( 173448 )  2024/05/24 02:29:27  
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1989年以降、軽乗用車の保有台数が急増しており、2023年には約2307万台に達した。

軽は安価で税金が安く、燃費が良いという経済的な魅力があり、特に60代以上の女性が多く利用している。

軽は主に都市部や地方での移動手段として利用されており、狭い道路や駐車がしやすい点が評価されている。

しかし、高速道路での不便さや乗り心地の悪さといった課題も存在する。

軽乗用車の需要は今後も増加する見込みがあり、安全装置の普及や改善が求められている。

(要約)

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軽乗用車(画像:写真AC) 

 

 気付いたら、街を走る軽乗用車(以下、軽)が増えていた。スーパー、ドラッグストアといったローカルな場所だけでなく、少し高級なリゾートホテルの駐車場にも、外車の横に軽が並んでいる。軽乗用車の保有台数は、1989(平成元)年は約174万台であり、それまで前年比マイナスで移行していたが、バブル崩壊の翌年から増加に転向した。1990年代に爆発的に増え、その後も増加し続け、2023年には約2307万台(1989年の約13倍)までになった。 

 

【画像】「えっ…びっくり! 」これが軽乗用車の「保有台数」の変化です(10枚) 

 

・軽は車体が安い 

・税金が安い 

・燃費がよくてガソリン代が安く済む 

 

と、経済的なイメージが強い。軽の新車は、以前は100万円しないイメージだったが、気付けば2倍近くになっている。それでも普通車に比べたら安い。 

 

 2024年4月17日に2年ぶりに発表された2023年度の『軽自動車の使用実態調査』(日本自動車工業会)によれば、軽自動車の車両購入価格は 

 

「180万円以上」 

 

が増加していて、6割になるという。そのほか、最新の調査結果にはメインユーザーや人気のボディタイプなどが掲載されている。 

 

軽乗用車(画像:写真AC) 

 

 調査によれば、ユーザーは、年代では60代以上が42%を占めており、性別では女性が62%となっている。 

 

 1989年の自動車免許保有者のうち女性の割合は37.0%だった。2023年の女性の割合は46.0%まで伸びているので、女性ドライバーの増加が軽のユーザーの伸びを後押ししていそうだ。 

 

 地方に行けば、車がずらりと並ぶ家が珍しくない。やはり公共交通機関での移動が不便な地域に多い。とはいえ、最近は普通・小型車との併有が減少傾向にあり、軽1台のみ保有する家は軽ユーザーのうち約3割を占める。 

 

 60代以上の4割近くは、経済・使用の両面において、軽以外では車の維持が難しくなるというので、重要なライフラインである。 

 

 さて、軽ユーザーのうち、軽からの買い替えが6割のため、普通車・小型車からの買い替えも多いということになる。 

 

 新車よりも中古車として軽を購入する人が依然増加傾向にあるが、今回の調査では物価高騰の影響を受けた人が多い。 

 

 直近1年間に軽自動車を新車で購入しようと考えた人は、結局「新車を購入」が25%と少なく、「新車の予定を中古車に変更」が26%、「購入を延期、断念」した人が45%にものぼる。 

 

 

軽乗用車(画像:写真AC) 

 

 軽といっても、スーパートール型が増加している。軽とは思えないほど、天井が高く、室内が広々としていて、前列からの視界が広い。スライドドア対応も人気を集めている。トール型と合計すると、保有の76%を占めるという、圧倒的人気ぶりだ。 

 

 軽を購入するときに人々が重視する点を複数回答で聞いたところ、以下の順で多かった。 

 

1.スタイル・外観 

2.車体色 

3.小回りがききやすいこと 

 

「スタイル・外観」が単なる見た目というより、使いやすさにつながっていることがよくわかる。 

 

 軽はポップなデザインや色合いのものが多く、人によっては好みに合いやすい、デザインや色が目立って駐車場で見つけやすいなども選ばれる理由になるだろう。なお、ガソリン車が79%、ハイブリッドは6%で、前回の2021年度調査から増えていない。 

 

 軽の人気は、経済的な面だけでなく、 

 

・狭い道の走行/駐車のしやすさ 

・気軽さ 

 

にもある。太い道路から少し入ると、細い道が走っていることがある。市町村道は平均3.9mと狭くそういった道路が日本の85%近くを占めている。道によっては軽以外選択肢がないという人もいるだろう。 

 

 また高齢者のなかでも免許返納を検討している人々で交通が不便な地域に住んでいる場合、軽なら運転しやすいということで、ドライバー人生が長引かせられるのだそうだ。 

 

 地域によっては車を運転できるかどうかが死活問題になるので、本人だけでなく、家族の意向でもあるというインタビュー調査も掲載されている。 

 

軽乗用車(画像:写真AC) 

 

 筆者(古宮宗、フリーライター)のまわりにも、経済的であることと、運転しやすいことを理由に、軽を持つ人たちが多い。 

 

 彼らは、ふだんの買い物や通院、通勤に関しては、軽でまったく問題ないという。しかし、いつもと違う使い方をすると途端に問題が出てくるそうだ。 

 

「坂道をのぼる際に、何人か人を乗せているとパワー足りない」 

「高速道路でスピードが出ない」 

「高速道路で加速がイマイチ」 

「高速道路でスーパートール型があおられやすい」 

 

実際、高速道路の走行を避ける軽ドライバーは多い。 

 

 また、長時間移動すると乗り心地に不満が出てくる。 

 

「サスペンションの問題で遠出の旅行には不向き」 

 

といいながら、なかなか手頃でこれだという普通車が見つからずに、軽に乗り続けている。交通事故のニュースを見れば、ボディが頑丈な普通車の必要性を感じる人も少なからずいる。景気がよくなる兆しがなく、高齢化がすすむことから、今後も軽は増え続けることだろう。 

 

・衝突被害軽減ブレーキ 

・ペダル踏み間違い時加速抑制装置 

・後側方衝突防止支援システム 

 

といった安全装置の装着意向は強いが、ボディの強度やそれ以外の問題も解決されていくとすばらしい。 

 

古宮宗(フリーライター) 

 

 

 
 

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