( 171173 )  2024/05/17 01:30:46  
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岸田文雄首相は内閣支持率の回復と野党候補者の擁立遅れを見て、6月の衆院解散を視野に入れているが、米大統領選後の外交を見定めるべきだと的を射ている。

また、清和会の裏金問題について問題の発生経緯を徹底調査し、森喜朗元首相や小泉純一郎元首相らが記者会見をして謝罪すべきだと主張している。

(要約)

( 171175 )  2024/05/17 01:30:47  
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小泉純一郎氏 

 

【八幡和郎 日本人の試練】 

 

岸田文雄首相は内閣支持率の回復と、野党候補者の擁立遅れを見て、「6月の衆院解散」を視野に入れている。だが、11月の米大統領選の後、新大統領のもとでの外交を見定めてからがいいと思う。 

 

【写真】自民党安倍派の政治資金パーティーに出席した岸田文雄首相と森喜朗元首相 

 

また、皇位継承問題でせっかく方向性が見いだせたのに、衆院選で立憲民主党に「女系継承」へ向けて争点化するチャンスを与えるべきではない。 

 

自民党は、清和政策研究会(清和会)の裏金問題の処理を誤って、政権維持すら危うくなっている。問題の発生経緯を徹底調査せず、責任をしかるべき人が取らなかったからだ。 

 

月刊「文藝春秋」6月号の「森喜朗元首相『裏金問題』真相を語る」で、発生経緯の輪郭が見えてきた。1990年代から清和会事務局や秘書たちの間で徐々に拡大したが、その全容は森氏や小泉純一郎元首相など歴代会長も知らなかったというのだ。 

 

キーマンだった元事務局長は故人である。ただ、関わった政治家や秘書の多くは元気なのだから、徹底的に第三者委員会がヒアリングして経緯を復元すべきだ。 

 

そのうえで、森、小泉両氏が記者会見をして、制度が出来上がった時期の会長として謝罪し、「離党」や「元総裁としての栄誉の辞退」などをすべきではないか。 

 

森氏は、塩谷立座長(自民党離党)に全責任を引き受けて議員辞職したら「光り輝くと思うよ」と言ったそうだが、塩谷氏からすれば、その言葉は森氏に返したいと思ったはずだ。 

 

私は自著『日本の総理大臣大全』(プレジデント社)などで、森氏を首相として高く評価してきた。「アンチ森」ではまったくないが、自民党と若い議員のために、森氏には決断してほしいのだ。 

 

小泉氏が清和会会長だったことを、みんなが忘れているのもおかしい。小泉氏がここで格好良く、森氏とともにケジメをつけたら、「清和会を救った人」として評価され、小泉進次郎氏の総理への道は大きく開けるだろう。 

 

他の政党との関係では、政治資金改革については、公明党の意見を丸呑みしたらいい。本当は、自社さ政権で社会党の村山富市氏を首相にして自民党が復活できた故事に倣って、山口那津男代表に次期首相を引き受けてもらえるなら、その方がいいくらいだ。 

 

それから、日本維新の会が立憲民主党に代わって野党の中心になれるように誘導すべきだ。 

 

 

安倍晋三内閣では、手ごわかった希望の党を恐れて衆院選で集中攻撃したことで、立憲民主党を野党第一党にしてしまい「55年体制の清算」や「憲法改正」が遠のいた。維新が野党第一党にならないと、「戦後レジーム」は終わらない。 

 

■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。国士舘大学大学院客員教授。著書・共著に『安倍さんはなぜリベラルに憎まれたのか―地球儀を俯瞰した世界最高の政治家』(ワニブックス)、『日本の政治「解体新書」世襲・反日・宗教・利権、与野党のアキレス腱』(小学館新書439)、『民族と国家の5000年史』(扶桑社)、『地名と地形から謎解き 紫式部と武将たちの「京都」』(知恵の森文庫)など多数。 

 

 

 
 

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