( 169758 )  2024/05/13 14:57:46  
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4月から保育園に通う子供が感染症にかかりやすくなることを「保育園の洗礼」と呼び、SNSではこの問題について保護者が投稿している。

医師によると、集団生活により新しいウイルスに接するため、保育園で感染しやすい。

予防接種や手洗い、うがいが重要であり、病気を通じて免疫を獲得する必要があると述べられている。

また、子供の体調が落ち着くまで登園を控えることが重要であり、保護者は自己を責めずに子供をサポートすることが大切だとアドバイスされている。

(要約)

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保育園に通う子どもの体温を測る母親 

 

 「保育園の洗礼が怖い…避けられる自信がない…」「子、保育園に行ってから1週間経つけどなんか鼻水出てきたぞ~ これが保育園の洗礼?怖いよ~~~」「もう2週間ガッツリ母娘で風邪だわよ 保育園の洗礼怖すぎだわ」。保育園に通い始めた子どもが多い4月以降、SNSでは「保育園の洗礼」に直面した保護者の投稿が相次いだ。 

 

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 保育園の洗礼とは、新たに保育園に通い始めた子どもが風邪などの感染症に頻繁にかかることを指す。小学3年生と年少の子どもを育てる記者(40)も、かつて保育園の洗礼に悩んだ一人。保育園の洗礼を避ける方法はあるのか。仁科医院(長野市)の副院長で小児科医の仁科範子さんに聞いた。 

 

記者「なぜ保育園に通い始めると、たくさん病気にかかってしまうのでしょうか」 

仁科医師「保育園は集団生活なので、今まで接したことのなかったさまざまなウイルスに接するようになります。一緒に生活する中で、飛沫感染などでうつるのは仕方がないことです」 

 

記者「症状で多いのは何ですか」 

仁科医師「鼻水と咳ですね。いわゆる普通の風邪です」 

 

記者「防ぐことはできないのでしょうか」 

仁科医師「完全に防ぐことはできないし、防ぐ必要もないと思っています。風邪をひくことで必要な免疫を獲得する通過儀礼だと思います」 

 

記者「保育園の洗礼はいつごろまで続くのでしょうか」 

仁科医師「入園から2ヶ月ぐらいピークが続く印象があります。ただ、2ヶ月過ぎたから大丈夫ということではなくて、1年ぐらいは常に鼻水は出ているものだよ、と親御さんには話しています」 

 

記者「保護者の中には、子どもが病気になっても急に仕事を休めないなど、仕事を続けられるか不安に思う人もいます」 

仁科医師「子どもが体調を崩すことは仕方がないことです。親御さんには仕事を諦めないでほしいので、職場の方は、いずれ大丈夫になると思って理解してほしいですね」 

 

記者「予防のためにできることは何ですか」 

仁科医師「手洗いとうがいは大切です。それによってかなり予防になります。うがいが難しければ、水を飲むだけでもいいと思います。口の中の菌を洗い流し、胃酸で殺菌される効果が期待できるからです。あとは、予防接種も非常に大事で、重篤な感染症を防ぐことができます」 

 

記者「他に予防で大切なことはありますか」 

仁科医師「よく食べてよく寝るという普段の生活習慣が、免疫を高める上で非常に大事です。私たちが菌やウイルスと共存している中で、普段は大丈夫でも体が弱っていると病気にかかることもあります」 

 

 

38度6分と表示された体温計。しっかり解熱したことを確認してから登園することが大切という 

 

記者「いわゆる普通の風邪の場合、登園できる目安はありますか」 

仁科医師「日中熱が下がっていっても夕方から夜にかけて上がってしまうことも多いので、丸一日は解熱していることを確認してから登園させてください。鼻水と咳を完全にゼロにするには時間がかかるので、眠れて食事も取れていればいいと思います」 

 

記者「保育園の洗礼に悩む保護者にメッセージはありますか」 

仁科医師「子どもが体調を崩しても、親御さんは自分を責めないでください。親御さんのせいでも、保育園のせいでもありません。仕方ないことです。いずれ風邪をひく頻度も落ち着きますので、生きていくために必要な通過ポイントだと思ってほしいです。小児科医は、子どもはもちろん、親御さんたちの味方でありたいと思っていますので、いつでも頼ってほしいです」 

 

 記者も8年前、長男が1歳になる月から保育園に預け始めたが、最初の1ヶ月間は子どもの体調不良で勤務日のうち半分近くは出勤できなかった。治ってもまたすぐ風邪をひき、毎週のように小児科通い。体調を崩してばかりの長男がかわいそうという気持ちと、産休・育休から復帰したばかりなのに休んでばかりで申し訳ないという気持ちでいっぱいで、こんな調子で仕事が続けられるのかと不安だった。 

 

 仁科医師の話を聞いて、保育園の洗礼に不安になっていた当時の自分にも聞かせたいと思った。長男も小学3年生の今では、ほとんど風邪をひかなくなった。1年半前から保育園に通っている次男も、体調を崩す回数は入園直後に比べて減っている。仁科医師の「誰のせいでもないから自分を責めないで」という言葉に私も救われた気がした。(井口文) 

 

 

 
 

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