( 162391 )  2024/04/22 17:19:01  
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新型スイフトはMTモデルが用意され、珍しい組み合わせとして注目されている。

スズキは、MTしか運転できない人向けにこのモデルを設定したと説明している。

スイフトは2023年にフルモデルチェンジを果たし、主力グレードはマイルドハイブリッド仕様としている。

5速MTを持つこのモデルはエコカー減税100%のグレードであり、MTを求めるユーザーのニーズに応えたものとされている。

MTを設定する理由として、燃費性能がよく、特定のユーザー層のニーズに合致するためだと述想されている。

(要約)

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新型になったスイフトにはMTモデルが用意されており、ハイブリット+MTという珍しい組み合わせな点と、カタログ燃費も1番いいモデルとして注目されている。ちなみに、こんなモデルをわざわざ設定しているのには、「MTしか運転できない人」へ向けた配慮だという。 

 

 スズキの登録車ラインアップにおける基幹モデルといえるのが「スイフト」だ。クルマ好きからすると、そのスポーティバージョンである「スイフトスポーツ」のハイ“コスト”パフォーマンスに注目しがちだが、基本となるスイフトの素性が良いからこそのスイフトスポーツであり、スイフトの走りはベーシックカーとして評価が高い。 

 

【写真】新型スイフトのインパネは超オシャレ! 

 

 そんなスイフトは2023年12月にフルモデルチェンジを果たしている。好評なハンドリングの源泉であるプラットフォームは踏襲しながら、サスペンションはタイヤ以外を新設計。さらに、新開発の1.2リッター3気筒エンジンを搭載、主力グレードはマイルドハイブリッド仕様としている。そして、2020年代にパワートレインを一新したスイフトながら、マイルドハイブリッドと5速MTが初設定されたことにも驚かされる(FF車のみ)。 

 

 なぜ、スポーツではない素のスイフトにMT(マニュアルトランスミッション)を用意するのだろうか。カタログ的な要素でいえば、CVT(無段変速トランスミッション)に対して5速MTは燃費性能に優れるため、現行スイフトにおいて唯一のエコカー減税100%のグレードになっている(スイフトCVT車の多くはエコカー減税50%)。このことは、MTを設定する理由のひとつになると思える。 

 

 しかし、あえて乱暴ないい方をすれば「たいして販売が期待できないMTをエコカー減税でアピールするために用意することは経済合理性がない」ように思える。いくらエコカー減税100%とアピールしたところで、実際にCVT車を購入しようとしたユーザーは、100%減税はMT車だけであることはわかってしまう。 

 

 そもそもWLTCモード燃費で比べても、MT車は25.4km/hでCVT車は24.5km/Lとさほど変わらないのだ。 

 

 スイフトにMTが設定されているメインの理由は、「MTを求めるユーザーが存在する」からにほかならない。じつはスズキのラインアップを見ていると、軽自動車のワゴンRにもエントリーグレードのみMT車が用意されていたりする。 

 

 これは、いずれも同じユーザーニーズに応えるためのグレードといえる。メインターゲットは「ATは不慣れで乗りたくないというまま歳を重ねてきたベテランドライバー」だ。けっして多数派ではないが、「ATだと暴走しそうで怖い」というユーザーは一定数存在している。 

 

 そうしたドライバーからはMT車へのニーズがあり、そのためにスズキとしては軽乗用車ではワゴンR、登録車ではスイフトにMTを設定している部分もあるのだという。 

 

 そんなMT至上主義のドライバーというのは、主に高齢者層に多い。自ずとクルマにハイパフォーマンスを求めるわけではないため、スイフトのような実用車にMTを設定する意味は大きい。 

 

 同様のニーズから、過去には日産がマーチやノートに設定したスポーティグレード「NISMO S」が、なぜか高齢ドライバーに売れていたという話もある。熱心な日産派のオールドファンからは、「これしか選択肢がない」といわしめたという都市伝説も存在しているほどだ。なぜならNISMO Sは1.6リッターエンジンと5速MTを組み合わせたパワートレインを積んでいたからだ。 

 

 たしかに日本の自動車市場においては、クラッチペダルのないAT車が圧倒的なシェアを持っている。しかし、ごく一部ATに不慣れなドライバーが存在しているのであれば、そうしたニーズに応えるのが多様性の時代にふさわしい商品企画であり、まさに、スズキはユーザーファーストの商品企画を進めているメーカーであるといえよう。 

 

山本晋也 

 

 

 
 

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