( 176553 )  2024/06/02 00:10:08  
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5月17日に参院本会議で可決された「改正道路交通法」では、自転車の交通違反に対して「反則金」を科す「青切符」制度が導入されることが決まった。

この制度は、110種類以上の違反行為を対象とし、反則金は5000~1万2000円程度となる見通し。

本田聡弁護士によると、自転車にはこれまで「赤切符」制度があり、警察の事情聴取や起訴などがあったが、今回の制度はより簡易な手続きで違反を処理することを目的としている。

これにより、自転車の取り締まりが容易になるとされているが、違反行為の具体的な内容や反則金の金額は今後検討されることとなっている。

(要約)

( 176555 )  2024/06/02 00:10:08  
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関西テレビ 

 

自転車の交通違反に「反則金」を科す「改正道路交通法」が、5月17日に参院本会議で可決された。スマートフォンなどの「ながら運転」や「信号無視」など、110種類を超える違反が対象となり、反則金は5000~1万2000円程度になる見通しだ。16歳以上が対象で、2026年までに実施される。 

確かに、自転車にヒヤリとさせられることは多い。マナー向上のために、「青切符」に期待する声もある。しかしこの制度、対象となる違反行為は110以上。このルールをすべて把握するのは、普通の自転車利用者にとってちょっと難しそうだ。なぜ今、自転車に「青切符」なのか。毎日往復20キロの自転車通勤を日課とする、本田聡弁護士に話を聞いた。 

 

■【動画】『自転車違反に反則金』スマホ触りながら運転で「青切符=反則金」 反則金は5000円~1万2000円程度見通し 

 

本田聡弁護士 

 

【本田聡弁護士】 

今回、法改正の柱となった「青切符」制度とは、1968年に自動車の運転者に対して導入された「交通反則通告制度(いわゆる「反則金制度」)」のことです。ひと言でいうと「交通違反に対して、反則金を納めることで、刑事罰を免れる」という制度です。今は、自動車や原付バイクに適用されていますが、それを自転車にも適用拡大することになります。 

 

自動車が増えた 

 

1960年代、自動車産業の発展に伴い、道路交通法違反事案が増加、刑事事件が激増していました。しかし、交通違反は、軽微なものから重大なものまで多種多様です。そこで、「反則金制度」を導入し、軽微な交通違反は、反則金の納付という簡易な方法で処理を済ませることになりました。増大していた刑事事件数を減少させることが目的でした。 

 

しかし、今回の法改正で、自転車に「交通反則通告制度(反則金制度)」を適用するのは、目的が異なります。 

 

現行、自転車には「赤切符」しかありません。赤切符が交付されると、刑事事件として警察の事情聴取を受け、起訴されれば裁判に進むことになります。警視庁では、令和4年10月31日以降、従来、警告で済ませていた違反行為について、積極的に赤切符を交付することになりました。つまり、罰金等の刑事罰を受け、前科がつくようになる訳です。 

 

しかし、赤切符での取り締まりの実効性は、疑問符のつくところです。自転車が右側通行をしたからと、刑事罰として起訴して罰金を払ってもらうとなると、大変なことになりそうです。非常に多数起こるであろう違反を、すべて刑事事件として処理できるだけの体制は用意されていないでしょう。何より、同じ交通違反で、自動車が青切符(反則金制度)で、自転車は赤切符(刑事罰)という不均衡なことになってしまいます。 

 

とはいえ、ここ数年、コロナ禍の影響もあって自転車の利用は増加しており、それに伴い、事故件数も増加しています。自転車のマナーに関する批判も増えています。 

 

そこで、自転車運転者の取り締まりをしやすくする方法として、刑事罰(赤切符)ではなく、より簡易な手続で済む反則金(青切符)を科すことにしたのです。 

 

これまでほとんどしてこなかった(できなかった)取り締まりを実施することになりますから、その意味では「厳罰化」ということが言えます。 

 

 

関西テレビ 

 

現在、110種類以上の違法行為が「青切符」の対象になると言われています。これは、現行の道路交通法で自動車やバイクに対して行われている「反則行為」に則って、内容を決めていくからです。 

 

自動車も、自転車も、車両です。基本的に同じ車両が守るべきものは、自転車も守らなければならないことになります。「自動車はダメなのに、自転車は守らなくていいのですか?」とならないためにも、自動車のルールを適用していくということです。 

 

これに、自転車固有の違反も追加されることになると思います。 

 

「スマホなどのながら運転」や「信号無視」「一時不停止」などだけでなく、自転車でよくみられる「二人乗り」や「傘さし運転」「逆走」なども違反行為になりますから、注意が必要です。 

 

違反行為の名称や、反則金の金額などの詳細は、これから検討して、政令で定めることになります。 

 

自転車専用レーン 

 

青切符導入は、自転車のマナー違反に対する抑止力効果は期待できます。ですが、一方で、ルール作り(法整備)とインフラ整備は両輪で動かないといけません。 

 

現状、自転車と自動車の進路が交錯して、双方が安全に走れないと思われるような場面があったり、自転車が守ろうと思っても、守れない規制があったりします。 

 

例えば、片側2車線の道路を自転車が直進していて、道路が二手に分かれているいわゆる「Y字路」に遭遇したとしましょう。この場合、どうすればいいの?というのがあります。 

 

自転車は「左車線」ですから、Yの字の右側に行きたい場合は、Y字路を左側に進んでやり過ごしたあとに、道路を横断して、降車して自転車を手押しして戻ってきて、Y字路のところで、乗車するなどの方法をとるか、どこかで違反をしないといけないケースが多くなります。 

 

こういうことが起きないようにするには、自転車用の信号を付けるなどのインフラ整備を整えていく必要があります。 

 

ルール作りとインフラ整備はセット 

 

この数年、自転車専用レーンも少し増えてきたように思いますし、自転車が通ることを示す青い矢印(矢羽根マーク)が書かれた道路なども見かけるようになりました。 

 

少しずつですが、インフラ整備が進んできていることは感じます。 

 

ルール作り(法整備)とインフラ整備はセット。そこはすごく大事な所です。自転車は、子どもから高齢者までが利用する身近な乗り物です。違反をしないように私たちが気を付けることは当然ですが、これを機に、ぜひ自転車を利用しやすい環境も整えていって欲しいと思います。 

 

(本田聡弁護士) 

 

 

 
 

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