( 158924 ) 2024/04/12 13:35:35 0 00 暇空茜氏のX
「Colabo」の会計不正疑惑を追及しながら、意見の対立する相手とはSNSを飛び越え法廷でもバトル。裁判闘争の支援で集まったカンパは約1億5000万円、現在抱える訴訟は約30件――。この1年半あまり、インターネットで暴れ回ってきた「暇空茜」(本名・水原清晃)氏には賛同の輪が広がる一方で、「女性いじめ」「陰謀論者」「炎上ビジネス」などの批判も根強い。世間の批判についてどう考えているか本人に聞いてみた。(前後編の前編)
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〈まず聞いたのは、3月26日に暇空氏に軍配が上がった国家賠償請求訴訟について。暇空氏が東京都に対して、情報開示請求の公文書不開示決定の取り消しと精神的苦痛を受けた慰謝料などとして33万円の損害賠償を求めた訴訟だ。
「Colabo」の会計不正問題を追及していた暇空氏は昨年5月、東京都若年被害女性等支援事業の補助金の交付を受けるため、交付申請書を提出した団体の応募書類を開示するよう都に情報開示請求を行った。都は7月に、「選ばれない団体が批判を受ける恐れがある」などとして不開示決定を通知したが、6月の段階ですでに審査を通過して補助金交付決定を受けた団体名を公表していた。
裁判で暇空氏は、「不開示決定がされた処分時には団体名が公表されていたのだから、都の判断はおかしい」などと主張。東京地裁は暇空氏の訴えを認め、都に対し、不開示決定の取り消しと1万1000円の支払いを命じた。〉
――今回の勝訴についてどう捉えていますか?
東京都に対しては8つの住民訴訟と3つの処分取消訴訟を起こしています。今回が初めての判決、初めての勝訴となりました。ちなみに他の訴訟は都側が牛歩戦術みたいな遅延行為をやっているので、そんなに進んでいません。
そんななか一連の訴訟をお任せしている弁護団の先生から「この不開示決定は違法性があるので勝てる可能性が高い。国賠で訴えてみませんか」と提案を受けたので、「じゃあお願いします」と始まったのが今回の訴訟です。それからはほぼ丸投げだった。僕自身の力で勝ち抜いたわけではないので、実はそこまでの達成感がないんです。
とはいえ、まず1勝できたことは素直に喜びたいです。この勝利は支援者からのカンパなくしてなしえなかった。呼びかけてから1年半で1億5000万円を超えましたが、この潤沢な資金のおかげで優秀な先生たちを雇えたのです。自腹でやっていたならば2つ3つしか訴訟を起こせなかった。
――11件も訴訟を起こす必要はあったのでしょうか。
絶対にありました。僕がWBPCと呼んでいる4団体(一般社団法人「若草プロジェクト」、NPO法人「BONDプロジェクト」、NPO法人「ぱっぷす」、一般社団法人「Colabo」)がやっていた東京都若年被害女性等支援事業の2021年と22年分の会計については明らかにおかしかったですから。それ以前もおかしいんですが、住民訴訟の締め切りの関係で2年分に絞らざるをえなかった。
徹底的に調べてわかりましたが、東京都の若年被害女性等支援事業とDV交付金、国がやっている困難女性支援法に基づく事業は、他の一般的な公共事業と比べて、明らかに予算の使い方や民間団体への委ね方がおかしいんです。これを白日の下に晒すためにはこの件数が必要でした。ですから、やりすぎとは思っていません。
〈一方で、暇空氏は東京都以外にも“戦線”を広げている。Colabo代表の仁藤夢乃氏や弁護団の弁護士、東京新聞の望月衣塑子記者、Xで激しい応酬を繰り広げている自称大学生などに訴訟等を起こし、逆に訴えられたりもしている。〉
民事訴訟や法的対応は全部で30件くらい並行してやっています。すべての始まりは俗にリーガルハラスメント会見と呼ばれる、Colaboが僕を提訴したことを公表するのに議員会館を謎に使った2022年11月29日の会見からでした。
あれを受けて僕はカンパを呼びかけ始めました。その時なぜ“訴えるだけでなく訴えられた時の弁護費用にも使わせていただきます”と予め断ったかというと、これからマスコミ、権力側の人たち、共産党と繋がりの深い弁護団が束になって攻撃してくるだろうと感じたからです。
普通の人が申し込んでも絶対に使わせてもらえないような国会の施設を使って個人攻撃してくるわけですから、これから僕を黙らせるためにもっとすごい攻撃がくるだろうと。それを見据えて、僕の力だけでは無理だとカンパをお願いした。
ただ、こんなに集まるとは思っていませんでした。大勢の人たちが見返りもないのに僕に託してくれた浄財です。それに応えて全部やるのが僕の義務、責任だと思っている。
――暇空さんの活動は大勢の“信者”と呼ばれる支援者に支えられています。信者に対して過激な見せ物をしているとの批判もあります。
まず信者という言葉が使われている点について、僕の認識をはっきり言わせてください。
僕は、僕のことを無条件で信じてコメントする人たちをことごとくブロックしています。僕が普段からネット上で言っているのは、“非合法なことはやらない”“盲目的に僕を神輿に活動する人に賛同しません”。僕は集会に突撃したり暴力的な行動を起こす人も否定しています。
確かに対立する弁護士からはよく「ショービジネスにして収益にしている」と批判されます。名誉毀損をしても賠償金以上の収益を得ているから悪質だと。Colabo側からよく聞こえてくる批判です。
僕は、経過を全て公表することで真のジャーナリズムを体現しているだけです。都合の悪いことも、負けた判決も全て出しています。確かに、見せ物的、エンターテインメントになっている側面は否定できません。人々が今まで見たことがない情報に触れるわけですから、それはエンターテインメントですよね。
裁判というのは、ナイーブでセンシティブな話が多いものです。表では何もしていないような顔をしながら裏でコソコソ動いて、最後に自分に都合がいい判決が出た時だけ表に出て騒ぐというスタイルだって取ることはできる。
でも今回の勝訴を大手マスディアが一切スルーしたことから見て取れるように、結論だけでイメージ操作ができてしまう。都合のいい判決は出すし、良くないものは出さない。僕はこれこそが左翼の手法だと思う。
明確な例で言うと、僕が国賠で勝った2日後くらいに奈良県在住の高校生が「自衛隊に名簿を提供するのは憲法違反」と国賠訴訟を起こした話はすぐにニュースになっていたでしょう。
同じ国賠でも、大人の入れ知恵があったかのように見える高校生の提訴が大きなニュースになって、どう考えてもニュースバリューが高い勝った僕の方はニュースにならない。このようにメディアを動かせる力の偏在、左翼系の人間だけがメディアを都合良く動かせていた状況に対して、そのアンチテーゼとして経過を全て公表しているのです。
逆に僕が今年2月、Colabo側から名誉毀損で刑事告訴された件で書類送検された時はメディアは一斉に報じてきたんですよ。警察が刑事告訴を受けたら必ず書類送検しなければならないことは法律で定められていることです。ただの事務処理的な刑事処分に過ぎなかったのに、メディアはこぞってさも大事件のように報じました。
――他にもメディアの伝え方に違和感を持ったことはありますか。
2月16日のアニメイトの脅迫です。国賠よりも怪しい話だと思う。
〈今年2月に暇空氏の初著「ネトゲ戦記」(KADOKAWA)が発売される直前、予約受付をしていた書店「アニメイト」が何者かの脅迫を理由に販売中止を発表した件である。SNSでは騒ぎになったが、ほとんどのメディアは報道しなかった。〉
実際に店舗に「京都アニメーション事件と同じ事件を起こす」と脅迫があって本の販売が取りやめられたんですよ。表現の自由への挑戦でありこんなにニュースバリューが高い話はないでしょう。けれど、ニュースにしたのはオリコンくらいで大手メディアはガン無視でした。
――なぜ報道されなかったと思いますか?
陰謀論に半分入ってしまうかもしれませんが、何らかの力が働いてストップが入ったのでしょう。経緯を説明しますと、まず2月15日の深夜に出版社から連絡が来た。何者かがアニメイトに僕の本を「明日販売を停止すると発表しないと、京都アニメーションと同じ事件を起こしてやる」と脅迫がきたと。結局、夜中にてんやわんやで対応して、翌朝、「販売を停止するという決定を午後3時に公表する。ただし理由は公表できない」と聞かされた。
その後、午後2時半ころ僕の独断で「脅迫が理由です」とXでツイートした。書類送検の報道が出たのはその直後の夕方です。
僕はなぜアニメイトに脅迫した犯人が発売日である21日の直前ではなく、5日も前である16日を指定して「販売中止を発表しろ」と要求してきたのかがひっかかったんですよ。
普通、発売日の前日が一番ダメージがあると考えるじゃないですか。違和感を感じませんか? まさにその最中の16日に僕の書類送検のニュースが一斉に報じられたのです。一般の人もこの時系列に疑問を持ったんだと思います。
後編【「暇空茜」インタビュー ”陰謀論者”という批判への反論「僕は石川五右衛門みたいなもん」「インターネットの華はレスバと炎上です」】に続く
デイリー新潮編集部
新潮社
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