( 173233 )  2024/05/23 01:12:20  
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日本の金融機関である農林中央金庫が外国債券の売却で純損益が5000億円超の赤字になる見込みであると発表した。

財務基盤強化のため、1兆2000億円の資本増強を行う方針であり、運用収益の悪化や米国の金利高などが赤字の原因とされている。

株式投資比率を上げて収益を回復する方針も語られている。

(要約)

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Bloomberg 

 

(ブルームバーグ): 農林中央金庫は22日、今期(2025年3月期)に運用収益が悪化した外国債券の売却に踏み切り、純損益が5000億円超の赤字(前期は636億円の黒字)に陥るとの見通しを明らかにした。財務基盤強化に向け、1兆2000億円規模の資本増強を実施する方針だ。 

 

同日の決算会見で奥和登理事長が説明した。赤字となるのは、リーマン・ショックの影響を受けて5721億円の損失を計上した09年3月期以来となる。株式運用比率が低いことで株高の恩恵が最大限受けられない一方、米国の金利高を背景に債券評価損が2兆円を超える規模にまで膨らんでおり損失処理する。 

 

奥理事長は「自己資本比率の健全性をプライオリティーに置きながら慎重な運営をしていく」と述べた。外貨調達コストが大幅に増加しており、米金利の上昇や高止まり局面は「私どもにとってアゲンスト」と指摘。「赤字についての責任問題は痛感しているが、職責を全うして難局を乗り切る」と述べた。理事全員の報酬を減額する意向も示した。 

 

北林太郎最高財務責任者(CFO)は「中期的な収益強化に向けてポートフォリオを改善していく」として、26年3月期以降は収益を確保して黒字回復を見込むと語った。 

 

資本増強は転換条項付き劣後ローン7000億円を中核的自己資本(CET1)に振り替えるほか、劣後ローンで5000億円を調達する方向で協議する。 

 

農林中金の市場運用資産残高は、3月末時点で56兆円に上る。資産別では債券が56%と最も多く、次いでクレジットが42%、株式が2%となっている。 

 

有価証券評価損(単体ベース)は3月末時点で1兆7698億円と、23年12月末の1兆3207億円から悪化。そのうち債券評価損が2兆1923億円(12月末は1兆9110億円)に膨らんだ。 

 

奥理事長は今後の運用方針について、円金利上昇で国内投資の機会が増えることは「ウエルカムだ」と述べた。一方、株式投資の比率を今後増やすかどうかは明言できないとした。 

 

 

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(c)2024 Bloomberg L.P. 

 

Takashi Umekawa, Taiga Uranaka 

 

 

 
 

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