( 172138 )  2024/05/19 17:35:10  
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日本の経済が厳しい状況にある中、円安が進むなか、英国の新聞は日本の経済が好転する可能性があると指摘している。

日本経済はデフレから脱却しつつあるが、一方で不透明な要素もある。

円安は日本企業にとって有利な面もあり、日本には外貨準備高もあり、経済を支える資産も充実している。

ただし、人口減少や経済の低迷などの課題もあり、経済の現状や将来について慎重に検討する必要がある。

(要約)

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Photo: CHUNYIP WONG/Getty Images 

 

急速に円安が進むなか、国内外で日本の国力低下を懸念する声が高まっている。だが英紙「フィナンシャル・タイムズ」は、これから日本経済が好転する可能性は充分にあるとみているようだ。 

 

【画像】英紙「昨今の円安は日本が『歴史的な上昇気流』に乗りつつある証だ」 

 

4月は日本にとって厳しい1ヵ月だった。 

 

円は対ドルで約34年ぶりの安値を更新し、政府と日本銀行が5兆円を超える円買い介入に踏み切ったとみられている。 

 

民間の有識者グループである人口戦略会議は、「日本の4割の地方自治体が消滅の危機にある」と指摘し、経済産業省の審議会は国の繁栄を阻害する慢性的な脅威に警鐘を鳴らした。 

 

「日本は歴史的転換点にある」と言われはじめてから、すでに1年以上が経過した。日本経済はデフレから脱却しつつあるが、その一方で、金融政策は世界の先進各国の方針や国民の実生活からは乖離しているように見える。4月の一連の動向、とくに円相場の動きをみていると、日本の行く末はかなり不透明だと感じられる。 

 

中期的に、日本は自らがもっとも恐れている状況に突き進む可能性がある。社会制度が機能せず、混乱と格差がはびこる「新興国への降格」だ。 

 

日本にはアジアでいちばん最初に先進国入りしたという自負があり、その地位を失うことを恐れてきた。「新興国化」が現実になりつつあるといった類の予測は、それがどんなに的外れなものでも、公共政策の議論の場にたびたび登場し、政府や企業のモチベーションを高める道具として使われてきた。 

 

年初からの円安で投機筋の円売りが急速に進み、これに危機感を覚えた日本政府が為替介入をすると、いまの状況を「通貨危機だ」とみる向きも現れた。新興国特有の脆弱性が日本にも現れていると主張する者もいる。円安で日本に押し寄せた外国人観光客がSNSでその物価の安さを拡散しているのも、日本の国力が急速に衰退していると印象づけるのに一役買っている。 

 

だが少なくとも現時点では、この手の悲観論は見当違いだ。 

 

日本経済はもっとよくなるべきだ。行き過ぎた円安は国内の消費回復の足を引っ張りかねないが、日本には1兆ドル(約156兆円)をはるかに上回る外貨準備高がある。チャートの上では憂慮すべき円安の動きも、日本企業の大半にとっては有利に働く。 

 

224兆円を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、資産の約半分を海外資産(外国株式と外国債券)で保有しており、2023年の年間収益は約34兆円と過去最高を記録した。 

 

その一方、「新興国化論者」の主張の正しさを裏付けるような出来事もあった。 

 

前述の通り、2024年4月には人口戦略会議が全国1729自治体の43%に当たる744自治体が消滅する可能性があると報告した。この分析は、2050年時点の出産適齢期の女性(20~30代)の減少率を地域ごとに割り出した、日本政府の最新予測をもとにしている。日本では過疎化や経済低迷、慢性的な貧困の傾向がすでに見られるという。 

 

さらに同じく4月、経産省がおこなう産業政策関連の審議会が、日本企業の経営方針が大きく変わらない限り、実質賃金とGDPは横ばいのままだと指摘。このままでは、「社会の安定性すら失われる可能性がある」と結論づけた。 

 

 

だがこうした悲観的な見解に対しては、説得力のある反論ができる。 

 

Leo Lewis 

 

 

 
 

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