( 155878 ) 2024/04/03 14:57:35 0 00 photo by gettyimages
中国の習近平国家主席は3月27日、訪中している米経済界の関係者と北京の人民大会堂で会談し、中国に積極的に投資するよう呼びかけた。
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中国への海外からの直接投資は昨年、前年比82%減の300億ドルとなり、1993年以降で最も低い水準となった。ピークだった2021年(3441億ドル)と比べると10分の1にも満たない。今年1~2月も前年に比べて20%減少している。
中国経済に対するセンチメントの悪化を払拭するため、習氏はこう強調した。
「中国経済は健全で持続可能だ。発展の前途は明るく、我々には自信がある」
彼の根拠は「新たな質の生産力」構想なのだという。
EVは、中国経済を救わないのではないか…Photo/gettyimage
習氏は昨年9月以来、この用語を多用するようになっているが、新たな質の生産力とは、イノベーションが経済発展の主導的役割を果たすという新たな発展理念のことだ。
今話題の電気自動車(EV)を始めとする新エネルギー車や生成AIなどの分野で世界トップを目指す中国は、これまで以上に魅力的な投資先になるというわけだ。
海外でも習氏の構想を評価する向きが出てきている。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は26日「中国のハイテク部門は2026年までに不動産に匹敵する成長エンジンになる可能性がある」との見解を明らかにした。
BEによれば、昨年の中国のGDPに占める不動産の貢献度は20%、ハイテク関連は14%だったが、2026年にはハイテク関連の貢献度は19%に達するという。
経済学には、生産された商品やサービスが新たな需要を生み出すとする「セイの法則」が伝統的に信奉されている。代表例として挙げられるのは、戦後日本の経済成長を牽引した「3種の神器(白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫)」の需要拡大だ。
習氏は伝統的な経済思想に則って、不況対策を講じようとしており、それがゆえに「自信」を持っているようだ。
しかし、高度成長期はモノ不足が顕著な時代に、旺盛な需要を背景に経済を押し上げてきたともいえる。需要が供給を求めたのか、供給が需要を生み出したのか、こんな「卵が先か、鶏が先か」の議論に決着はついていない。
はたして、習氏の経済政策はうまくいくのだろうか。筆者はそうは考えていない。
なぜなら、この伝統的な経済思想は、日本が長期停滞に陥った一つの要因ともいえるものだからだ。
後編「中国・EV大躍進のウラで「50万人の雇用」が無くなっていた…! 習近平が信頼する「伝統的経済学」が、若者の失業と低賃金をまねく「3つの根拠」」では、中国では虎の子技術のEVが売れないどころか、ガソリン車まで売れなくなっているその要因について、詳しく解説していこう。
藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)
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