( 175983 )  2024/05/31 02:20:46  
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アマゾンジャパン合同会社のプレスリリースによると、ボクシング・世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチで、井上尚弥がWBC1位の挑戦者ルイス・ネリに勝利し、圧巻の強さを見せた。

井上の試合は史上最大のピーク視聴数を記録し、大橋ジムの会長は報酬が10億円以上になると明かした。

岩永悠税理士によると、報酬の手取りが7割なら、税金は約3.5億円になる可能性がある。

税率の高い日本では、スーパーアスリートの国外流出が懸念されているという。

(要約)

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アマゾンジャパン合同会社のプレスリリースより(PR TIMES掲載: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001825.000004612.html) 

 

5月6日東京ドームで行われた、ボクシング・世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチにて、王者・井上尚弥がWBC1位の挑戦者ルイス・ネリに6回1分22秒TKO勝利した。 

 

1回にキャリア初のダウンを奪われるものの、2回にダウンを奪い返すと終始主導権を握る試合運びで圧巻の強さをみせた。 

 

興行の大きさもモンスター級だ。当日は井上の圧倒的な強さをひと目見ようと、東京ドームに4万人の観客が詰めかけた。チケット料金はSRS席が最高額22万円で、入場料収入はこれまでのボクシング国内最大興行の2倍以上になるという。 

 

プライムビデオで同試合をライブ配信したAmazonは、井上対ネリ戦が史上最大のピーク視聴数を記録したと発表。これまでは2023年のWBC決勝・日本対米国戦が最大だったが、その記録を塗り替えた形だ。 

 

大橋ジムの大橋会長は試合後の会見で、「井上の報酬はファイトマネーのほか、スポンサー料などを合わせると10億円を超える」と明かした。 

 

さらに、多くのビッグマッチを開催しているサウジアラビアからのオファーがあることを明かし、「実現すれば(報酬は)倍じゃきかない」と説明。 

 

10億円は日本ボクシング史上最高額の報酬になるが、税金はいったいいくら払うことになるのだろうか。岩永悠税理士に聞いた。 

 

●報酬の手取りが7割なら、税金は約3.5億円になる場合も 

 

ーー報酬10億円の場合、税額はいくらになるのでしょうか? なお、「ジムの取り分3割、本人の取り分は7割、ほかの所得は0」という仮定のもと、個人事業主の場合、法人の場合とでそれぞれ試算をお願いします。 

 

「井上選手の居住地である神奈川県座間市において、資本金1,000万未満で法人を設立している場合と、個人事業主の場合では、税額は次のとおりとなります。 

 

まず、ファイトマネーやスポンサー収入は消費税法上の課税売上となるため、消費税込10億円、取り分消費税込7億円(すべて課税売上で仕入なし)と仮定すると、法人・個人ともに消費税が約6,300万円かかることになります(原則課税で算出)。 

 

また法人税・地方法人税・事業税等は全体で約2億3,700万円(実効税率約37%)となります。 

 

一方、個人の場合、所得税・住民税等は約3億5,000万円(実効税率約55%)となります。一般的に、高額所得の場合は個人より法人の方が税率が低いため法人のほうが約1億1,300万円も税額が少ないこととなります」 

 

※個人事業主の場合は65万円の青色申告特別控除を適用、平均課税制度は考慮しない 

 

●税率の高い日本。スーパーアスリートの国外流出にならなければよいが・・・ 

 

ーー井上選手は以前雑誌のインタビューで法人を設立していると答えています。「一般的に、高額所得の場合は個人より法人の方が税率が低い」とのことですが、個人事業主は所得がいくらになったら法人を設立すればいいのでしょうか? 

 

「一般的には所得(売上ー経費)が800万円を超えるあたりから法人成り(法人を設立し、その事業を法人で運営すること)を考えるケースが多く見受けられます。 

 

インボイス開始前は、所得に限らず売上が1,000万円未満であれば消費税が免除される「免税事業者」であったため、法人成りのひとつの基準として売上1,000万円を超えるかどうかという判断基準がありました。 

 

しかし、インボイス開始後は、売上基準は特に関係なくなったため、純粋に法人税等と所得税法の税率比較さえ行えばよくなりました。 

 

消費税は世界水準より低いものの、日本は世界的にみても法人税率や所得税率が高い国です。井上選手のようなスーパーアスリートは居住地を海外にすることも可能です。個人的には、世界的なアスリートをはじめ高額所得者に対する課税が多額になるという現状は、税金を納めるべき納税地の変更を考えるきっかけとなりえるのではないかと危惧しています」 

 

【取材協力税理士】 

岩永 悠(いわながゆう) 

アイユーコンサルティンググループ代表/税理士法人アイユーコンサルティング代表社員。 

西南学院大学卒業。京都大学経営管理大学院 上級経営会計専門家(EMBA)プログラム修了。2007年中堅の税理士法人に入所。26歳で税理士登録後、国内大手税理士法人に入所し福岡事務所設立に参画。13年独立開業、15年法人化。「日本のミライに豊かさを」をビジョンに掲げ、全国10拠点体制でグループを運営している。 

24年1月には事業承継専門部隊「承継アドバイザリー部」を設立。主な著書「事業承継を乗り切るための組織再編・ホールディングス活用術」(23年改訂版発刊)。 

・事務所名 : 

アイユーコンサルティンググループ 

税理士法人アイユーコンサルティング 

・URL:https://bs.taxlawyer328.jp/ 

 

弁護士ドットコムニュース編集部 

 

 

 
 

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