( 176388 )  2024/06/01 14:39:33  
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夏になっても長袖の服を脱がない子どもが増えており、その理由は「体形や毛深さを気にする」「肌が覆われていないと気持ち悪い」「暑いと言いつつ汗をかいてる」「孤独や自尊心の低さを感じている」など様々な要因がある。

教員やスクールカウンセラーが子どもたちと話し合いや支援を行っているが、なかなか服を脱ごうとしない。

福岡県や鹿児島県の養護教諭も同様の状況を指摘している。

専門家は、コロナ禍の影響や生活環境の変化が子どもたちに影響を与えている可能性があると指摘している。

(要約)

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長袖の服を脱げない理由 

 

 夏なのに、長袖の服を脱ぎたがらない子どもがいる。夏は熱中症の危険もあり、教員たちは半袖にするよう働きかけるが、容易ではない。「子どものヘルプサイン」を感じ取る教員もいる。 

 

 「真夏日でも長袖を脱がない児童が数年前から目立ち始めた」。今年初め、日教組の教研集会で、兵庫県の私立小学校の教員がこう発表した。パーカやハイネックのフリース、冬用のジャンパー姿などだ。児童数約400人の学校で昨年度は3人いたという。 

 

 教職員にアンケートしたところ「体形や毛深さを気にしている」「肌が覆われていないと気持ち悪い」「『寒いから』と言いつつ『のどが渇いた』と汗だく」「家で不安定になるときに長袖を着ているようだ」との情報が寄せられた。 

 

 教員は熱中症対策のほか、スクールカウンセラーにつなぎ、悩みを聞き取るようにしているが、子どもたちはなかなか脱がない。「長袖は子どものヘルプサイン。孤独を感じたり自尊感情が低下したりしていることが背景にある」と話す。 

 

 福岡県の公立中学校の養護教諭は4年前から気づいていたといい、「ブレザーのカチッとした圧が気持ちいいと『脱がない子』と、腕を見せるのが怖くて『脱げない子』がいる」と話した。鹿児島県の公立小学校の養護教諭は「暑い時にトレーナーを着ている。皮膚感覚が鈍くなっているのでは」と指摘した。 

 

スクールカウンセラーにつないだが、3年生になっても長袖のままだった。 

 

 NGO「子どものからだと心・連絡会議」議長で、日本体育大子どものからだ研究所長の野井真吾教授(教育生理学)は、コロナ禍の影響が大きいとみる。 

 

 「2020年以降、休校が続き、外遊びができず、生活習慣の乱れも重なって、体温調節の機能が育成できていない可能性がある」。もう一つは「仲間と遊ぶ時間がなく、人間関係が結べず、自尊感情や自己効力感がなかなか育っていない」。からだと心が影響を受けているというのだ。野井教授は「いきなり脱げといっても難しい。『脱いでみては』と提案し、見守り続けることが重要だ」と話す。 

 

朝日新聞社 

 

 

 
 

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