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自民党の三原じゅん子参院議員が愛車のランクル200を盗まれた事件をきっかけに、最新最恐の盗難ツール「ゲームボーイ」が登場している。

この機械は、特定の車種に対応しており、ドアのロックを簡単に解除し、エンジンをかけることができるため、従来の盗難手口よりも危険性が高くなっている。

2023年にはCANインベーダーまたはリレーアタックで700台のアルファード、643台のランクル、261台のレクサスが盗まれたが、2024年に登場したゲームボーイはその3機種を対象としている。

価格も高額で、スペアキー情報をメモリに保存できるなど、極めて危険な性能を持っている。

窃盗団が日本でその使用を広げる可能性もあるため、クルマのオーナーは警戒が必要だ。

(要約)

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ベストカーWeb 

 

 つい最近、自民党の三原じゅん子参院議員が愛車のランクル200を盗まれたが、盗難機の世界で最新最恐のツールが生み出されている。それがゲームボーイだ。詳細を自動車生活ジャーナリストの加藤久美子が詳細をレポートする! 

 

【画像ギャラリー】史上最恐の盗難ツール「ゲームボーイ」は「リレーアタック」や「CANインベーダー」よりヤバい!!!(7枚) 

 

 文/加藤久美子、写真/ベストカー編集部、加藤久美子、AdobeStock(トビラ写真:naka@AdobeStock) 

 

 近年、自動車盗難の最も多い手口は「CANインベーダー」である。かつては、「リレーアタック」が主流であったが、リレーアタックはクルマのスマートキーから発生する電波を遮断すれば防げるため、鍵を金属製の箱に入れるなどして比較的簡単に対策ができることからだいぶ減っている。 

 

 自動車メーカー側でもスマートキーの電波を弱くするなど電波を増幅させにくくする手段をとっている。 

 

 リレーアタックが減ってきた一方、4~5年前から増えているのがCANインベーダーという手口である。特殊な機器をエンジンルーム内のCAN(クルマに搭載されているECUやそのかのデバイスの中枢部分)に接続すれば、ドア解錠からエンジン始動までものの数分で行える。 

 

 CANインベーダーでランクルやレクサスなどが盗まれていく防犯カメラの映像をテレビのニュース番組などでご覧になったことがある方もいるだろう。 

 

 左前のバンパー付近を持ち上げて腕を突っ込んでゴソゴソやっているのはほぼ間違いなくCANインベーダーによるものだと思っていて間違いない。 

 

 ただし、今大量に盗まれているランクル200やレクサスGSなど少し古めの車種においては車室内からしかCANに接続できないタイプもある。その場合は、一度ドアを解錠してから室内から接続してエンジン始動となるので施錠してあるクルマの場合は少し時間がかかる。 

 

 2023年はアルファードが700台、ランクルが643台、レクサスがLX261台も盗まれているのだが、そのほとんどがCANインベーダーまたはリレーアタックで盗まれていると考えられる。 

 

 

 さて、このようななか、2024年に入ってから史上最恐といわれる機械が登場している。その名も「GAME BOY」(ゲームボーイ)!!形状も携帯ゲーム機に寄せてきており、対応車種別に3種類もある。 

 

 2024年4月に入って発売となった最上級グレードの「GAME BOY TECK」なる商品は、なんとお値段3万ユーロ=約480万円。CANインベーダー用のデバイスが60万~100万円であるから、ゲームボーイがいかに高額であるかわかる。CANインベーダーのようにバンパーをずらしてCANに接続……といった手間もない。 

 

 ドアロックはドアハンドル部分に近づけてものの十数秒で鍵が開く。その後、クルマに乗り込んでエンジンスタートのためのプッシュボタンに近づけると、同じくあっさりエンジンがかかる。この機械さえあれば、特に解錠のテクニックやCANにつなぐための特殊な知識も不要となるだろう。 

 

 クルマにまったく触れることなく、もちろんクルマのボディを傷つけることなく簡単に盗み出せてしまうのだ。 

 

 なぜそんなことが可能なのか?リレーアタックではスマートキーから発せられる微弱な電波を増幅させてドアを解錠してエンジン始動が可能だが、ゲームボーイはその逆でクルマ側のスマートエントリーシステムから発せられる信号を利用してドア解錠、エンジン始動が可能となりクルマを盗んでいくことができる。 

 

 販売サイトには「悪用は厳禁!」と書いてある。そもそもは、鍵をなくしてドアが開けられなくなった場合にその場でスペアキーを作ることが目的なのである。 

 

 そして、「最恐」と呼ばれるのにはまだ理由がある。実はこの製品、別の名前がある。「キーエミュレーター」(KEY Emulator)=スペアキー作製機である。機械そのものに、20台前後のスペアキー情報がメモリとして保存できる。 

 

 CANインベーダーやリレーアタックではスペアキー作製機能はついていないが、ゲームボーイは近づけるだけで解錠とエンジン始動ができるだけではなく鍵としても使うことができる。それゆえに、CANインベーダーの機械とは「ケタ違い」に高額なのである。 

 

 ではゲームボーイ、ゲームボーイ2、ゲームボーイテック。この3機種はどのような車種が対象となるのだろうか? 

 

 ■GAME BOY=1万ユーロ(約160万円) 

 

 2006~2017年のトヨタ/レクサス車対象。最もGAME BOYに似た外観を持つタイプ。古い機種が対象となるので比較的安価だ。古い機種はスマートキー作製の仕組みがシンプルで解析がしやすいということだろう。 

 

 ■GAME BOY2=1万5000ユーロ(約240万円) 

 

 2015~2022年モデルのトヨタ/レクサス車対象。 

 

 ■GAME BOY TEK=2万3000~3万ユーロ(約368万~480万円) 

 

 2015~2024年モデルのトヨタ/レクサス。欧州、米国、日本市場で販売される2024年モデルまでの最新トヨタ&レクサス車が対象。例を挙げていこう。 

 

 ■対象トヨタ車 

 

 プリウス/プリウスプライム(2023年~) 

 

 クラウン 

 

 MIRAI 

 

 ハリアー 

 

 ヴェンザ 

 

 RAV4プラグインハイブリッド 

 

 RAV4 プライムハイブリッド 

 

 bZ4X 

 

 シエナ 

 

 アルファード/ヴェルファイア 

 

 タコマ 

 

 ランドクルーザー300など 

 

 ■対象レクサス車 

 

 NX 

 

 NX 450h+ハイブリッド 

 

 RZ450e 

 

 RX 

 

 RX450h+ハイブリッド 

 

 

 これまでの盗難状況を見ると、日本ではまだゲームボーイによる盗難はあまりなさそうではある。何しろ価格がすさまじく高額なので、導入する窃盗団も少ないと思われどうだろうか。 

 

 日本は自動車窃盗の罪が軽すぎるため、外国人窃盗団の間では日本は「盗難車天国」というまったく不名誉な噂が蔓延しつつあるそうだ。オーナー側の防犯意識が薄い、警察は本気で捜査しない、逮捕されたところで外国人は不起訴になる例が多い、起訴されて実刑判決を受けても罪が軽い……。 

 

 そして盗んだクルマは高額で換金できる。メーカー側の対策も今ひとつ。CANインベーダーやGAME BOYのように電子デバイスを使った盗難はこれからも増えていくだろう。 

 

 狙われやすいクルマのオーナーの皆様、くれぐれもお気をつけください。 

 

 

 
 

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