( 159637 )  2024/04/14 14:00:33  
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新型コロナウイルスの影響で、コロナ禍が収束しても鉄道利用者が増え、都心の駅周辺や電車内は混雑している。

特にJR東日本の山手線や中央線、東京メトロの銀座線や丸ノ内線は混雑がひどく、ほとんどの場合に混雑率が100%を超えている。

また、鉄道車両の乗客数は総重量から計測されるため、体重の重い乗客がいると混雑率が高くなる。

各路線での混雑に対し、鉄道会社はコロナ禍以降に列車本数を減らしているが、混雑率100%が続いており、将来のダイヤ改正で新たな対応を考える必要がある。

(要約)

( 159639 )  2024/04/14 14:00:33  
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銀座線(画像:写真AC) 

 

 新型コロナウイルスの感染実態はともかく、コロナ禍は収束し、多くの人が鉄道を利用するようになった。都心に出れば、いつでも多くの人が駅周辺を歩いているし、電車内はさらに混雑している。 

 

【画像】「えっ…!」これがJR東日本の「年収」です(計9枚) 

 

 もちろん、これは平日の朝のラッシュ時ではない。平日の昼間や休日など、普段は混雑しない時間帯に乗車する人が多いのだ。また、かつては盛んに呼びかけられていた窓の開放も、最近は行われなくなっている。 

 

 特に混雑がひどいのは、 

 

●JR東日本 

・山手線 

・中央線 

 

●東京メトロ 

・銀座線 

・丸ノ内線 

 

である。都心になればなるほど混雑する。これらのエリアでは、ほとんどのケースで 

 

「混雑率100%」 

 

を超えているのは間違いない。 

 

丸ノ内線(画像:写真AC) 

 

 大都市圏の混雑率は着席者だけでなく、つり革につかまっている人も含めて計測される。「混雑率100%」とは、定員乗車を意味する。つまり、乗客が 

 

・座席に座れるか 

・つり革につかまれるか 

・ドア付近の柱につかまれるか 

 

という状態である。だとすれば、立っている乗客も含めてそれなりの数の乗客がいれば、その列車は「混雑率100%」ということになる。 

 

 ちなみに、現在の鉄道車両の多くは、車内の乗客の総重量から乗客数を計測できるようになっている。日本人の平均体重は約55kgなので、ひとりあたり55kgとして計算する。したがって、体重の重い人が乗れば、その分、乗客数は多くなる。 

 

 この観点からすると、東京都心の電車や一部の郊外向け電車では、この程度の混雑はよくある。朝のラッシュ時なら仕方ないが、それ以外の時間帯でもこれほど混雑しているとは信じがたい。特にひどい事態をいくつか見てみよう。 

 

山手線(画像:写真AC) 

 

 山手線と中央線は、よほど深夜や早朝でない限り、どの時間帯に乗っても空いていることがない。山手線が特に混雑するのは、特に池袋~新宿~渋谷間の間だ。 

 

 また、品川では多くの人が乗り降りし、ホームを行き交う人の流れも激しく、常態化している。品川駅のホームが改良される前は本当にひどかった。それでも山手線は平日の昼間は 

 

「5分間隔」 

 

で運行を続けている。週末は4分間隔になることが多い。 

 

 中央線は、都心の東京~新宿間だけでなく、新宿から立川方面へも多くの人でごった返すことが多い。このあたりの混雑率は常に100%を超えていると考えていいだろう。乗る電車によっては「混雑率150%」(肩が触れ合う程度で、新聞は楽に読める)になっていることもある。 

 

 大きな荷物などを持っている人が多いので、混雑しているという印象を持たれることが多い。他の路線でも、特に都心部ではよく見られる光景だろう。 

 

 

中央線(画像:写真AC) 

 

 東京メトロ銀座線は大混雑で有名だ。コロナ禍以前は、平日の昼間でも 

 

「3分間隔」 

 

で運行され、車体の小ささと6両編成の短さを補っていた。都心の繁華街を発着する路線であるため、混雑は避けられなかった。どの時間帯に乗車しても「混雑率100%」を達成していた。 

 

 しかし、コロナ禍後、鉄道利用者が激減したため、銀座線は3分間隔、4分間隔、5分間隔と本数を減らし続けた。しかし、混雑が目立ってしまった。そこで東京メトロはダイヤを4分間隔に変更した。激しい混雑のため、東京メトロは対応を迫られた。人を戻すには電車の本数を増やすしかなかった。 

 

 同じような条件の丸ノ内線も同様だった。丸ノ内線は銀座線より少し大きいとはいえ、車両は6両しかない。ここでも新宿~東京あたりの混雑は激しかった。特に赤坂見附の人の動きはすごかった。慢性的な「混雑率100%」がここでも見られる。 

 

 もちろん、このような状況は東京メトロの他の路線でもよく見られる。東急電鉄なども混雑がひどいことが多い。 

 

銀座線(画像:写真AC) 

 

 鉄道各社は、コロナ禍以来、列車の本数を以前の7~8割に減らしている。この状態がずっと続いている。それが「混雑率100%」の原因だ。 

 

 鉄道会社、特にJR東日本は、コロナ禍で減った乗客は元には戻らないと考えている。これが多くの鉄道会社の認識である。それが現在の列車ダイヤにも反映されている。 

 

 一方、JR東海、特に東海道新幹線は、コロナ禍収束後の乗客の回復を見越して「のぞみ12本ダイヤ」を洗練させている。もちろん在来線も使いやすくなっている。 

 

「首都圏の通勤電車と東海道新幹線では条件が違うのではないか」 

 

と考える人も多いだろう。しかし、ほとんどの鉄道会社はコロナ禍が終わった後に何をすべきかを考えることができなかった。JR東海の見通しは正しかったといえる。これほど多くの人が戻ってくるとは思っていなかっただろう。 

 

 JR東日本などは、列車が減った数よりも乗客が減った数の方が少なかった。それゆえ、山手線や中央線では「混雑率100%」が常態化している。各鉄道会社はラッシュ時の混雑率を測定し、毎年発表している。しかし、実際には列車の種類によって混雑状況は異なり、数値以上に混雑していると感じられるケースも少なくない。 

 

 当然、混雑率は低ければ低いほどいい。しかし、朝のラッシュ時はどうしようもない。しかし、朝のラッシュ時以外の「混雑率100%」は問題ないのだろうか。「混雑率100%」を常態化することで 

 

「経営効率を上げようとしている」 

 

のではないか。利益のために 

 

「一定の混雑率を容認している」 

 

のではないか。 

 

 それは都市の公共交通のあるべき姿ではない。率直にいって、朝のラッシュ時以外は「混雑率100%」は解消したほうがいい。特にJR東日本や東京メトロは利用者が多く、増発の余地があるのだから、次回のダイヤ改正で検討すべきだ。 

 

小林拓矢(フリーライター) 

 

 

 
 

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