( 174463 )  2024/05/27 01:15:22  
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共働き世帯数が増え、専業主婦世帯数が減少していることから、年金制度も変化が必要とされている。

厚生労働省が2024年に公表した年金の受給額例では、さまざまなパターンの世帯に対する年金額が示されている。

具体的な数字を挙げると、共働き夫婦や片働き世帯などでの合計年金額が示されている。

また、年金額を増やす方法として、繰下げ受給、付加年金の納付、長く働くことが挙げられている。

さらに、資産運用によって金融資産を築き、老後資金を準備することも重要である。

(要約)

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写真:LIMO [リーモ] 

 

これまで「モデル年金」として提示されてきたのは、いわゆる専業主婦世帯を前提としたものです。 

 

【一覧表】あれ?共働き世帯数と専業主婦世帯数はいつ逆転したの?年ごとの推移で確認 

 

具体的には、基礎年金が2人分と、男性の平均的な収入で40年間働いた場合の厚生年金を合計した金額となります。 

 

しかし、現在は専業主婦世帯が減少傾向にあることから、単身世帯や夫婦世帯など、いくつかのパターンを考慮した年金のイメージを開示することが重要だと考えられています。 

 

今回は、2024年5月13日に開示された厚生労働省年金局の「これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点(2)」を基に、政府が示した年金の受給額例を紹介します。 

 

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 

 

厚生労働省の資料を基に、共働き世帯数と専業主婦世帯数の推移を見てみます。 

 

共働き世帯が1191万世帯であるのに対し、専業主婦世帯は430万世帯のみとなりました。 

 

昭和後期~平成初期に比べて、専業主婦世帯数は半分以下に減少していることがわかります。 

 

日本は長らく低賃金下にあり、「モデル年金」のような片働き世帯では家計を維持するのが難しいといった理由が考えられます。 

 

次章では、厚生労働省が公表した年金受給額のイメージを見ていきます。 

 

厚生労働省の資料には、現役時代の報酬・加入状況別に(1)~(8)まで分類し、年金への加入期間を40年とした場合の合計年金額のイメージが記載されています。 

 

●<現役期の報酬に対する合計年金額のイメージ(単身世帯)> 

(1)54万9000円(※男性の平均的な収入を1.25倍):合計年金額 18万6104円 

(2)43万9000円(※男性の平均的な収入):合計年金額 16万2483円 

(3)32万9000円(※男性の平均的な収入を0.75倍):合計年金額 13万8862円 

(4)37万4000円(※女性の平均的な収入を1.25倍):合計年金額 14万8617円 

(5)30万000円(※女性の平均的な収入):合計年金額 13万2494円 

(6)22万5000円(※女性の平均的な収入を0.75倍):合計年金額 11万6370円 

(7)14万2000円(※短時間労働者(男女計)の平均的な収入):合計年金額 9万8484円 

(8)国民年金のみ加入:年金額 6万8000円 

 

※2024年度の水準で示した年金額 

 

※加入年収を40年とした場合 

 

国民年金への加入期間が40年の場合、基礎年金部分は6万8000円となります。これに加え、厚生年金への加入状況や現役時代の報酬によって年金額が決まることになります。 

 

次に、上記の(1)~(8)までの年金イメージを基に、夫婦世帯の合計年金額も見てみましょう。 

 

 

先ほどの年金額をもとに、夫婦世帯の年金額を見ていきましょう。 

 

●共働き夫婦の合計年金額のイメージ 

(1)+(4):合計年金額 33万4721円 

(2)+(5):合計年金額 29万4977円 

(3)+(6):合計年金額 25万5232円 

 

●短時間労働者を含む世帯の合計年金額のイメージ 

(1)+(7):合計年金額 28万4,588円 

(2)+(7):合計年金額 26万0967円 

(3)+(7):合計年金額 23万7346円 

(4)+(7):合計年金額 24万7101円 

(5)+(7):合計年金額 23万978円 

(6)+(7):合計年金額 21万4854円 

(7)×2:合計年金額 19万6968円 

 

●自営業世帯の合計年金額のイメージ 

(8)×2:合計年金額 13万6000円 

 

●片働き世帯の合計年金額のイメージ 

(1)+(8):合計年金額 25万4104円 

(2)+(8):合計年金額 23万483円 

(3)+(8):合計年金額 20万6862円 

(4)+(8):合計年金額 21万6617円 

(5)+(8):合計年金額 20万494円 

(6)+(8):合計年金額 18万4370円 

 

夫婦共に平均的な収入を得ている共働き世帯の場合((2)+(5))、合計年金額は29万4977円となります。 

 

夫が平均的な収入を得ていて、妻が専業主婦の片働き世帯(いわゆる「モデル年金」として提示されている世帯)の場合((2)+(8))、合計年金額は23万483円です。 

 

平均的な収入の共働き世帯と「モデル年金」の片働き世帯では、年金額に6万円以上の差があることがわかります。 

 

ただし、実際の受給額は世帯によって異なるので、年金の見込額を「ねんきんネット」で確認するなど、自分たちがどのくらいの年金を受け取れるのか把握しておきましょう。 

 

年金の見込み受給額が少ない場合は、年金額を増やす、年金以外の収入源を確保する、または貯蓄や資産運用などで老後資金を準備するなど、老後対策を行う必要があります。 

 

 

年金の受給額を増やす主な方法として、以下の3つが挙げられます。 

 

・繰下げ受給をする 

・付加年金を納付する 

・長く働く 

 

年金の受給開始を遅らせる「繰下げ受給」を選択することで、受け取れる年金額が増加します。具体的には、1カ月遅らせるごとに0.7%が増額され、最大で84.0%(75歳まで繰り下げ)の増額率となります。 

 

次に「付加年金」ですが、定額保険料に付加保険料(月400円)を加えて納付することで、将来受け取る老齢基礎年金に付加年金(200円×付加保険料納付済月数)を上乗せすることができます。 

 

「長く働く」については、厚生年金の受給額は収入と加入期間に左右されることから、なるべく長く働くことが受給額を増やすことにつながります。 

 

年金額を増やすことも大切ですが、資産運用によって金融資産を築くことも大切です。資産運用なら運用益を狙えるので、効率的に資産を増やしていける可能性があります。 

 

ただし、資産運用にはリスクがあるので、「長期・積立・分散」を意識した安定的な運用を心掛けましょう。 

 

NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などの税制優遇制度を活用し、長期的な視点での資産運用を検討してみてはいかがでしょうか。 

 

 ・厚生労働省年金局「これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点(2)」 

 

加藤 聖人 

 

 

 
 

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