( 169213 )  2024/05/11 16:29:02  
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マツダは業績好調で、2023年度は売上高や販売台数が過去最高を達成。

好調の背景には、コロナ禍からの脱出やラージ商品群の投入が挙げられる。

ラージ商品群は、CX-60や今期導入のCX-80など、大型・上位の車種であり、高級車の走りを追求。

マツダはラージ商品群の製品展開や電動化の推進を通じて今後も成長を目指す方針であり、2024年度の業績見通しもポジティブ。

特に北米市場や中国市場での期待が高く、今後の動向に注目が集まる。

(要約)

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日本や欧州へ導入する「CX-80」 

 

マツダの業績が好調だ。2023年度(2023年4月~2024年3月)の売上高は過去最高の4兆8000億円以上、北米市場での販売も初めて50万台を超えるなど、明るい情報が並ぶ。 

 

【写真】新世代のマツダを牽引する「ラージ車」第1弾!【マツダCX-60(英国仕様)を写真で見る】 (29枚) 

 

5月10日にマツダの広島本社で開かれた決算説明会で、毛籠勝弘CEOは好調の背景について「コロナ禍から脱し、ラージ商品群を投入したこと」が挙げられると説明した。物流面では混乱が続くが、販売面では収益力の高い上級モデルを中心に支持を集め、成長につながったようだ。 

 

マツダの販売台数はここ数年で減少傾向(直近の売上高・営業利益は高水準)にあったが、2023年度は前期比12%増の124万1000台を販売し、盛り返した。さらに売上高4兆8277億円(前期比26%増)、営業利益2505億円(76%増)、当期純利益2077億円(45%増)と3項目において「過去最高」を達成した。 

 

市場ごとの販売の内訳を見ると、日本16万台(3%減)、北米51万4000台(26%増)、欧州18万台(13%増)、中国9万7000台(15%増)、その他市場28万9000台(2%減)となっている。日本以外の市場でおおむね増加し、特に北米での成長が著しい。 

 

なぜマツダは好調なのか。もちろんコロナ禍からの復帰や価格見直し等による販売強化も好材料となったが、毛籠CEOの言葉にあったように、今回の決算でマツダが特に強調していたことの1つがラージ商品群の存在だ。 

 

今期導入予定の「CX-80」は3列シートを採用している。 

 

ラージ商品群とは、その名の通り既存のマツダ車よりも大型・上位のモデルラインナップで、CX-60、CX-70、CX-80、CX-90の4車種からなる。ラージ商品群の主な特徴として、後輪駆動(FR)の採用とマルチパワートレイン戦略が挙げられる。 

 

4車種はマツダの中でも高価格帯に位置しており、前輪駆動(FF)や四輪駆動が主流となる中であえて後輪駆動を採用したのは、高級車に求められる「走り」を追求するためだ。エンジンも比較的排気量の大きいユニットが搭載されるが、電動化に対応し、48VマイルドハイブリッドやPHEVも選択できる。 

 

マツダは2022年のCX-60を皮切りにラージ商品群の投入を始め、今期(2024年度)にようやく4車種を揃えることになった。毛籠CEOは「揃った今年からが本番だ。しっかり育成していく」と意気込む。また、ラージ商品群の走りについても「プラットフォームが良く、マツダの走る歓びを体現できると考えている」と自信を見せた。2024年度は4車種で20万台の販売を見込んでいるという。 

 

特に大型車が好まれる北米ではラージ商品群の存在感が強く、またハイブリッド車を求める声も非常に大きいという。マツダにとって引き続き成長の鍵となることは間違いない。 

 

一方、販売台数を牽引しているのは小型のCX-5やマツダ3、CX-30などだ。主力のCX-5は、ハイブリッドを搭載する次期型の開発が進められており、毛籠CEOは「鋭意開発中だ」と述べたものの、具体的な導入時期については言及を避けた。現行世代のCX-5は2017年に発売され、モデルチェンジの時期は近いはずだ。 

 

 

2024年後半に中国市場へ導入する「EZ-6」 

 

好調な業績を残したマツダは、今後さらにIT、人材、研究開発といった領域への投資を増やしていく。人材には特に力を入れ、「人への投資をしっかり行い、将来に備えていく」という。組織風土改革に取り組み、全社的にDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進していく方針だ。 

 

また、昨年発足した電動化事業本部を中心に電動化を推し進め、2027年にマツダ初のEV専用プラットフォームを採用したEVを導入予定である。ただし、EVの導入については「市場ごとに現実的な対応」をとっていくとした。 

 

これらを踏まえた2024年度の業績見通しはおおむねポジティブなものと言える。グローバル販売台数は15万9000台増の140万台、売上高5兆3500億円、営業利益2700億円、当期純利益1500億円を見込む。しかし、決して楽観視できる状況ではない。 

 

市場別に見ると、欧州と中国の業績見通しは「前年並み」とした。欧州では高インフレや高金利、消費者心理の冷え込みといった懸念材料がある。中国では新型EZ-6の導入により販売増を見込むが、発売が今年後半になるため台数貢献は限定的だという。 

 

また、日本でも厳しい状況は続きそうだ。マツダは取材に対し、「SUV市場は引き続き活況である一方、他銘柄の新商品導入もあり、厳しい競合環境が続くと見ている」とコメント。消費動向が一服し、価格上昇の影響も懸念されることから慎重な見方を示している。 

 

それでも今期は国内で2万台増の18万台を見込む。販売施策の強化や、ファンイベント等を通じてマツダ車とマツダブランドの価値を伝え、販売拡大につなげるとしている。CX-60や今期新たに導入されるCX-80にも期待を寄せる。 

 

次期型CX-5の動向やラージ商品群の成長など、今年もマツダから目が離せない。 

 

林汰久也(執筆) 

 

 

 
 

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