( 173738 )  2024/05/24 18:25:56  
00

藤浪晋太郎投手がメッツで契約したが、調子が上がらずに現在負傷者リスト入り中。

そのまま引退する可能性もあるが、再び阪神に戻ることが救いとして考えられている。

藤浪はメジャーでの実績が乏しく、不可解な昇格を経て現在IL入り。

受け皿が見当たらず、藤浪の今後には不透明な状況が続いている。

(要約)

( 173740 )  2024/05/24 18:25:56  
00

2022年シーズン、阪神の開幕投手を務めた藤浪晋太郎。再びタテジマに袖を通す日が来るのか=2022年3月25日、京セラ(松永渉平撮影) 

 

もはや進退窮まった米大リーグ、メッツの藤浪晋太郎投手(30)に救いの手を差し伸べるのは、古巣の阪神しかないのではないか。受け皿がどこにもない現状で、新たな動きが何もなければ、藤浪の選択肢は現役引退しかなくなってしまう気がする。 

 

【写真】なんでここにいるの…?ブルペンで投球する藤浪晋太郎を見つめる阪神新人選手たち 

 

■3Aで防御率14.09 

 

藤浪の負傷者リスト(IL)入りが発表されたのは13日(日本時間14日)。理由は右肩の張りだった。期間は通常ならば最短15日間だが、今回のケースは通常の扱いとは明らかに違う。メッツは悩める右腕を傘下の3Aシラキュースからメジャーに昇格させた上で、そのまま負傷者リストに入れたのだ。 

 

3Aで9試合に登板し、防御率14・09の投手が降格ではなく、なぜかメジャーに昇格。IL入りは最長60日間だが、さまざまな手続きを踏めば今季終了まで継続の可能性もある。現時点でシーズン前半戦のうちにマウンドに戻ることは絶望的だ。 

 

■大乱調なのになぜ昇格? 

 

メッツは今季、藤浪と年俸335万ドル(約5億円)プラス出来高最大85万ドル(約1億3千万円)で1年契約を結んだ。昨年7月にアスレチックスからオリオールズに移籍後、日本人最速の約165キロの球速を記録するなど、リリーフで2勝2セーブ、2ホールドの活躍をみせた右腕がオフにフリーエージェント(FA)になると好条件で獲得した。 

 

しかし、藤浪はオープン戦5試合で防御率12・27の大乱調。3月下旬に3Aに降格後も制球難は改善されず、マイナーでの最後の登板となった5月3日のロチェスター戦では四球連発で降板し、代わって野手がマウンドに送られた。その後、右肩の張りによるIL入りとメジャー昇格が同時発表された。 

 

3Aでも〝使えない投手〟がなぜメジャー昇格なのか。大リーグ関係者は「これで藤浪は俗にいう〝幽霊選手〟になった…ということだ」と話した。 

 

■メッツの真の狙い 

 

大リーグはロースター(40人の登録枠)管理が厳しい。3Aにおける1チームの投手枠は約10人。制球難で敗戦処理でしか使えない投手を置いておけば、他の投手の登板間隔や頻度が窮屈になる。藤浪によるしわ寄せで投手陣に不満が募るのだ。では2Aや1Aならばどうか、といえば30歳の投手が在籍する場所ではない。将来性豊かな若手投手がしのぎを削るカテゴリーだからだ。 

 

一方で、藤浪をメジャーに昇格させて「40人枠」に入れ、同時にIL入りさせればルール上、メジャーには「41人目の選手」を加えることができる。メッツにとって今の藤浪を置いておく最適の場所こそがメジャーだった。ただし、その存在は「40人枠」に入りながら事実上の戦力外。つまりは〝幽霊選手〟というわけだ。 

 

 

■受け皿あるか 

 

メッツは藤浪の代理人であるスコット・ボラス氏と去就について話し合いを行っただろう。ただ、藤浪自身が「辞める」と言わない限り、球団は解雇すれば残りの年俸を支払う義務が残る。ただ、マイナーにもメジャーにも置いておく場所はない。ボラス氏も藤浪がシーズン途中で契約解除となれば、自身の代理人としてのキャリアに傷のつく心配もある。受け皿が現れない中での途中退団は誰も得をしない。さまざまな事情の中で「メジャー昇格→即IL入り」という歪(いびつ)な現状が生まれている。 

 

問題は藤浪の今後の野球人生だ。自身で退団を希望し、新天地を探さない限り、今季中にマウンドに立てる環境は生まれにくい。では、メッツとの契約が切れる今オフ、今の藤浪を獲得する球団が地球上のどこにあるのか。人情とすれば古巣、そうでなければ現役引退という可能性が現実味を帯びてくる。(金額は推定) 

 

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。 

 

 

 
 

IMAGE