( 165496 )  2024/04/30 17:47:07  
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札幌ドームに対する批判や誤解を解くために、施設改修や要望への対応、日ハムとの関係、指定管理者制度について解説されています。

札幌ドームは多目的施設であり、日ハムの要望にすべて応えることが難しい状況であることが述べられています。

また、新球場建設構想が発表された背景や札幌市での実現難しさも触れられています。

札幌ドームについての誤解や批判が残る中、今後の展開が注目されています。

(要約)

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写真提供: 現代ビジネス 

 

 『日ハムの「値下げ要求」を突っぱねて「値上げ」した…? 加熱する“札幌ドーム叩き”の「勘違い」と「嘘」を暴く! 』より続く… 

 

【写真で比較】こんなに違う!?「札幌ドーム」と新球場「エスコンフィールド」 

 

札幌ドームの施設改修一覧(2023年決算情報より) 

 

 ネットを中心に加熱し続けている「札幌ドーム叩き」だが、そのなかには、根拠なき批判や嘘が散見される。札幌市議・成田ゆうき氏の解説とともに、誤解を解いていこう。 

 

 「球団側の要望に、札幌ドームは応えてこなかった。だから日ハムに逃げられた」という批判も多い。だが、札幌ドームは日ハムの要望を無視していたわけではない。 

 

 例えば2016年、球団側から芝生の質改善の要望が出された。これを受けて、費用をすべて札幌ドーム側が担う形で2018年に芝生は更新されている。 

 

 その他にもトレーニングルームの整備、メインスタンドの改良など、要望に合わせて施設改修が行われていた。札幌ドームの2023年3月期決算報告書概要によれば、日ハムをはじめとした主催者たちからの要望に応え、2023年3月期までで札幌ドーム負担で累計61億円分の施設改修を行っている。もちろん、札幌ドームがすべての要望に応えられたわけではないが、そこには札幌ドームの施設としての限界もあった。 

 

 「勘違いしている人もいますが、そもそも札幌ドームは野球のために作られた施設ではありません。2002年、日韓ワールドカップの開催地の一つとして札幌が選ばれた。当時大きな競技場がなかったことから、札幌ドームの建設が計画されたのです。 

 

 しかしサッカーだけでは運営費を賄いきれず、赤字になってしまう。そこで当初から野球やコンサートなど多目的利用が検討されていました。2002年、2003年の段階では黒字で、多目的施設としてある程度採算が取れてもいたのですが、そこに日ハムが来てくれた。 

 

 札幌ドームは設立当時から現在まで、日ハムの試合以外にもコンサートやコンサドーレ札幌の試合、さらには就職関連のイベント会場や介護福祉士といった国家資格の試験会場などとしても活用されています。多目的での利用があることから、札幌ドーム側としても日ハムの要望に全て応えることは難しかったと思います。常設のプロ野球球団を呼ぶために札幌ドームが作られたのであれば、批判も理解できるのですが……」(成田氏) 

 

 日ハム側が「指定管理者」となることを要望したものの、認められなかった点も批判の対象となっている。元となる「指定管理者制度」は、2003年の地方自治法の改正に伴い開始された制度だ。体育施設や教育文化施設など公の施設の運営を、自治体が指定した民間事業者に任せるという仕組みである。 

 

 球団にとっての大きなメリットが、指定管理者に指定されれば球場内での物販飲食などの利益が球団に入ること。実際、ZOZOマリンスタジアム、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島、楽天モバイルパーク宮城では、球団が指定管理者となっている。 

 

 なぜ札幌市では日ハムが指定管理者になれなかったのか、と批判する人もいるが……。札幌市には「事情」があった。 

 

 「札幌ドームは、市街化調整区域内に建っているのです。市街化調整区域とは、住宅や商業施設などを建設することが原則認められないエリアのことを指します。そのため、札幌ドームの横にホテルや商店など営利目的の施設を建てることはできません。仮に札幌ドームを解体し、新しいドームを建てたとしても、同じことです。 

 

 仮に日ハムが指定管理者になったとしても、目指していた『ボールパーク』のような事業はできなかったと考えられます」(成田氏) 

 

 ちなみに、球団側が指定管理者として運営している球場は、どれも開発が可能な「市街化区域」にある。しかも、その中でも住居や商業施設の建設も可能な「近隣商業区域」に建っており、札幌市や日ハムが置かれた状況とは大きく異なっている。 

 

 

巨大なガラス壁が特徴的な「エスコン」 

 

 結局、行政が運営する「多目的施設」である札幌ドームは、球団としての利益を追求する日ハムの要望にすべて応えることはできなかった。そして2016年5月、日ハムが新球団建設構想を発表。札幌市も用地として名乗りを上げたが、最終的に選ばれたのは隣接する北広島市だった。 

 

 日ハムを引き留められなかった──札幌ドームへの批判が募る背景には札幌市への不満もあるだろう。この状況を「殿様商売をする札幌ドームに、日ハムが三行半を突きつける形で出ていった」と表現する人もいる。 

 

 しかしそもそも、球団側が求める「ボールパーク」にしても、札幌市では実現できなかった可能性が高い。 

 

 「新球場建設が発表された当初、日ハムが求めていたのは、市有地かつ公共交通機関に近い土地です。しかし、札幌市にはそのような土地がなかった。エスコンフィールドにも行きましたが、素晴らしい球場だと思います。札幌市内では、あれはできない。どう頑張っても場所がない。 

 

 また北広島市は、無償かつ固定資産税を取らない形で日ハムに土地を貸しているとも聞きます。私見も含まれますが、札幌市で同じことをした場合、ほかの民間企業が許したでしょうか。少なくとも北広島市と同等の優遇施策を打つことは困難だったと思います。 

 

 私としては日ハムさんが札幌ドームを離れ、エスコンフィールドという札幌市では実現できなかった財産が増えたことについては、地域全体にとって非常にありがたいことだと思っています。ところが、なぜか対立が生まれてしまっているのが残念です」(成田氏) 

 

 札幌ドームについての誤解はまだまだたくさんある。『ネーミングライツは応募ゼロ、利用日数激減で「すぐ破産する?」…「札幌ドーム」批判の「誤解」を解く』に続く… 

 

週刊現代(講談社) 

 

 

 
 

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