( 176138 ) 2024/05/31 17:00:50 1 00 22歳でカレーハウスCoCo壱番屋の新社長に就任した諸沢莉乃さんは、アルバイトからスタートし、経営勉強を継続しながら社長業をこなしています。 |
( 176140 ) 2024/05/31 17:00:50 0 00 CHANTO WEB
今月からカレーハウスCoCo壱番屋、「ココイチ」をFC展開する会社の新社長に22歳で就任した諸沢莉乃さん。社内から疑問の声が上がらなかったのは「意思あるものにチャンスを」という社風でした。
【画像】「超貴重!」ココイチでバイトを始めた15歳の諸沢莉乃さんから社長になった22歳現在の姿(全5枚)
■現場に立ちながら経営の勉強も
── アルバイトからスタートして、今月から「ココイチ」をフランチャイズ展開する(株)スカイスクレイパーの社長に就任されました。仕事の面での変化について教えてください。
諸沢さん:4月末まで現場でアルバイトとして働き、今月1日から社長に就任したのですが、実は仕事内容で変わったことはありません。20歳の頃に社長にならないかと打診を受けて、そこから2年間、準備を徐々に進めてきたので、今も変わらず現場に立ちながら、経営の勉強もしています。
前の社長だった西牧会長も3年間は一緒に並走してくださるので、そこで引き継ぎをしていく形です。今は取材の依頼が多いので、会長も私に気をつかって新しい仕事内容を一気に教えないようにしてくれていると思います。
── 取材依頼が多いのは、やはり22歳で社長に就任したということの珍しさですよね。
諸沢さん:私がたまたま若いので、若い方にフォーカスした会社で注目されているイメージがある方も多いのかもしれませんが、社内には2年前に60歳で入社した方もいます。学校の先生で、最後は校長先生まで勤められた方なのですが、ずっと飲食店の店長になるのが夢だったけれど、就職の際に親に反対されたそうです。定年退職後に、次は自分がしてみたかったことをしたいと入社してくれまして、現在は店長を目指しています。
若い方ですと、高校3年生で店長をしている方もいます。年齢や性別、キャリアにとらわれず、意思あるものにチャンスをということを大切にしていますので、挑戦してみたいという意思がある方は大歓迎です。ですので、社内では私が社長になっても「なんで諸沢が?」という雰囲気はまったくありません。
── 2年前から社長になるための準備を始め、現在も勉強を続けているそうですが、具体的には社長業として、どんなことをしているんですか。
諸沢さん:幹部を集めて、社外のコーチも入れた会議を月に1回、それと週に1回、社内のミーティングがあります。今年はどのくらい利益を出すのを目標にしようか、ということを話し合う会議です。
この3年間で、今年は現在の会長が社長のときにしていた仕事の50%を覚える、来年は75%、というふうに業務内容を増やしていく予定です。何月までにこれをできるようになるというふうに具体的な内容をリストアップしているのですが、すべての仕事を私が担うのではなく、この担当は課長で、これは部長で、というふうに割り振りをしながら決めている段階です。
── いわゆるワンマンではなく、全員の力を合わせるんですね。
諸沢さん:社長の打診を受けてからの2年間は、私の周りの方も一緒に育っていく期間でもありました。経験がない私は、前社長が担っていたことすべてをできるわけではないので、スタッフそれぞれの強みを活かして、数字に強い人はより深く学んで、クレーム対応はこの方、採用はこの方というふうに割り振りしています。私もひとりじゃないと思えますし、何より仕事をするうえで安心感があります。トップダウンではなく、みんなで成長しているという実感もありますね。
── 経営について学び始めてみていかがでしたか。
諸沢さん:これまで現場のことしか知らなかったので、まず会議で出る言葉が難しかったです。何も分からなかったので、単語を調べることから始めました。それに、私が途中でわからないことを質問するので、会議を止めてしまうのが申し訳ないなとも思っていました。現金収支に、粗利(売上総利益)。漢字でどう書くかもわからない言葉がたくさん出てきて最初は戸惑いました。
── わからないことはその場で聞くんですね。
諸沢さん:会議中も、資料を持って「ここ、教えてください」と聞きに行っていました。わからないままことをそのままにしておくのが苦手なんです。
── 素敵なことですね。昔からそういうタイプだったんですか。
諸沢さん:そこまで熱心に学校の勉強をしてきたわけではないのですが、成績表の「関心・意欲」のところだけはずっとよかったと思います。
■15歳で始めたアルバイト「社風と両親のしつけが合致して」
── ココイチでのアルバイトを始めるきっかけを教えてください。
諸沢さん:高校1年生になって周りの子がアルバイトを始めたので、私も何かしてみたいなと本当に軽い気持ちで始めました。たまたま自宅のポストにココイチの求人チラシが入っていたのですが、「テスト期間は休んでOK、友達と一緒に働ける」など、私にとって魅力的な条件ばかり書いてあったので、友達を誘って一緒に面接に行ったのが始まりです。
── 高校生の年齢ですと、同じ飲食店でもいわゆる映えるカフェなども人気ですが、なぜカレー店だったんでしょう。
諸沢さん:どこで働くかはまったく気にしていなかったんです。それに、まさかここまで長く続くとも思っていなかったので、「とりあえずやってみよう」という気持ちでした。それがこんなにどっぷりハマってしまいました。
── アルバイトの仕事は、どんなことから始めるのですか。
諸沢さん:フロアでの接客からです。お冷出しから、カレーのご提供、サイドのサラダを作るところから始まります。その後、徐々に厨房に入って、カレーを作ります。高校生のうちにすべてのポジションができるようになりました。
── 会社のどんなところがご自身に合っていたと思いますか。
諸沢さん:これは前社長の西牧会長がよく言うことなのですが、ココイチの仕事内容はここでしか使わないけれど、人間としての人生はこれから何十年も続いていく。だったら、人として大切なことを身につけてからここを卒業してほしい、と。挨拶や礼儀、時間を守ることや人とのコミュニケーションのことですね。
これが実は、私が小さい頃から両親に言われてきたこととまったく同じだったんです。勉強しなさいとはいっさい言われなかったのですが、挨拶や時間については厳しくしつけられました。門限の時間も友達よりずっと早かったです。当時はそれが嫌だったのですが、今となってはありがたいことだったと感じています。
会社が大切にしていることと、これまで育ってきた環境が合致して、信用できたことが長く続けられた大きな理由ですね。それに、人をみてくれる会社だということも感じていました。仕事中にうまくできないことがあったり、自分が思ったより仕事のスピードが遅かったりしたことに悔し涙を流すことがあっても、「頑張った失敗は、どんまいだよ」と周りがフォローしてくれていました。
だんだんと一緒に働く人たちの力になりたいという思いが生まれてきたのは、環境に恵まれていたからだと思います。
■ココイチで気がついた「本当にしたかったこと」
── 高校卒業後は、ココイチでのアルバイトを続けながらボランティア活動もしていたそうですね。
諸沢さん:昔から、将来は何か人のためになりたいと思っていたので、海外向けの募金活動などのボランティアをしていました。でも集めたお金を直接届けられるわけではないので、自分が想像していた「人のために働く」というビジョンとちょっとズレがあるなと感じていました。その頃、たまたま店舗を訪れた当時の西牧社長が、「最近どう?」と声をかけてくれて、そのことを相談したんです。
「遠くの人を助けるのも素敵なことだけど、もっと身近な人のためになれることもあるんじゃないかな」とアドバイスしてくださって。自分がしたいことを見つけるために、会社を有効活用してくれていいよと。そこから1つの店舗に限らず、いろんな店舗を回って学生をメインに人材育成などにも携わっていきました。
そこで目の前の人が幸せになっていく変化の過程を見ていたら、「私はこういうことがしたかったんだ」ということに気がつけたんです。
── 今年の新入社員へのご褒美に、前社長だったら焼肉を提案しようと思うところを、諸沢さんは「まつげパーマ」をプレゼントしたと伺いました。
諸沢さん:新入社員の女の子2人がすごく頑張っていたので、研修を卒業して接客3級をとったら何をご褒美にしようかずっと考えていたんです。2人ともすごくおしゃれに興味があって、「まつげパーマしたことある?」という他愛無い話をした時に、「いつかしてみたいです!」と言っていたのを思い出しました。
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