていく」とコメントを出した。 

 

 大井川の水資源への影響を懸念してきた島田市の染谷絹代市長は同日、「現実的な判断。ボーリング調査で(地質や水への影響についての)不確実性の低減を図ってほしい」とコメント。発生土置き場の設置が予定されている静岡市の難波喬司市長は、報道陣の取材に「沿線自治体の気持ちを考えると、なるべく早く開業できるよう、(市の)環境影響評価について早期に結論を出せるよう努めたい」と話した。 

 

 リニアの開業時期を巡っては、同社が昨年12月、静岡工区の着工の見通しが立たないとして、同区間の開業時期を「27年以降」に変更すると発表。これを受け、川勝知事は他区間の部分的な先行開業が解決策になるとの持論を展開したが、同社は、追加で車両設備の改修作業などが必要となり開業時期がさらに遅れる可能性があるとして、部分開業案を否定してきた。 

 

 この日の会議では、同社が静岡工区の工事計画の概要や県との協議状況を説明した。座長の矢野弘典・元ネクスコ中日本会長は「社会インフラは事業者と地域社会が力を合わせて生み育てるもの。ぜひ小異を捨てて大同につくという精神で、協議を進めていただければありがたい」と話した。 

 

 

 
 

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