( 167032 )  2024/05/05 01:20:39  
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昔の中古輸入車は壊れやすかったが、最近はそうでもない。

ただ、過去の輸入車が中古車市場で普通に流通しているわけではないので、一部の車種にはまだ注意が必要。

特に特定の中古車を挙げると、以前は壊れやすかったイメージがあったルノー5やシトロエンXMがあり、しかし現在は適切なメンテナンスを受けられれば普通に乗れるように進化している。

現在では「魅力的だがひんぱんに壊れる中古輸入車」は稀であり、注意が必要な中古車も限られている。

(要約)

( 167034 )  2024/05/05 01:20:39  
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昔の輸入車は実際によく壊れたが最近はそうでもない。ただし中古車は当然「昔のクルマ」が含まれるので車種によっては注意が必要だ 

 

 かつて、中古の輸入車は「魅力的だが、ひんぱんにぶっ壊れる」という場合も多かった。それゆえ今回、「ぶっ壊れることで有名な、しかし魅力的な中古輸入車を数台挙げる」というミッションを命じられたわけだが……私はいま、「魅力的だが、ひんぱんにぶっ壊れる輸入車」の車名を挙げるのに若干手こずっている。 

 

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 なぜならば昨今の中古輸入車は、基本的には(あくまで基本的には)そんなにしょっちゅうぶっ壊れるものでもないからだ。 

 

 確かに筆者が1990年代半ば頃に乗っていた1987年式ルノー5 バカラというフランス車は、超絶素晴らしいハッチバックであったものの、超絶ぶっ壊れる個体でもあったため、その部分では閉口した。そしてもしもいまルノー5が中古車市場で普通に流通しているならば、私はためらいなくそれを「魅力的だが、ぶっ壊れる中古輸入車」のひとつとして挙げるだろう。 

 

 しかしいま、ルノー5の中古車流通量はほぼ皆無である。おおむね同時期のフレンチハッチバックであるシトロエンAXやプジョー205あたりも、同様にほぼ皆無。ということは、「ないモノは壊れることもできない」という意味で、そのあたりのモデル群は「壊れない」といえるのだ。 

 

 そしてもうひとつ、「生き残った者はけっこう強い」という理屈もある。 

 

 たとえば1990年に発売されたシトロエンの当時のフラッグシップ「XM」は、筆者がルノー5に乗っていた1990年代半ばころは「地獄への水先案内人」的なイメージがあった。デザインに引かれて購入したが最後、次から次へと襲ってくる各部の故障により、オーナーは必ず地獄を見ることになる──といわれていた。 

 

 だがあれから約30年。人々に地獄を見せた粗悪なXMは土に還ったか、もしくは鉄クズになった。そしていま、それでもしぶとく生き残った少数のシトロエンXMは、オーナーの適切な扱いと、蓄積された知見に基づく適切なメンテナンスによって「フツーに乗れるフランス車」へと進化している。 

 

 まぁ「フツーに乗れる」といっても整備に気を使わなければならないクルマであることは間違いないが、ちゃんと手入れされた現代のシトロエンXMは「営業車」として使うことすら可能だ。 

 

 実際、筆者が知るカメラマンはシトロエンXMを営業車(機材車)として使っている。クルマの故障のせいで仕事に穴を開けることは絶対に許されないフリーのカメラマンが、シトロエンXMを機材車として使っている事実から、その信頼性の高さを推察していただけたならば幸いだ。 

 

 ということで、与えられたテーマに対しての結論は「魅力的だが、ひんぱんにぶっ壊れる中古輸入車なんて最近はない!」ということになる。 

 

 

 だがこれは「車種軸」で考えた場合の結論であり、「個体軸」で考えるなら、やはり「魅力的だが要注意な中古輸入車はいまでもある!」という結論にならざるを得ない。 

 

 そして個体軸で考えた場合の「魅力的だが要注意な中古ガイシャ」の車名と条件をなるべく具体的に挙げるなら、おおむね下記のとおりとなるだろう。 

 

■魅力的だが要注意その1:セレスピードのアルファロメオ147 

 

 走らせるとめちゃめちゃ楽しいイタリアン・ハッチバック。そしてアルファロメオが一時期使っていた「セレスピード」というぶっ壊れやすいセミATも、いまではメンテナンスの知見が蓄積されたことで、対策は比較的容易になっている。それゆえしっかりとしたイタリア車専門店で買うのであれば、セレスピードのアルファロメオ147でもとくに問題ない場合はある。 

 

 だが、とくに専門性のない「よろず中古車販売店」でセレスピードの格安147を買うのは危険であり(※その場合はMTの147だって危険だろう)、専門性があるように見えてじつはあんまりない「なんちゃって専門店」で買うのも避けたいところだ。 

 

■魅力的だが要注意その2:メルセデス・ベンツ500E(W124型) 

 

 いわずと知れた5リッターV8DOHCエンジンをW124型Eクラスにぶち込んだ1990年代前半のモンスターセダン。基本的には頑丈なクルマだが、さすがに初度登録から30年級の時間が経過しているため、あちこちの部品を順次交換しながら維持していく必要はある。 

 

 だが交換をするための部品がいま、あまり出てこないのが500Eの実情だ。交換したくても部品がなく、あったとしても値段がバカ高くなってしまっている場合もある。かなり魅力的であることは間違いないメルセデス・ベンツ500Eだが、もしもこれから入手するのであれば、そのあたりの困難は覚悟しておくべきだろう。 

 

■魅力的だが要注意その3:第2世代ミニの各モデル(R56、R60、R55など) 

 

 小気味良い走りとしゃれたデザインが楽しめるというのが、3ドアハッチバックに限らず「ミニファミリー」全般に通じる魅力だ。しかし、第2世代のミニ(R56、R60、R55など)は、エンジン内部のチェーンガイドやチェーンテンショナーが走行中に破損してしまう場合があり、ディーゼルターボエンジンではエンジン内部に煤が詰まって不調をきたすことも多い。 

 

 こちらも、しっかりとした知見と技術を持っている専門店で購入するなら(たぶん)大丈夫なのだが、「よろず中古車店」や「なんちゃって専門店」の格安な第2世代ミニは、(たぶん)目利きと対策が不十分である可能性もあるため、正直あまりおすすめしない。 

 

 ちなみに第2世代に限らずミニ全般は、きわめてライトな層のユーザーがデザインだけに引かれて購入したケースも多い。そのため、中古車のなかにはエンジンオイルの管理がきわめて悪かったため、内部がヘドロ状になっている個体もけっこうある。 

 

 そのほかでは「AL4」という4速ATを搭載していたフランス車全般も要注意なのだが、これにしたって、個体によっては(歴代オーナーの扱い方とメンテナンスによっては)ぜんぜん大丈夫だったりもする。そのため、「AL4は絶対に避けたほうがいい!」と断言してしまうのも間違いなのだが、とはいえ最近はAL4搭載のフランス産中古車もおおむね絶滅傾向にあるため、もはや割とどうでもいい問題なのかもしれない。 

 

伊達軍曹 

 

 

 
 

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