( 157656 )  2024/04/09 00:09:02  
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大学生の就活は売り手市場が続いており、求人倍率や内定率が高い状況が続いている。

一方で、採用担当者は学生の無断キャンセルや内定辞退、不採用理由の問い合わせなど様々な悩みを抱えている。

学生のコミュニケーション能力の誤った認識や対応の問題もあり、採用担当者側も苦労している様子が明かされている。

(要約)

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採用担当者がこっそり明かす“いまどきの就活のリアル”(イメージ) 

 

 大学生の就活は売り手市場が続いている。リクルートワークス研究所の「ワークス大卒求人倍率調査(2024年卒)調査」によると、2024年卒の大学生・大学院生対象の求人倍率は1.71倍。2023年卒の1.58倍より0.13ポイント上昇した。また、就職みらい研究所の「就職プロセス調査(2024卒)」によると、3月卒業時点での就職内定率は96.8%で前年と同水準だった。一人の学生が複数の内定を取得しているケースも少なくない。2024年は2社以上の内定取得者は63.9%、2023年卒では65.7%だったという。 

 

 一部学生にとっては企業を選べる状況にもあるわけだが、一方で企業の採用担当者の悩みは尽きないようだ。「理不尽なことも多い」とぼやく採用担当者たちに、話を聞いた。 

 

 不動産会社勤務で採用担当部署に勤務する30代女性・Aさんは、面接の無断キャンセルが増えていると嘆く。 

 

「対面でもオンラインでも面接の無断キャンセルだけはやめてほしいのに、最近は本当に増えましたね。相手を簡単にブロックして、逃げられる時代だからでしょうか。他の企業の面接をかぶってそちらを優先することもあるのかもしれませんが、こちらは来るか来ないかわからない状態で待たされるのが一番つらいん。“相手が待っている”ことは考えないんでしょうか……。 

 

 こちらから学生に電話しても、出ないことも多い。先日は、10時に面接の約束で10時を過ぎても来ないので電話をかけたところ、学生から『今起きたので、面接、オンラインならできますよね?』と呑気に言われました(笑)。自己都合なんですよね、基本」 

 

「電車遅延」で面接に遅刻してきた学生の態度にも気になる点があったという。 

 

「突然の電車遅延は仕方がないことです。ただ、連絡なしで面接に遅れてやってきて、『電車遅延です』とだけ言い、遅延証明書を無言で出されました。今はスマホがあるんだから、遅延が発生した時点でまず連絡できるんじゃないかと思うんですけどね……」(Aさん) 

 

 

 メーカー勤務の40代男性・Bさんは、内定辞退する旨を伝えてこない学生に悩まされている。 

 

「内定辞退の連絡をせずにそのまま放置する学生がいます。内定辞退してもいいから、連絡だけはしてほしい。入社する意思を示していたのに内定者の集まりに来ない学生がいたので、確認をしようと思い連絡したら、しばらくして親から内定辞退の連絡が来たこともありました。 

 

 突然入社日に無断欠席されて衝撃の展開になったパターンもあります。家に電話をかけたら、親から、『え!? 息子は○○会社に出社していますよ』と言われたことがありました。内定について学生だけでなく、親にも連絡を入れる必要性を感じました」 

 

 また、「不採用」となった学生にも頭を抱える。 

 

「不採用理由について聞いてくる学生がいました。気持ちはわからなくもありませんが、採用できる人数には限りがあるわけで、たとえその学生が優秀でも、もっと優秀な学生がいたらそちらを優先する。“総合的に判断して”ということでしかないのが本音です。 

 

 理由を開示できない旨を伝えると、『やっぱり学歴フィルターかよ』『貴社の商品は買いません』というように、決めつけや暴言の言葉が飛んでくることもよくあります。最近の学生は、距離が近くない相手には、感情をストレートにぶつけてくるタイプが多いように思います」(Bさん) 

 

 IT企業勤務の30代男性・Cさんは、「学生だから仕方がない部分もある」と前置きしつつも、「強み=コミュニケーション能力」と思い込む学生の多さに疲れていると明かす。 

 

「確かにコミュニケーション能力はすべての仕事の土台で大切なことですが、その内容をうまく説明できないとアピールになりません。それでも、SNS上でもリアルでも『友達』が多く、フットワークが軽いことを、コミュニケーション能力が高いととらえて、強みや長所としてとらえる学生が多い気がします」 

 

 Cさんは、学生側と社会人側で「コミュニケーション能力」の認識にズレがあるという。 

 

「学生側としては、同世代とノリが良く、仲良くなれる。上手にスラスラと話せることだと思っているのかもしれません。でも社会人としてのコミュニケーション能力を分解すると、苦手な相手ともしっかり向き合える対話力、相手の話を聞くことができる傾聴力、自分の考えを正確に伝える、聞かれたことに対して的確に答える力など、細かい部分での能力が求められます。 

 

 自分の長所は『コミュニケーション能力です』という学生がいて、結果的に不採用にすると、SNSで当社の悪口をばらまかれていたということがありました。そういう場で発揮するのは、コミュニケーション能力とは言わないよ、と思いました」(Cさん) 

 

 もちろん、今までも学生への対応で悩まされるケースはあっただろうが、昨今の売り手市場になってから、採用担当者の悩みはますます大きくなっているのかもしれない。(了) 

 

 

 
 

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