( 166251 ) 2024/05/02 18:02:56 1 00 現在、札幌ドームに対する批判がネット上で続いているが、札幌市議の成田ゆうき氏は多くの批判が誤解に基づいていると指摘している。 |
( 166253 ) 2024/05/02 18:02:56 0 00 写真提供: 現代ビジネス
『「札幌ドーム叩き」のほとんどが「的外れ」といえるワケ…「薄い人工芝」「傾斜が急すぎる観客席」が批判されてきたが「そもそも野球のために作られた施設ではない」』より続く…
【写真で比較】こんなに違う!?「札幌ドーム」と新球場「エスコンフィールド」
公式HPより
ネットを中心に苛烈な札幌ドーム叩きが続いている。代表的なものをあげれば「再三の日ハムの値下げの要望を無視した挙句に、値上げした」など、感情的ともいえる意見が散見される。だがそうした批判の「多くは誤解」だと、札幌市議の成田ゆうき氏は指摘する。ここまで、使用料金や指定管理者制度などをめぐる誤解を解いてきたが、思い込みによる批判は他にもあるという。
日ハムは札幌ドームを離れ、2023年1月にエスコンフィールドに拠点を移した。日ハムが抜けた穴は大きく、札幌ドームの昨年度の赤字額は3憶とも4億ともいわれる。苦慮に立たされる札幌ドームに対し、投げかけられているのが「すぐに破産する」「血税が使われる」といった批判の声だ。
しかしこれも実態に即していないと、成田氏は指摘する。
「財務諸表に一切目を通さず、単年度の赤字のみを見て経営を語っている人があまりにも多すぎると思います。第25期(令和4年4月1日~令和5年3月31日)の決算書類を見れば、明らかですが、現状札幌ドーム株式会社には約22億円の利益剰余金(内部留保)があります。仮に赤字を4億円と仮定し、これが改善されず何の援助も受けなかったとしても、5年は生き延びることができる。十分なキャッシュがあり、すぐさま税金が投入されるような経営体質でもありません」
見落とされがちなことだが、札幌ドームは第三セクターが運営する施設としては比較的良好な経営を維持してきた。
「第三セクターが経営していることを踏まえると、札幌ドームはかなり成績が良い。実は第三セクターが経営しているスタジアムなど大規模施設はほとんど赤字なんです。一方、札幌ドームは今年度赤字になったものの、日ハムが来る前の開業当初から黒字でした。また日ハムが抜けたことで、札幌ドームの利用日数が半分になる。そんな意見も耳にしますが、これも間違っています。たしかに札幌ドームのホームページに記載されている日程だけを見ると、そう思われるかもしれません。
しかし実際には『資格試験』や『就職説明会』など、HPには掲載されないイベント利用が多数あるのです。2023年度のイベント利用日数は98日(22年度は124日)を見込んでいるそうです。目標としていた110日には届きませんでしたが、極端に低い数値ではありません。
見過ごされがちですが、第三セクターが運営するそのほかのスタジアムやドームでは、毎年『指定管理料』の名目で自治体から3億~4億のおカネが支払われています。これが当たり前とされているなか、2001年の開設から今日に至るまで、札幌ドームには一度も指定管理料は支払われていません。それでも経営できるほど、高いポテンシャルを秘めている施設だと私は思っています。そんな優良施設が、日本ハムがいなくなったことによって『クズ施設』『取り壊すよりほかない』とまで言われてしまうのは……」(成田氏)
成田氏が札幌ドームに対する根拠のない批判に反論を続けるのは、札幌ドームが札幌市民ひいては道民にとっても貴重な財産であるからだ。
「もともと北海道には屋内で野球やサッカーを楽しめる施設はありませんでした。しかも冬の11月~4月にかけて雪が降り積もる。そのため北海道ではプロスポーツ文化が根付かなかった。札幌市民、道民は屋内で野球やサッカーができる施設を熱望していました。加えて、当時札幌市には野球やサッカーのみならず、コンサートイベントなどもできる多目的施設はなかった。
そこに札幌ドームが誕生したのです。札幌ドームは単にイベントだけではなく、様々な役割を果たしています。例えば災害時には、ほかの自治体から消防隊が詰めかける前哨基地としての機能も兼ね備えています。防災の観点においても、札幌ドームは重要な施設です」
建設的な批判であればいいが、道民や札幌市民にとって重要な施設である札幌ドームを、根拠なく批判するのはどうなのか。そうした思いから、成田氏はSNSで反論を続けている。
とはいえ、そんな成田氏も「何が何でも札幌ドームを残すべき」だとは考えていない。
「まずは、日ハム時代に上がってしまった固定費を減らす。そしてコロナが明けたばかりでまだ動きが鈍かったコンサートやイベント利用を増やしていくことが必要です。
これまで野球開催で利用ができなかった土日にも、新たなイベントが入ってきています。たとえば3月末には、エイベックス主催の音楽フェス『SAPPORO MUSIC EXPERIENCE 2024』が開かれましたし、4月にはラグビーリーグワンの試合もあります。新たなイベントにどれくらいの収益性があるのか、日ハムの空いた部分を埋められるのかを見極める時期が必要だと思います。
札幌ドームは、ここ3年が勝負でしょう。3年たってもなお赤字が続くようであれば、経営体制の見直しが必要になると思っています」(成田氏)
札幌ドームの今後を見守る上で見逃せないのが、ネーミングライツをめぐる動きだ。希望金額2億5000万以上で1月から募集を開始、2月29日に締め切られたが期日までに申し込みはなかった。
「正直に言うと、なぜこのタイミングで募集したのか、疑問には思います。年度末も差し掛かる時期でしたし、期日も2か月弱と短かった。ただ、どこからも手が上がらなかったというわけではありません。複数社から問い合わせがあり、交渉は継続しているようです。実際に市議会でも議題にあがり、答弁も残っています。
このまま、まったく名前がつかないような施設ではないと思います。金額の大小はあるでしょうが、1憶でも1億5000万でも値が付けばそれだけで赤字削減になるのではないでしょうか。
市民の皆さんからすれば、日ハムに逃げられた、今まで黒字だったのに赤字になった、それはお前ら(札幌市)が悪いだろうとなる。そうした思いは真摯に受け止め、できる限りのことをやるしかないと思っています」(成田氏)
たしかに新球場・エスコンフィールドは素晴らしいが、札幌ドームが日本ハムファイターズと歩んだ19年が色あせることはない。ファイターズが新球場を舞台に「大航海」へと漕ぎだしたように、札幌ドームもまた新たな進化を見せてくれるはずだ。
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ネットを中心に加熱する札幌ドーム叩き。しかしその多くは「誤解」だった!? 『日ハムの「値下げ要求」を突っぱねて「値上げ」した…? 加熱する“札幌ドーム叩き”の「勘違い」と「嘘」を暴く! 』では、札幌ドームの真実をいちから解説しています。
週刊現代(講談社)
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